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存在
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ひまわりが家に帰り着くと、さくらは玄関のポーチに座って待っていた。
「ただいま」
ひまわりが疲労困憊の顔でそう言うと、さくらは泣きそうな顔で頷いた。
「おかえり。
お昼過ぎに、お兄ちゃん達が来た。
今日、帰るからって」
さくらはそう言うと、涙を浮かべている。
「私、お兄ちゃんに言ったの、海人さんの居場所を教えてって。
ひまちゃんは、今日の日の出と同時に、海人さんを捜しに出て行ったんだよって。
お兄ちゃんのやってることは余計なお世話だよ。
だって、ひまちゃんと海人さんのこれからは、二人で解決していくことでしょ?
お兄ちゃんのしていることは、妹の私でも理解できないし、許せないって言ってやった。
お願いだから海人さんの居場所を教えてって、何度も頼んだんだけど…」
さくらはもう大粒の涙をこぼしている。
「ありがとう、さくら。良ちゃん達、帰ったんだ…
あ、今日は、収穫ゼロだった。
海人さんがどこに行ったのか、見当もつかないのが現実。
なんか、すごい疲れちゃった。
シャワー浴びて、ちょっと寝るね。
さくらは、あきちゃんが心配するから、お家に帰ってもいいからね。
私は大丈夫だから…」
ひまわりは、無理に微笑んでそう言った。
「全然、大丈夫じゃないじゃない。
海人さんが見つかるまで、私は帰らないからね」
さくらは怒っている。
「ありがとう」
さくらはいつも私の味方でいてくれる。
ひまわりは、今は、素直に感謝した。
ひまわりは飲まず食わずで公園にいたせいで、脱水症状を起こしていた。
頭痛と吐き気がひどく、翌日もベットから起きられない。
海人を捜しに行きたい気持ちが頭から離れないため、目を閉じても眠ることができず体にとっては最悪だった。
さくらはそんなひまわりを見ていられなかった。
あの大人しくて冷静なひまわりからは、想像がつかない姿だったから。
さくらはひまわりと海人がよく出掛けた場所をひまわりから聞き、代わりにそこへ捜しに行く事にした。
自転車で一日かけて、ひまわりと海人のために走り回り、そして、一つの場所に着くと必ずひまわりに連絡をした。
「海人さん、ここにもいないみたい」
家でずっと電話を待っているひまわりを思い、さくらは何でも正直に報告した。
「そう…」
ひまわりは、その一言を返すのがやっとだった。
夕方になり、さくらは果物をたくさん買って帰って来た。
ひまわりは、真夏の暑い中自分のために海人を捜す役目を買って出てくれたさくらの事を思い、ふらつく体で台所に立った。
「さくら、お腹すいたでしょ。何が食べたい?」
「無理しないでいいよ。
今夜は果物でいい。ひまちゃんも一緒に食べよう」
ひまわりはそれでもさくらに何かしてあげたくて、果物を使ってフルーツポンチを作った。
「ひまちゃん、海人さん、どこに行っちゃったんだろうね…」
「…うん」
ひまわりは、また、泣きそうになる。
「今見つからなくても、きっと、いつか、ひまちゃんに会いに来てくれるはずだよ。
私は海人さんのことあまり知らないけど、でも、絶対、そうしてくれると思う。
あんなに正直で真っ直ぐな人が、ひまちゃんを置いていくはずはないから。
絶対会いにきてくれるよ。
ひまちゃん、大丈夫だから」
「ありがとう…」
誰も何も知らない…
海人が、今、この時代という空間で孤独でいることを…
「ただいま」
ひまわりが疲労困憊の顔でそう言うと、さくらは泣きそうな顔で頷いた。
「おかえり。
お昼過ぎに、お兄ちゃん達が来た。
今日、帰るからって」
さくらはそう言うと、涙を浮かべている。
「私、お兄ちゃんに言ったの、海人さんの居場所を教えてって。
ひまちゃんは、今日の日の出と同時に、海人さんを捜しに出て行ったんだよって。
お兄ちゃんのやってることは余計なお世話だよ。
だって、ひまちゃんと海人さんのこれからは、二人で解決していくことでしょ?
お兄ちゃんのしていることは、妹の私でも理解できないし、許せないって言ってやった。
お願いだから海人さんの居場所を教えてって、何度も頼んだんだけど…」
さくらはもう大粒の涙をこぼしている。
「ありがとう、さくら。良ちゃん達、帰ったんだ…
あ、今日は、収穫ゼロだった。
海人さんがどこに行ったのか、見当もつかないのが現実。
なんか、すごい疲れちゃった。
シャワー浴びて、ちょっと寝るね。
さくらは、あきちゃんが心配するから、お家に帰ってもいいからね。
私は大丈夫だから…」
ひまわりは、無理に微笑んでそう言った。
「全然、大丈夫じゃないじゃない。
海人さんが見つかるまで、私は帰らないからね」
さくらは怒っている。
「ありがとう」
さくらはいつも私の味方でいてくれる。
ひまわりは、今は、素直に感謝した。
ひまわりは飲まず食わずで公園にいたせいで、脱水症状を起こしていた。
頭痛と吐き気がひどく、翌日もベットから起きられない。
海人を捜しに行きたい気持ちが頭から離れないため、目を閉じても眠ることができず体にとっては最悪だった。
さくらはそんなひまわりを見ていられなかった。
あの大人しくて冷静なひまわりからは、想像がつかない姿だったから。
さくらはひまわりと海人がよく出掛けた場所をひまわりから聞き、代わりにそこへ捜しに行く事にした。
自転車で一日かけて、ひまわりと海人のために走り回り、そして、一つの場所に着くと必ずひまわりに連絡をした。
「海人さん、ここにもいないみたい」
家でずっと電話を待っているひまわりを思い、さくらは何でも正直に報告した。
「そう…」
ひまわりは、その一言を返すのがやっとだった。
夕方になり、さくらは果物をたくさん買って帰って来た。
ひまわりは、真夏の暑い中自分のために海人を捜す役目を買って出てくれたさくらの事を思い、ふらつく体で台所に立った。
「さくら、お腹すいたでしょ。何が食べたい?」
「無理しないでいいよ。
今夜は果物でいい。ひまちゃんも一緒に食べよう」
ひまわりはそれでもさくらに何かしてあげたくて、果物を使ってフルーツポンチを作った。
「ひまちゃん、海人さん、どこに行っちゃったんだろうね…」
「…うん」
ひまわりは、また、泣きそうになる。
「今見つからなくても、きっと、いつか、ひまちゃんに会いに来てくれるはずだよ。
私は海人さんのことあまり知らないけど、でも、絶対、そうしてくれると思う。
あんなに正直で真っ直ぐな人が、ひまちゃんを置いていくはずはないから。
絶対会いにきてくれるよ。
ひまちゃん、大丈夫だから」
「ありがとう…」
誰も何も知らない…
海人が、今、この時代という空間で孤独でいることを…
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