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第一章 棒人間の神様とケモナー
家族に紹介
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庭の上空を飛んでいるペガサスをみていると、しみじみと思う。
魔法使えたんだな、俺。
魔法が使えないことはあまり気にしてはいなかった。ただ、時々嫌な思いをすることはあった。
石像が完成したら、みんなに見せようと思っていた。
今日に限って、人手がいないのだ。基本、屋敷から一歩も外に出ない、引きこもり気味な料理長のハンクは、朝食のあとで、ぼそぼそとか細い声で。
「坊ちゃま。俺、一人で、買い物行く…美味しいもの…作る。待ってて」
と、初めて、自分から買い出しに行くというので、屋敷にはいない。心配だからと、こっそりランディがついていって、ランディもいない。スラ吉は、畑の世話を一匹でしていることだろう。
見た目十代後半に見えても、二十歳超えてるんだがな、ハンク。ちょっと、言葉が苦手なのと、表情筋が死んでるけど、大人なんだし、大丈夫…ともいい切れないな…うん。
五歳になったから、お兄さんなんだよー!と、ケルンがハンクに晩御飯の時にいったのが、原因かもな…使用人としても、勤めてからも、最年少だから、ケルンに良いとこ見せようと頑張ったんだろう。
あ、ヤバい。心配になってきた。また、男女問わずにナンパされて、壁とか登ってそう。人見知りだからな…ランディ、ハンクを頼む。
ご飯を食べさせ合いっこしても、たぶん、次の日、天井に張り付いて寝てるだろうからな。
ご飯が絡むことをしないとハンクの気持ちは沈んだままなのだ。
ちなみに、女性陣は、月に一度の女性を労う日という、我が家のルールで、王都に観劇に行ってて屋敷にいない。
タイミングがいいのか悪いのか、棒神様を作った時の余りの魔石をエセニアに運んでもらってると、追加で大人二人分ほどの魔石が何個か届いた。折角だし、庭先で作業しよう!と、女性陣を見送ってから、カルドとのんびりしながら、下絵を描いて、彫刻刀を持ち出して、作業していた。
みんなが帰ってきたらすぐわかるように、出来上がったらみんなを驚かしてやろう!母様は、お馬さんが好きだから、喜んでくれるぞ!と、ケルンもやる気満々だったし。
それで、ペガ雄を彫ることにしたまではよかったんだが…現実に戻ろう。
ペガ雄が空を飛んで唖然としたあと、カルドはすぐに、懐中時計を取り出して、父様を呼んだ。
懐中時計は、学園で貰ったもので、カルドのように、魔力の少ない使用人には、必需品であると、カルド本人がいっていた。魔石や、魔石よりも凄いもので、できているとか。
「坊ちゃま、私の後ろにお下がりください『コール』旦那様、異常事態です。すぐにお戻りください」
カルドはペガ雄を警戒しつつ、ケルンを庇うように、前に出る。
実際の時間でいうなら、二秒もない。カルドの判断で父様を呼ぶことになった。
父様はすぐに屋敷に帰ってきた。というか、カルドの目の前に現れた。
「カルド!ケルンは無事か!何があった!」
「旦那様…あちらをご覧ください」
父様は、魔法ですぐに、庭先まで来てくれたことはかなり嬉しい。
そして、カルドが示す方向を見て、口をあけて、固まった姿は、ちょっとカッコ悪い。
まぁ、気持ちはわからなくもない。
石像が空中に浮いている。羽を羽ばたかせ、まるで、生きているかのようにだ。
「何だ…あれは…」
「ペガサスだよー!」
ケルンが父様に答えると、父様は記憶をたどるように、眉をひそめたが、この世界にはいない動物だ。思い出そうとしても該当する生き物はいないだろう。
「ペガサス…?ケルン、あれはケルンが召喚…いや、ケルンの友達かい?」
かなり慌てているが、冷静な俺は、もし、いつものように、作業場で、彫像をしていたら、作業場がどうなっていたか…確実に屋根とか、吹き飛ばされてそうだな。と、思っていた。
断じて、ケルンと一緒になって、単純に喜んでいない。魔法の力が目覚めたんだ!と、ケルンには考えをすでに流している。
しかし、召喚ね…魔法が使えて、詳しいであろう父様が、召喚だと思うってことは、この魔法らしき現象は、もしかして、魔法じゃないのか?
