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生活
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ひまわりは海人の視線を感じたのか、急に振り返りこちらを見た。
海人はやつれてしまったひまわりの顔を見て、胸が張り裂けそうになる。
そして、ひまわりは立ち上がると、海人の方へ走り出した。
でも、海人はひまわりを置いてきてしまった事への自責の念で、体が動かない。
ひまわりが海人の胸に飛び込んできてくれた時、海人はやっと自分を許し、ひまわりを強く抱きしめた。
何度もごめんと言いながら…
海人はひまわりが少し痩せたのが分かった。
そんなひまわりを優しく抱き上げて、岩場の洞窟の中にあるベンチへ連れて行く。
そして、そこに並んで腰掛けると、ひまわりは海人の首にしがみついてきた。
「本当に海人さんよね?
私… 海人さんが… 過去へ帰ったんじゃないかって、不安で、不安で…
だって、過去へ帰ったら、もう二度と会えないから…
だけど、良かった… こんなに近くにいてくれて…
海人さん、会いたかった…」
ひまわりは海人にしがみついたまま、海人の耳元でそう呟いた。
海人はひまわりの顔がよく見えるよう体の位置をずらし、涙で頬にはりついた彼女の髪を優しく耳にかける。
「ひまわりさん、何も言わずに出て行って、本当にごめん。
だけど、僕は、いつか必ず、君を迎えに行こうと思ってた。
早く一人前になって、良平さんや君のお母さんに堂々と胸を張って挨拶ができる男になりたかったし、仕事をして住む所を見つけて、僕自身が落ち着くまではひまわりさんとは会わないって、良平さんとも約束した」
良平との約束を海人は破ってしまった。
でも、この不思議なひまわりとの結びつきに歯向かうことはできない。
自然の流れにまかせたい…
海人は、そう自分に言い聞かせた。
「だけど、本当は君の事が心配で、夜毎苦しくて目が覚めるほどだった。
本心は、君に会いたくて会いたくて、気が狂いそうになってた。
今日、僕はひまわりさんに会って心に決めたよ。
もう、何があっても君を離さない。絶対に離れない。
僕は、君に出会うためにこの時代にやって来たんだ。
僕がここにいる意味が、やっと分かったよ…」
海人はひまわりの潤んだ瞳にキスをした。
もう、自分の気持ちに嘘はつかない。
今度は、ひまわりにそっと口づけをする。
そして、二人は、様々な不安を感じながらそれでも溢れ出る想いに抗うことができず、抱き合ったままくちびるを重ね続けた。
海人はやつれてしまったひまわりの顔を見て、胸が張り裂けそうになる。
そして、ひまわりは立ち上がると、海人の方へ走り出した。
でも、海人はひまわりを置いてきてしまった事への自責の念で、体が動かない。
ひまわりが海人の胸に飛び込んできてくれた時、海人はやっと自分を許し、ひまわりを強く抱きしめた。
何度もごめんと言いながら…
海人はひまわりが少し痩せたのが分かった。
そんなひまわりを優しく抱き上げて、岩場の洞窟の中にあるベンチへ連れて行く。
そして、そこに並んで腰掛けると、ひまわりは海人の首にしがみついてきた。
「本当に海人さんよね?
私… 海人さんが… 過去へ帰ったんじゃないかって、不安で、不安で…
だって、過去へ帰ったら、もう二度と会えないから…
だけど、良かった… こんなに近くにいてくれて…
海人さん、会いたかった…」
ひまわりは海人にしがみついたまま、海人の耳元でそう呟いた。
海人はひまわりの顔がよく見えるよう体の位置をずらし、涙で頬にはりついた彼女の髪を優しく耳にかける。
「ひまわりさん、何も言わずに出て行って、本当にごめん。
だけど、僕は、いつか必ず、君を迎えに行こうと思ってた。
早く一人前になって、良平さんや君のお母さんに堂々と胸を張って挨拶ができる男になりたかったし、仕事をして住む所を見つけて、僕自身が落ち着くまではひまわりさんとは会わないって、良平さんとも約束した」
良平との約束を海人は破ってしまった。
でも、この不思議なひまわりとの結びつきに歯向かうことはできない。
自然の流れにまかせたい…
海人は、そう自分に言い聞かせた。
「だけど、本当は君の事が心配で、夜毎苦しくて目が覚めるほどだった。
本心は、君に会いたくて会いたくて、気が狂いそうになってた。
今日、僕はひまわりさんに会って心に決めたよ。
もう、何があっても君を離さない。絶対に離れない。
僕は、君に出会うためにこの時代にやって来たんだ。
僕がここにいる意味が、やっと分かったよ…」
海人はひまわりの潤んだ瞳にキスをした。
もう、自分の気持ちに嘘はつかない。
今度は、ひまわりにそっと口づけをする。
そして、二人は、様々な不安を感じながらそれでも溢れ出る想いに抗うことができず、抱き合ったままくちびるを重ね続けた。
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