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第二章 事件だらけのケモナー
痛み
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どうみても、蛇の傷は深い。機敏な動きは難しいだろう。なにより、あまり動けば傷口に障る。
ケルンが飛び出して瞬時に考えた計画がこのままでは行えないということだ。
計画では、檻から出して、さっさとこの場から逃げれる体力があるなら、逃がして、その間にカルドを探す。蛇が街中にいるとなれば、騒ぎになる。それに、街の人達はケルンのことを知っている人も多くいる。
その人達が騒げば、カルドは来てくれるはずだった。
仮にカルドがいなくても、町の人が騒いでくれたら屋敷の誰かしらが迎えにきてくれると思ったのだ。
蛇のそばにフェスマルクの若様が!作戦。
穴だらけではあるが…これ以上に良い案が浮かばない。
街の人に助けを最初から求めれば?いやいや。人見知りもあるが、一人でいるとなったら、それこそ誘拐とかになるかもしれない。貧乏な貴族とはいえ、貴族だからな…それに、この三人はどう考えたって街の人間ではない。
さて、どうしようかな。
目の前の蛇の瞳をみる。
とりあえず、蛇の不安を取り除かないとな。
「大丈夫?怖くないよ?痛いよね…ごめんね…魔法が使えたら使うんだけど…すぐに、手当てするから。そんでね、僕のおうちにおいで!父様に治してもらおうね!それでねー元気になったら、遊ぼうね!あのねー…僕と友達になろう?」
痛々しい姿が、見ていてつらい。
でも、本当につらいのは、この蛇だ。親を殺され、自分はなぶられて、ほっといたら、死んでしまう。
なのになにもできない。
悔しいな。
「ごめんね…痛いの…痛いの…とんでけー…」
おまじないいをしながら、まだ傷がない鱗を撫でる。
蛇が、怖くないの?と語りかけた気がする。
「友達になるんだから、怖くないよ」
そういって、再びなでる。
ひんやりと冷たいけど、ケルンの体温で温まって温かい。きっと、もうじき本当なら冬眠するはずだったんだろうな。一緒に日向ぼっこしたら、気持ちいいかもしれない。
蛇はゆっくりと、頭をこちらに寄せてきた。チロチロと舌がでているが、大丈夫だよといって頭を撫でる。パチリとまばたきをした。可愛いな。早く元気になれよ。
後ろの三人をみる。三人でなにやら話しているが、雰囲気が明らかにおかしい。
ケルン。道具で錠前を切っちまえ。
「え?彫刻刀で?わかったー」
彫刻刀を出してやすりに変えて削るとあっという間に削り落とした。
蛇は檻から少しだけ出て、俺の身体に頭をこすり付けたり、身体を擦り寄せる。マーキング?構わないけど、痛くないか?
これで、何かあっても蛇を連れて逃げ出せる段取りはこれでついたな。
とりあえず、大通りにこのまま行けそうだから、そこで騒ぎを起こすか。怒られるのは、確定だからな。
知識の中にある、死亡フラグで有名な言葉が出てくるな。
ふふっ。もう、何も怖くな。
「若様…悪いんだけど足りないな」
「ああ、足りねぇな」
うぃ?変な声が出そうになった。足りないなって、足りなくてもよかったんじゃないの?まぁ、悪い相談をしていたんだろうとは、ようそうがついているがな。
セーラーおっさんと、歯抜け男が、嫌な笑いをさせながら、近寄ってきた。
「こんなガキが、クレエル大金貨を四枚も持ってやがんだ。よっぽど、金持ちな貴族様に違いねぇよな?」
「だな。しかも、監視だぁ?いくら探しても、殺気を飛ばしても、スキルを使っても…そんな奴はいねぇじゃねぇかlってっことで…もっと稼がせてもらおうか」
セーラーおっさんと、歯抜け男が、ナイフを抜いた。思ったっとおり、ケルンを誘拐でもするつもりか。
しかし、いくらケルンが子供だからって嘘までついてやがる!クレエル大金貨四枚なんて、持ってなかったぞ!そんな大金…ん?四枚?…まさかあの銅貨って…いやいや小さいし汚いぞ。
はは、銅貨だけにどうかしてるぜ!