父様が友達かと聞くのも、どう答えて良いか悩む。作品として考えるなら、親にあたる。製作者だからな。
とりあえず、友達ではまだないので、首を横に振った。
「坊ちゃまが、魔石建材で彫像をされたのですが、独りでに動き出したのです…襲ってくる気配はありません。屋敷の敷地内にも、不穏な気配は感じられません。旦那様…認識阻害の可能性もありますので、確認をお願いします」
「いや、大丈夫だ。あの、ペガサスといったか。あれからも、屋敷内からも…奴らの魔力どころか、特別な魔力を感じないからな。ただ、あれは魔石の一種だからか?…それにしても、飛行しているとは…」
カルドが説明をしたあとに、何やら考え込むというよりも、嫌なことを思い出したかのような表情を浮かべた。父様は、はっきりと、断言してから、どのようなことが原因で起ったのかを思考している。
奴らってってのはなんだろうか?聞けそうな雰囲気ではないから、聞けないが。
しかし、魔法使いの父様が魔力を感じないというってことは…つまり、魔法ではないと…魔法が!使えたと!思ったのに!
思いっきり、地面を叩きたくなったが、そうだった。ペガ雄が動き出す前にあったことを話せねば!
「彫刻刀がね!ぴかっー!って!そしたら、動いたの!」
ケルンの言葉に、父様は、さらに悩まされてしまったようだった。
「彫刻刀が光った?ケルンそれは本当かい?」
「うん!ね?カルド!…カルド?」
カルドにも確認をとろうと、カルドを見上げると、険しい表情をしたカルドがいた。
「坊ちゃま…私には、その光が見えませんでした。確かに光ったのですか?」
「え?ぴかーってしたよ?」
何と、あの光が見えてなかったのか。
「そうなのか?ケルン、光ってしたあとはどうなったんだ?」
「うん!光って、ペガサスの中に入ったよ!」
光が、ペガ雄の中に入ってから、動き出したのは間違いない。あの光が何で、どんな作用があって、こんな状態になったのかはわからないが、あの光が原因であろう。
「ケルン以外が持つと重くなるから、魔道具ではあると思っていたが…まるで…しかし、本人のみなはず…カルド、彫刻刀を購入した店主はどうだった?」
彫刻刀が、やけに切れ味がよくて、心配になったエセニアが、どれほどの切れ味か試そうと持つと、持ち上げることはできても、彫刻刀として振るえなかった。重すぎたらしい。
さらに、プリンをすくうように簡単に彫れるはずの彫刻刀が、まったく彫れなくなっていたのだ。
そして、この彫刻刀は、刃先に触れても、傷がつかない。怪我の心配がなくなったことで、彫像をしていても、みんな安心していた。木槌も使わないぐらいだからな。
購入した店のことを、父様とカルドは、やけに気にしていた。エルフの秘薬と、古竜王の涙石以外に、気になった商品はなかったんだけど、便利な道具が他にもあったのかもしれないな。
「はい、それが…申し訳ありません。やはり見つからないのです。祭りであったこともあり、許可なく店をやっていた者もおりますし、足取りがつかめておりません」
街で商売をするなら、その場所代として、税金を納めるのだが、祭りなどがあると、違法に店を構えるものが出てくるのだ。あのお婆さんも、街に届け出を出さずに店を構えていたんだろう。
「どういった人物であったかは、やはり詳しく思い出せないか?」
「坊ちゃまには、老婆にみえていたそうです。私には妙齢な女性にみえておりましたし、品物も中々に良い物が多くありましたからね…すぐにどこの者かわかると思ったのですが」
フードのせいなのか、カルドには、お婆さんが母様ぐらいの年齢に見えたそうだ。見た目の話だが、流石に、それはないと思うのだが…ってか、え?良い物って…あの、かけた皿とかガラクタが!
