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第一章
新たな日々の始まり①
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朝の光が瞼を通して差し込む。
「ん・・・?」
目を開けると、青い空が広がっていた。
空気も澄んでいるようで色彩がよりくっきりと鮮やかに見える。
明らかに東京ではない。
「・・・・・・・・・?」
少しフラつく頭を押さえながら起き上がる。周りの景色を見渡した瞬間にそれまでの記憶が一気に蘇った。
「匠海様。」
「・・・・・・!」
突然後ろから声がした。
突然のことに喉の奥で声が絡まる。
「アグレス様に頼まれて参りました。」
「そ、う・・・です、か・・・。」
その子はアグレスより少し年上ぐらいの姿だった。もちろん実年齢は違うだろうけど。
ショートカットの金髪に碧眼、まるで爽やかな王子のような印象を受けるが、膨らんでいる(現在進行形っぽい)胸部が女性であることを主張している。
「申し遅れました。私、エルフのアマビリアと申します。アグレス様の従者です。」
黙って頭を下げる。本当は失礼に当たるのかも知れないが、僕の名前を知っているのできっと大丈夫。
「まずは無事に異世界転生おめでとうございます。つきましては、この世界や今の匠海様自身についての説明をさせて頂きます。」
とりあえず頷く。
我ながらなんと情けない。
「こちらが匠海様のステータスカードでございます。ステータスカードは随時更新されますので時折ご確認ください。」
便利だな。スキルや称号なども表示されるみたいだ。例えるなら、薄い半透明のタブレットのような感じだ。材質はなんだろうと考えかけてここはファンタジーの世界だと苦笑する。
「次に、会話についての説明です。アグレス様から匠海様は会話が苦手だと聞きました。きっとこの世界の者とのコミュニケーションに不安を抱かれているとご察ししますが、不安に思うことはございません。アグレス様がこんなスキルをご用意されています。」
ステータスカードをいじってスキルの欄に触れてください、と言われて指示に従う。
「このスキルの文字に触れると、匠海様が現在保有されているスキルが表示されます。その中のこちら・・・。『念話』と唱えてください。」
言われた通りに唱える。
・・・何も起こらない。
「これで、頭で思ったことが相手に伝わるようになりました。会話の対象として認識することと文にしてからではないと伝わりませんので考えていることがダダ漏れになる訳ではありませんが、まあ、うっかり変なことを思わないようにお気をつけください。」
《そうですね、気をつけます。》
「あと、文字など基本の常識は刷り込まれているようですので。」
至れり尽くせりだ。
その後色々説明を受けて、気がつけば陽は傾いていた。
「あ、申し訳ございません!匠海様が余りにも聞き上手だったのでつい・・・!」
《大丈夫です。久しぶりに楽しかったです。》
本音だ。
こんなに充実した時間を過ごしたのは何時ぶりだろうか。
「では最後に、竜人族の特徴について話して終わりにしましょう。」
それはなんだろう。何か特別な力でもあるのだろうか。
「竜人族は身体のどこかに特異な能力を持ちます。能力は部位によって決まっていますが、どこの部位を選ぶかによって変わってきます。本来は生まれた時に決まっているようですが、アグレス様が特別に選べるようにしてくださったみたいです。お好きな所を直感でお選びください。」
《どんな能力がつくかは分からないのですか?》
「それは少し・・・。アグレス様も滅多にお話されないので私には分かりかねます。」
分からないものは仕方ない。
よし、運任せ、直感に従おう。
「どれになさいます?」
《目でお願いします!》
アニメとかで見る、目に特別な能力がある人にすごい憧れていた。
「ではそのように。」
効果が現れるには少し時間がかかるらしい。
この付近は魔物なども出没しない場所なので、心配するようなことは何も無いそうだ。
それに、相手が竜人族だと皆怖気づいて襲って来ないらしい。
「これで私は失礼します。匠海様の人生が充実してより良いものになるよう祈っております。」
なんて温かい言葉だろう。
