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第三章 運命の出会いとケモナー

はじけるケモ愛

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 ケモ愛がバーストしている俺を嘲笑うかのように、さらに衝撃が襲うのだ。

「お兄様…」
「大丈夫だ、心配することはない。追っ手が来る前には、離れるつもりだ」

 フードがとれて、二人の顔がよく見えた。二人とも、エメラルドアイ!
 服装で男の子と女の子と判断させてもらうが、なんて綺麗な瞳なんだ!

「綺麗な目…」
 宝石みたいだよな。ちゃんとキャッツアイだし。

 しかも、男の子の方は、三毛猫だ。
 男の子で三毛猫なんて、貴重すぎるが、もう一人の女の子も、凄く、服だって女の子らしくて、アメショの持つあの軟かな雰囲気がそのまま飛び出てきたかのようだ。

 胸が高鳴る。楽園は目の前にあるんや。って、モデルになったおじさんがいっていたのが、理解できる。

「楽園や!自衛部が来い!いや、来んといて!」

 って、一人で騒いでいたが、あの人もケモナー同志であった。うちの使用人たちをみてすごく羨ましいといっていたからな。
 獣人が雇えない国からのお客様で母様の知り合いだから絵を描く注文を受けたが、そうじゃなくてもケモナーには優しくする。

 しかし、ここで全ケモに出会えるとは。
 同じ年齢ぐらいかな?街でみたことはあるけど、ミルデイをのぞくと、同年代と話をするたのは、産まれて初めてだから、緊張するな。
 同年代がいないっていうか、ポルティには買い物にきてはいるが、この街は子供が少ないんだよな。孤児院はあるが、馬車から覗くだけだ。入ったたことはない。
 それでも子供の数は少ないんだがな。孤児院でも、三十人程度。しかも王都からと聞いていた。

 つまり、何がいいたかというと、上手く話せる自信がない。
 かといって、エセニアに頼んだら仲良くなれるチャンスをなくしてしまうかもしれない!

 二人と少しでもお近づきになりたい!
 あわよくばモフモフしたい!

「ふわ?」
 はっ!なんでもないぞ!ケルン

 治まれ!ケモ愛!

 まぁ、別な意味でも、緊張している。
 なに、この美ニャンな二人は!
 
 人間の顔立ちと、猫の要素が、うまくまざっていて、半端なく可愛い。将来はイケメンと美人になるだろうな。
 母様みたいな美人な人は、そうそういないと思っていたのだが…まさか、母様みたいな美人にケモ要素が入るとこんなにも可愛くなるとはな…これは、ぜがひでも仲良くせねば!

「すまない。早くここから逃げねば、君たちも危険だ」

 男の子の美ニャン君がそういって後ろをみる。特に何も来ていないようだけどな。

「エセニアー」
「はい、坊ちゃま…確かに何者か…武装しています。ここは危険ですね。坊ちゃま離れましょう」

 エセニアに声をかけたら、すぐに安全確認をしてくれた。さすが仕事が早いな。ミルデイも隣に立って…ん?なんか美ニャンの二人をにらんでいるような?猫は苦手だったかな?

「お兄様…どうしましょう…」
「確かこの近くにあの方が居を構えているとお聞きした…詳しい場所はわからないが」
「困りましたわ…」

 二人が小声で相談しあっているが、ばっちり聞いたぞ。困っている人は助けてあげないとな。

「僕はケルン。名前はなんていうのー?」

 自己紹介は大事なことだ。仲良くなる為にも、そして、二人の名前が知りたくて、やばい。
 今日、確実に治ったおねしょが、再発するかも。
 
 エセニアは、周囲の警戒をしているが、ミルデイからの視線がさらにひどく、ケルンごしでも痛い。

 だ、大丈夫。性的な意味じゃないから!
 これは次元や時代を超えて存在する『MOE』もう、俺たち、エロくない。
 という概念からも、ある種の悟りの境地だから!服の袖引っ張る力強くなってるよ!服がのびちゃうだろ!フィオナに怒られる!

 俺が慌てていれば、いつも通りに、ケルンがまったりとした話し方をして、二人に尋ねる。
 ちょっとゆっくり目なのは、会話相手が大人ばかりだったからだ。子供が集まるようなところに顔を出していたら、自己主張の争いで、もっと早く話せるのだろうが…マイペースなんだよな、俺たち。

「失礼した。私はミケー…いや、ミケと申す。こちらは、妹のメリアだ」
「メリアです。どうぞ、よしなに」

 イケメンな三毛猫のミケ君と、ゆるふわアメショのメリアちゃん。
 了解。知識の最重要の位置に刻まれた。

 さて、ケルンの目から情報は蓄積される。そして、俺の知識に適合された解答は…追い剥ぎの被害者、犯罪者、逃亡奴隷もしくは使用人。

 まずは、追い剥ぎの被害者。
 これは薄い。服装が庶民的ではあるが、質は悪くない。それどころか高品質だ。追い剥ぎなら、ケルンぐらいの子供を捕まえるのにそれほど時間はかからず、服ももっとボロボロか、脱がされている。

 犯罪者は、もっと薄い。
 目をみればわかる。汚れていない幼いながらもプライドがあるような目だ。自分のプライドを傷付けるようなことはしないだろう。

 そうなると考えられるのは逃亡奴隷、逃亡使用人の可能性が高い。
 貴族の元から、逃れてきたとみて、間違いはないだろう。立ち振舞いから、良いところの出であるのはわかる。が、貴族子女に、獣人、しかも、目立ちやすい獣頭の者はいない。いたとしても、隠されているか…信じがたいが、貴族社会での獣人差別は未だにあるらしい。授業では、ぼかしながら教わったが、俺には、貴族子女として獣人が生まれた場合、捨てられるか殺されるということがわかってしまっている。

 裕福な商人の子供が、家格をあげるために、使用人として奉公にでることはある。おそらく、それだ。
 執事見習いとメイド見習いの兄妹が、獣人嫌いの貴族から逃げてきた。
 よくある話だが、そうだろうという、仮定が成立した。

 体感で1秒未満の思考は、ケルンにはできない。なのに、俺という知識の中での高速化された情報をケルンへと受け渡すやりとりは、どういうわけか、できてしまっている。
 おそらく、知識というものは、時間の概念に影響されないのだろう。人は思考する時に、時間を忘れて、取捨選択をする。しかし、理解するまでに時間がかかり、感情により、選択肢を悩む。
 
 知識のみの場合、理解力はいらない。同時平行で、瞬時に行われている。そして、最適の解をケルンではなく、俺が用意して、ケルンにもわかりやすく、理解するまで簡単にして、あたかも思い付いたように、してやる。
 無論、ケルンから流れてくる感情からも、影響があるのだが、思考しているときは、感情の影響を受けないようにしている。

 そうすることで、ケルンが出した答えがこちら。

「もう、大丈夫だからね!僕が二人ともうちの子にするから!」

 ぽかんとする二人と俺。
 ミルデイの掴んでいる服が、ちょっと悲鳴あげている。や、破いたら、フィオナにお説教されるから、やめてくれよ?
 しかしなぁ…最適な解答出したよな?保護して、とりあえず、安全を確保して、親元に帰す。もし、親元にも貴族の圧力で戻れないようなら、働き先などを提供、それか、うちで雇うことに…あっ。
 まとめやがった。
 おい、ケルン。どうして、まとめた。





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