カルドの老眼をちょっと、気にした。
「ふむ…緑色では、貴石なはずがないからな」
貴石というものは、この世界にしかない石のことだ。魔石よりも貴重な石とは貴石のことをいう。
詳しくは、学園に入ったその日に勉強するそうだが、魔石が主を選ぶことで、貴石になる。としか聞いていない。父様も母様も持っている。母様は腕に魔石と一緒につけているし、カルドは、懐中時計の針が貴石だそうだ。父様の貴石は、杖についているそうだが、父様の杖を見たことがない。
みんな、淡い青色をしている。春先の空の色によく似ている。
そういや、緑色から、深い青…紺色ぐらいか。海の底のような色の変化があったことを、伝えていなかったけど、まぁ、いいか。大事なのは、どうして、動いているかだからな。
「きっと、僕、魔法が使えたんだよ!」
その可能性が低いことは、わかっているんだが、魔法が使えるようになったと思いたいじゃないか。一度も魔法が使えていないのだ。魔法が使える世界だというのに。
「そうか…んー…確かに、そうかもしれないな…精霊よ、君達の眼を貸しておくれ『エレメントアイ』持ち主、製造…ん?エフデとケルンになっているな…あとは…わからないな」
父様の魔法でみてもらった。けれども、精霊様が関与していないということは…魔法ではないんだな…魔法ではないと確定されてしまった。
それにしても、石像が動いているってのは驚くな。
「母様達が帰ったら、びっくりするかな?」
どうだろうなー気分をかえて、今後のことを考えようと思う。
そんな俺たちの会話を父様たちは自分たちへ向けたものと誤解したようだ。
「びっくりするだろうな」
「びっくりしますね」
二人そろって、同じことをいった。
なんともいえない空気を感じる。俺のせいじゃないぞ!
みんなが揃ったので、ペガ雄を紹介した。
ペガ雄は、呼んだら、すぐにきてくれたので、よかったのたが、みんな唖然とする中で、母様だけは、唖然としても、口はあけていなかった。
むしろ、だんだんと目を輝かせていたほどだ。
そして、興奮したように、乗ってみたいと、いい出し颯爽と乗って空の旅を満喫した。アクティブすぎる。さらに、母様は、この子も、ペンギンさん物語に出てこれるかしら?と、リクエストしてきた。
ペンギンさんと、ペガサス。
共通点。
ぺ。
四文字。
マフラーをした、空を飛べる微笑みの師匠にして、そのあと書いて送ったのは、いうまでもない。無理矢理だすしか、方法がなかった。
ハンクは翌日、天井に張り付いて寝ていたところを、カルドに注意されたらしい。
また子供扱いされて、迷子と勘違いされたようだ。かわいそうに。
あと、ペガ雄は、いつのまにか他の馬たちのリーダーになっていた。
家族が増えたのはいいことだ。
魔法使えたんだな、俺。
魔法が使えないことはあまり気にしてはいなかった。ただ、時々嫌な思いをすることはあった。
石像が完成したら、みんなに見せようと思っていた。
今日に限って、人手がいないのだ。基本、屋敷から一歩も外に出ない、引きこもり気味な料理長のハンクは、朝食のあとで、ぼそぼそとか細い声で。
「坊ちゃま。俺、一人で、買い物行く…美味しいもの…作る。待ってて」
と、初めて、自分から買い出しに行くというので、屋敷にはいない。心配だからと、こっそりランディがついていって、ランディもいない。スラ吉は、畑の世話を一匹でしていることだろう。
見た目十代後半に見えても、二十歳超えてるんだがな、ハンク。ちょっと、言葉が苦手なのと、表情筋が死んでるけど、大人なんだし、大丈夫…ともいい切れないな…うん。
五歳になったから、お兄さんなんだよー!と、ケルンがハンクに晩御飯の時にいったのが、原因かもな…使用人としても、勤めてからも、最年少だから、ケルンに良いとこ見せようと頑張ったんだろう。
あ、ヤバい。心配になってきた。また、男女問わずにナンパされて、壁とか登ってそう。人見知りだからな…ランディ、ハンクを頼む。