「かわいい顔してるからなぁ…娼館でもいいな」
「味見してからにしょうぜぇ…」
お尻がぞわってした。こいつら、やべぇ。
どうかされそう!銅貨だけに!
じゃねぇよ!やべぇ、現実逃避してる場合じゃねぇ!知識総動員だ!ケルンと、蛇を逃がすには…大声を出して、大通りまで、走る!人を呼べば助かるはずだ!
逃げるぞ!助けを呼ぶんだ!
「たす」
「逃げようとするなよ。まだ、楽しんでないだろ?」
ひゅっと音がしたと思うと目の前に誰かが立っていた。
ほほが熱い。ぴりっとする痛み。
ほほを触って手を見ると、真っ赤だ。
ハサミ男が、腰のハサミを抜いて、ケルンのほほを斬りつけた。
「子供の肉は柔らかいな。蛇なんかより、やっぱり、子供の肉を斬る方がいい…」
うっとりと笑う姿が、骸骨に皮がはりついただけの顔をさらに、歪めさせて、不気味さが増した。
それとともに、俺の存在している領域が、いままでにないほど荒れ狂いだした。元々、空間などない領域だが、その領域をも突き破りそうなほどの感情が一度にあふれ出す。
思考加速で切り離しても潰されそうなほどだ。
それほどの恐怖をケルンは感じている。
「痛いよ…ひっく…いたい…こわよぉ…」
泣くな!ケルン!泣いたら駄目だ!我慢しろ!俺!
それでも、おさえ、きれ、ない、恐怖が。
あ、が、が、感情、で、つぶ、れ、るぅ。しょ、処理、しねぇ、と。
「いいねぇ~…泣いてくれると、さらにいい」
「おい、あんまり傷つけるなよ。金にならないだろ?」
「そうだぞ。まずはたんまり身代金もらったら…俺らの商品になるんだからな…へへっ」
怖い。怖い。怖い!怖い!怖い!父様!母様!エセニア!助けて!
思考加速ではなく処理に重点を置く。こんなことしたことがねぇが、感情は覚えていないが恐怖経験なら俺は積み重ねてきている。それこど、食われる経験とかな。
ケルンの感情はもう恐怖しかない。
ケルンが、恐怖に震えている。俺までここまで影響が出るとは思わなかったが、それもそうか。いつも誰かに守られていたんだから。
何とか逃げ出すようにしないと!せめて、注意をそらせたら…そのすきさえあれば。
擦りよっていた蛇が、ハサミ男に体当たりをした。そして、そのまま、残りの二人にも体当たりをする。
どうして、お前が守ってくれるんだ!お前の方がぼろぼろだっていうのに!
「なんで、抜け出してやがる!このっ!魔石を飲んでるくせに!死に損ないが!」
セーラーおっさんがナイフを降ると、蛇の身体が赤くなる。深く刺さって赤い色が見えた。
ざわりとまた知らない領域が波を打つ。
やめろ。
「やっ!…やめ…」
歯抜け男が、ナイフを刺す。そこからも赤い…血が。
やめろ!
「やめてよ!」
ハサミ男が、何度も斬りつける。笑って、何度も何度も。
やめてくれ!