両親が感謝の気持ちを忘れずに、と言っていたが、本当に忘れてはならないものだと実感した。
「ん・・・?」
目を開けると、青い空が広がっていた。
空気も澄んでいるようで色彩がよりくっきりと鮮やかに見える。
明らかに東京ではない。
「・・・・・・・・・?」
少しフラつく頭を押さえながら起き上がる。周りの景色を見渡した瞬間にそれまでの記憶が一気に蘇った。
「匠海様。」
「・・・・・・!」
突然後ろから声がした。
突然のことに喉の奥で声が絡まる。
「アグレス様に頼まれて参りました。」
「そ、う・・・です、か・・・。」
その子はアグレスより少し年上ぐらいの姿だった。もちろん実年齢は違うだろうけど。
ショートカットの金髪に碧眼、まるで爽やかな王子のような印象を受けるが、膨らんでいる(現在進行形っぽい)胸部が女性であることを主張している。
「申し遅れました。私、エルフのアマビリアと申します。アグレス様の従者です。」
黙って頭を下げる。本当は失礼に当たるのかも知れないが、僕の名前を知っているのできっと大丈夫。
「まずは無事に異世界転生おめでとうございます。つきましては、この世界や今の匠海様自身についての説明をさせて頂きます。」
とりあえず頷く。
我ながらなんと情けない。
「こちらが匠海様のステータスカードでございます。ステータスカードは随時更新されますので時折ご確認ください。」
便利だな。スキルや称号なども表示されるみたいだ。例えるなら、薄い半透明のタブレットのような感じだ。材質はなんだろうと考えかけてここはファンタジーの世界だと苦笑する。
「次に、会話についての説明です。アグレス様から匠海様は会話が苦手だと聞きました。きっとこの世界の者とのコミュニケーションに不安を抱かれているとご察ししますが、不安に思うことはございません。アグレス様がこんなスキルをご用意されています。」
ステータスカードをいじってスキルの欄に触れてください、と言われて指示に従う。
「このスキルの文字に触れると、匠海様が現在保有されているスキルが表示されます。その中のこちら・・・。『念話』と唱えてください。」
言われた通りに唱える。
・・・何も起こらない。
「これで、頭で思ったことが相手に伝わるようになりました。会話の対象として認識することと文にしてからではないと伝わりませんので考えていることがダダ漏れになる訳ではありませんが、まあ、うっかり変なことを思わないようにお気をつけください。」
《そうですね、気をつけます。》
「あと、文字など基本の常識は刷り込まれているようですので。」
至れり尽くせりだ。
その後色々説明を受けて、気がつけば陽は傾いていた。
「あ、申し訳ございません!匠海様が余りにも聞き上手だったのでつい・・・!」
《大丈夫です。久しぶりに楽しかったです。》
本音だ。
こんなに充実した時間を過ごしたのは何時ぶりだろうか。
「では最後に、竜人族の特徴について話して終わりにしましょう。」
それはなんだろう。何か特別な力でもあるのだろうか。
「竜人族は身体のどこかに特異な能力を持ちます。能力は部位によって決まっていますが、どこの部位を選ぶかによって変わってきます。本来は生まれた時に決まっているようですが、アグレス様が特別に選べるようにしてくださったみたいです。お好きな所を直感でお選びください。」
《どんな能力がつくかは分からないのですか?》
「それは少し・・・。アグレス様も滅多にお話されないので私には分かりかねます。」
分からないものは仕方ない。
よし、運任せ、直感に従おう。
「どれになさいます?」
《目でお願いします!》
アニメとかで見る、目に特別な能力がある人にすごい憧れていた。
「ではそのように。」
効果が現れるには少し時間がかかるらしい。
この付近は魔物なども出没しない場所なので、心配するようなことは何も無いそうだ。
それに、相手が竜人族だと皆怖気づいて襲って来ないらしい。
「これで私は失礼します。匠海様の人生が充実してより良いものになるよう祈っております。」
なんて温かい言葉だろう。
両親が感謝の気持ちを忘れずに、と言っていたが、本当に忘れてはならないものだと実感した。
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