ご飯を食べさせ合いっこしても、たぶん、次の日、天井に張り付いて寝てるだろうからな。
ご飯が絡むことをしないとハンクの気持ちは沈んだままなのだ。
ちなみに、女性陣は、月に一度の女性を労う日という、我が家のルールで、王都に観劇に行ってて屋敷にいない。
タイミングがいいのか悪いのか、棒神様を作った時の余りの魔石をエセニアに運んでもらってると、追加で大人二人分ほどの魔石が何個か届いた。折角だし、庭先で作業しよう!と、女性陣を見送ってから、カルドとのんびりしながら、下絵を描いて、彫刻刀を持ち出して、作業していた。
みんなが帰ってきたらすぐわかるように、出来上がったらみんなを驚かしてやろう!母様は、お馬さんが好きだから、喜んでくれるぞ!と、ケルンもやる気満々だったし。
それで、ペガ雄を彫ることにしたまではよかったんだが…現実に戻ろう。
ペガ雄が空を飛んで唖然としたあと、カルドはすぐに、懐中時計を取り出して、父様を呼んだ。
懐中時計は、学園で貰ったもので、カルドのように、魔力の少ない使用人には、必需品であると、カルド本人がいっていた。魔石や、魔石よりも凄いもので、できているとか。
「坊ちゃま、私の後ろにお下がりください『コール』旦那様、異常事態です。すぐにお戻りください」
カルドはペガ雄を警戒しつつ、ケルンを庇うように、前に出る。
実際の時間でいうなら、二秒もない。カルドの判断で父様を呼ぶことになった。
父様はすぐに屋敷に帰ってきた。というか、カルドの目の前に現れた。
「カルド!ケルンは無事か!何があった!」
「旦那様…あちらをご覧ください」
父様は、魔法ですぐに、庭先まで来てくれたことはかなり嬉しい。
そして、カルドが示す方向を見て、口をあけて、固まった姿は、ちょっとカッコ悪い。
まぁ、気持ちはわからなくもない。
石像が空中に浮いている。羽を羽ばたかせ、まるで、生きているかのようにだ。
「何だ…あれは…」
「ペガサスだよー!」
ケルンが父様に答えると、父様は記憶をたどるように、眉をひそめたが、この世界にはいない動物だ。思い出そうとしても該当する生き物はいないだろう。
「ペガサス…?ケルン、あれはケルンが召喚…いや、ケルンの友達かい?」
かなり慌てているが、冷静な俺は、もし、いつものように、作業場で、彫像をしていたら、作業場がどうなっていたか…確実に屋根とか、吹き飛ばされてそうだな。と、思っていた。
断じて、ケルンと一緒になって、単純に喜んでいない。魔法の力が目覚めたんだ!と、ケルンには考えをすでに流している。
しかし、召喚ね…魔法が使えて、詳しいであろう父様が、召喚だと思うってことは、この魔法らしき現象は、もしかして、魔法じゃないのか?
父様が友達かと聞くのも、どう答えて良いか悩む。作品として考えるなら、親にあたる。製作者だからな。
とりあえず、友達ではまだないので、首を横に振った。
「坊ちゃまが、魔石建材で彫像をされたのですが、独りでに動き出したのです…襲ってくる気配はありません。屋敷の敷地内にも、不穏な気配は感じられません。旦那様…認識阻害の可能性もありますので、確認をお願いします」
「いや、大丈夫だ。あの、ペガサスといったか。あれからも、屋敷内からも…奴らの魔力どころか、特別な魔力を感じないからな。ただ、あれは魔石の一種だからか?…それにしても、飛行しているとは…」
カルドが説明をしたあとに、何やら考え込むというよりも、嫌なことを思い出したかのような表情を浮かべた。父様は、はっきりと、断言してから、どのようなことが原因で起ったのかを思考している。
奴らってってのはなんだろうか?聞けそうな雰囲気ではないから、聞けないが。
しかし、魔法使いの父様が魔力を感じないというってことは…つまり、魔法ではないと…魔法が!使えたと!思ったのに!
思いっきり、地面を叩きたくなったが、そうだった。ペガ雄が動き出す前にあったことを話せねば!