「もうやめてよ!」
蛇がこちらをみた。
早く逃げて。
そういったように思えた。
「くそっ!服が汚れたじゃねえか!くたばれ!」
セーラーおっさんが、蛇の頭めがけて、ナイフを振りかざした。
「やめろぉぉぉぉぉぉ!」
俺たちが同時に叫ぶと波を打っていた領域がはじけるように、そこから大量の何かがケルンの体をかけめぐっていく。
俺とケルンが重なった。
こいつらをみんな。
俺がそうしてやろうと動こうとした、その時。
真っ白な光が舞い降りた。
「止めておくね」
優しい知らない声。
その誰かがそういうと、世界は止まった。
ケルンが飛び出して瞬時に考えた計画がこのままでは行えないということだ。
計画では、檻から出して、さっさとこの場から逃げれる体力があるなら、逃がして、その間にカルドを探す。蛇が街中にいるとなれば、騒ぎになる。それに、街の人達はケルンのことを知っている人も多くいる。
その人達が騒げば、カルドは来てくれるはずだった。
仮にカルドがいなくても、町の人が騒いでくれたら屋敷の誰かしらが迎えにきてくれると思ったのだ。
蛇のそばにフェスマルクの若様が!作戦。
穴だらけではあるが…これ以上に良い案が浮かばない。
街の人に助けを最初から求めれば?いやいや。人見知りもあるが、一人でいるとなったら、それこそ誘拐とかになるかもしれない。貧乏な貴族とはいえ、貴族だからな…それに、この三人はどう考えたって街の人間ではない。
さて、どうしようかな。
目の前の蛇の瞳をみる。
とりあえず、蛇の不安を取り除かないとな。
「大丈夫?怖くないよ?痛いよね…ごめんね…魔法が使えたら使うんだけど…すぐに、手当てするから。そんでね、僕のおうちにおいで!父様に治してもらおうね!それでねー元気になったら、遊ぼうね!あのねー…僕と友達になろう?」
痛々しい姿が、見ていてつらい。
でも、本当につらいのは、この蛇だ。親を殺され、自分はなぶられて、ほっといたら、死んでしまう。
なのになにもできない。
悔しいな。
「ごめんね…痛いの…痛いの…とんでけー…」
おまじないいをしながら、まだ傷がない鱗を撫でる。
蛇が、怖くないの?と語りかけた気がする。
「友達になるんだから、怖くないよ」
そういって、再びなでる。
ひんやりと冷たいけど、ケルンの体温で温まって温かい。きっと、もうじき本当なら冬眠するはずだったんだろうな。一緒に日向ぼっこしたら、気持ちいいかもしれない。
蛇はゆっくりと、頭をこちらに寄せてきた。チロチロと舌がでているが、大丈夫だよといって頭を撫でる。パチリとまばたきをした。可愛いな。早く元気になれよ。
後ろの三人をみる。三人でなにやら話しているが、雰囲気が明らかにおかしい。
ケルン。道具で錠前を切っちまえ。
「え?彫刻刀で?わかったー」
彫刻刀を出してやすりに変えて削るとあっという間に削り落とした。
蛇は檻から少しだけ出て、俺の身体に頭をこすり付けたり、身体を擦り寄せる。マーキング?構わないけど、痛くないか?
これで、何かあっても蛇を連れて逃げ出せる段取りはこれでついたな。
とりあえず、大通りにこのまま行けそうだから、そこで騒ぎを起こすか。怒られるのは、確定だからな。
知識の中にある、死亡フラグで有名な言葉が出てくるな。
ふふっ。もう、何も怖くな。
「若様…悪いんだけど足りないな」
「ああ、足りねぇな」
うぃ?変な声が出そうになった。足りないなって、足りなくてもよかったんじゃないの?まぁ、悪い相談をしていたんだろうとは、ようそうがついているがな。
セーラーおっさんと、歯抜け男が、嫌な笑いをさせながら、近寄ってきた。
「こんなガキが、クレエル大金貨を四枚も持ってやがんだ。よっぽど、金持ちな貴族様に違いねぇよな?」
「だな。しかも、監視だぁ?いくら探しても、殺気を飛ばしても、スキルを使っても…そんな奴はいねぇじゃねぇかlってっことで…もっと稼がせてもらおうか」
セーラーおっさんと、歯抜け男が、ナイフを抜いた。思ったっとおり、ケルンを誘拐でもするつもりか。
しかし、いくらケルンが子供だからって嘘までついてやがる!クレエル大金貨四枚なんて、持ってなかったぞ!そんな大金…ん?四枚?…まさかあの銅貨って…いやいや小さいし汚いぞ。
はは、銅貨だけにどうかしてるぜ!
「かわいい顔してるからなぁ…娼館でもいいな」
「味見してからにしょうぜぇ…」
お尻がぞわってした。こいつら、やべぇ。
どうかされそう!銅貨だけに!
じゃねぇよ!やべぇ、現実逃避してる場合じゃねぇ!知識総動員だ!ケルンと、蛇を逃がすには…大声を出して、大通りまで、走る!人を呼べば助かるはずだ!
逃げるぞ!助けを呼ぶんだ!
「たす」
「逃げようとするなよ。まだ、楽しんでないだろ?」
ひゅっと音がしたと思うと目の前に誰かが立っていた。
ほほが熱い。ぴりっとする痛み。
ほほを触って手を見ると、真っ赤だ。
ハサミ男が、腰のハサミを抜いて、ケルンのほほを斬りつけた。
「子供の肉は柔らかいな。蛇なんかより、やっぱり、子供の肉を斬る方がいい…」
うっとりと笑う姿が、骸骨に皮がはりついただけの顔をさらに、歪めさせて、不気味さが増した。
それとともに、俺の存在している領域が、いままでにないほど荒れ狂いだした。元々、空間などない領域だが、その領域をも突き破りそうなほどの感情が一度にあふれ出す。
思考加速で切り離しても潰されそうなほどだ。
それほどの恐怖をケルンは感じている。
「痛いよ…ひっく…いたい…こわよぉ…」
泣くな!ケルン!泣いたら駄目だ!我慢しろ!俺!
それでも、おさえ、きれ、ない、恐怖が。
あ、が、が、感情、で、つぶ、れ、るぅ。しょ、処理、しねぇ、と。
「いいねぇ~…泣いてくれると、さらにいい」
「おい、あんまり傷つけるなよ。金にならないだろ?」
「そうだぞ。まずはたんまり身代金もらったら…俺らの商品になるんだからな…へへっ」
怖い。怖い。怖い!怖い!怖い!父様!母様!エセニア!助けて!
思考加速ではなく処理に重点を置く。こんなことしたことがねぇが、感情は覚えていないが恐怖経験なら俺は積み重ねてきている。それこど、食われる経験とかな。
ケルンの感情はもう恐怖しかない。
ケルンが、恐怖に震えている。俺までここまで影響が出るとは思わなかったが、それもそうか。いつも誰かに守られていたんだから。
何とか逃げ出すようにしないと!せめて、注意をそらせたら…そのすきさえあれば。
擦りよっていた蛇が、ハサミ男に体当たりをした。そして、そのまま、残りの二人にも体当たりをする。
どうして、お前が守ってくれるんだ!お前の方がぼろぼろだっていうのに!
「なんで、抜け出してやがる!このっ!魔石を飲んでるくせに!死に損ないが!」
セーラーおっさんがナイフを降ると、蛇の身体が赤くなる。深く刺さって赤い色が見えた。
ざわりとまた知らない領域が波を打つ。
やめろ。
「やっ!…やめ…」
歯抜け男が、ナイフを刺す。そこからも赤い…血が。
やめろ!
「やめてよ!」
ハサミ男が、何度も斬りつける。笑って、何度も何度も。
やめてくれ!
「もうやめてよ!」
蛇がこちらをみた。
早く逃げて。
そういったように思えた。
「くそっ!服が汚れたじゃねえか!くたばれ!」
セーラーおっさんが、蛇の頭めがけて、ナイフを振りかざした。
「やめろぉぉぉぉぉぉ!」
俺たちが同時に叫ぶと波を打っていた領域がはじけるように、そこから大量の何かがケルンの体をかけめぐっていく。
俺とケルンが重なった。
こいつらをみんな。
俺がそうしてやろうと動こうとした、その時。
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