「彫刻刀がね!ぴかっー!って!そしたら、動いたの!」
ケルンの言葉に、父様は、さらに悩まされてしまったようだった。
「彫刻刀が光った?ケルンそれは本当かい?」
「うん!ね?カルド!…カルド?」
カルドにも確認をとろうと、カルドを見上げると、険しい表情をしたカルドがいた。
「坊ちゃま…私には、その光が見えませんでした。確かに光ったのですか?」
「え?ぴかーってしたよ?」
何と、あの光が見えてなかったのか。
「そうなのか?ケルン、光ってしたあとはどうなったんだ?」
「うん!光って、ペガサスの中に入ったよ!」
光が、ペガ雄の中に入ってから、動き出したのは間違いない。あの光が何で、どんな作用があって、こんな状態になったのかはわからないが、あの光が原因であろう。
「ケルン以外が持つと重くなるから、魔道具ではあると思っていたが…まるで…しかし、本人のみなはず…カルド、彫刻刀を購入した店主はどうだった?」
彫刻刀が、やけに切れ味がよくて、心配になったエセニアが、どれほどの切れ味か試そうと持つと、持ち上げることはできても、彫刻刀として振るえなかった。重すぎたらしい。
さらに、プリンをすくうように簡単に彫れるはずの彫刻刀が、まったく彫れなくなっていたのだ。
そして、この彫刻刀は、刃先に触れても、傷がつかない。怪我の心配がなくなったことで、彫像をしていても、みんな安心していた。木槌も使わないぐらいだからな。
購入した店のことを、父様とカルドは、やけに気にしていた。エルフの秘薬と、古竜王の涙石以外に、気になった商品はなかったんだけど、便利な道具が他にもあったのかもしれないな。
「はい、それが…申し訳ありません。やはり見つからないのです。祭りであったこともあり、許可なく店をやっていた者もおりますし、足取りがつかめておりません」
街で商売をするなら、その場所代として、税金を納めるのだが、祭りなどがあると、違法に店を構えるものが出てくるのだ。あのお婆さんも、街に届け出を出さずに店を構えていたんだろう。
「どういった人物であったかは、やはり詳しく思い出せないか?」
「坊ちゃまには、老婆にみえていたそうです。私には妙齢な女性にみえておりましたし、品物も中々に良い物が多くありましたからね…すぐにどこの者かわかると思ったのですが」
フードのせいなのか、カルドには、お婆さんが母様ぐらいの年齢に見えたそうだ。見た目の話だが、流石に、それはないと思うのだが…ってか、え?良い物って…あの、かけた皿とかガラクタが!
カルドの老眼をちょっと、気にした。
「ふむ…緑色では、貴石なはずがないからな」
貴石というものは、この世界にしかない石のことだ。魔石よりも貴重な石とは貴石のことをいう。
詳しくは、学園に入ったその日に勉強するそうだが、魔石が主を選ぶことで、貴石になる。としか聞いていない。父様も母様も持っている。母様は腕に魔石と一緒につけているし、カルドは、懐中時計の針が貴石だそうだ。父様の貴石は、杖についているそうだが、父様の杖を見たことがない。
みんな、淡い青色をしている。春先の空の色によく似ている。
そういや、緑色から、深い青…紺色ぐらいか。海の底のような色の変化があったことを、伝えていなかったけど、まぁ、いいか。大事なのは、どうして、動いているかだからな。
「きっと、僕、魔法が使えたんだよ!」
その可能性が低いことは、わかっているんだが、魔法が使えるようになったと思いたいじゃないか。一度も魔法が使えていないのだ。魔法が使える世界だというのに。
「そうか…んー…確かに、そうかもしれないな…精霊よ、君達の眼を貸しておくれ『エレメントアイ』持ち主、製造…ん?エフデとケルンになっているな…あとは…わからないな」
父様の魔法でみてもらった。けれども、精霊様が関与していないということは…魔法ではないんだな…魔法ではないと確定されてしまった。
それにしても、石像が動いているってのは驚くな。
「母様達が帰ったら、びっくりするかな?」
どうだろうなー気分をかえて、今後のことを考えようと思う。
そんな俺たちの会話を父様たちは自分たちへ向けたものと誤解したようだ。
「びっくりするだろうな」
「びっくりしますね」
二人そろって、同じことをいった。
なんともいえない空気を感じる。俺のせいじゃないぞ!
みんなが揃ったので、ペガ雄を紹介した。
ペガ雄は、呼んだら、すぐにきてくれたので、よかったのたが、みんな唖然とする中で、母様だけは、唖然としても、口はあけていなかった。
むしろ、だんだんと目を輝かせていたほどだ。
そして、興奮したように、乗ってみたいと、いい出し颯爽と乗って空の旅を満喫した。アクティブすぎる。さらに、母様は、この子も、ペンギンさん物語に出てこれるかしら?と、リクエストしてきた。
ペンギンさんと、ペガサス。
共通点。
ぺ。
四文字。
マフラーをした、空を飛べる微笑みの師匠にして、そのあと書いて送ったのは、いうまでもない。無理矢理だすしか、方法がなかった。
ハンクは翌日、天井に張り付いて寝ていたところを、カルドに注意されたらしい。
また子供扱いされて、迷子と勘違いされたようだ。かわいそうに。
あと、ペガ雄は、いつのまにか他の馬たちのリーダーになっていた。
家族が増えたのはいいことだ。
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