イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉

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He is 私のもの??

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 ジャスティンは自分の家に着くと、木の実を大きめのソファに寝かせた。 本人は大丈夫と言うけれど、歩かせればフラフラと危なっかしい。

「何が食べたい? 何でもいいよ」

 ジャスティンは木の実の枕元に座り、木の実の髪を撫でながらそう聞いた。 木の実はジャスティンの顔を見ずに遠くを見ている。

「何でもいいの…?」

 ジャスティンはわざと木の実の視線に入るように体を動かして、大きく頷いた。

「じゃ、肉がいいな… 
それも、かたまりで…」

 ジャスティンは思わず笑ってしまった。 
 木の実って本当に面白い。 
 普通の女の子なら、あまり肉という言葉のチョイスはないはずなのに、それに付け加えてかたまりだなんて。そして、俺が惹かれる要素はきっとここなんだ。 いつも驚きの連続で、それが全て愛おしい。

「了解! 
 じゃ、最高に美味しいステーキを焼いてあげるよ。 
 あ、でも、その間に、何かお腹に入れた方がいいかな」

 ジャスティンはそう言うと、たっぷりの練乳とチョコレートソースがかかった真っ赤な苺を、ガラスのお皿にたっぷりと載せて持ってきた。

「順番は逆だけど、デザートから食べといて。 すぐに、メインを持ってきてあげるから」

 そう言ってすぐにキッチンに向かうジャスティンを、木の実はぼんやりと見ていた。
 人に甘える事はあまり好きじゃない。それなのに、ジャスティンには子猫のように甘えてしまう。 
 ジャスティンの存在全てが木の実にとっては完璧な癒しだった。ジャスティンが近くに居るだけで、安心で穏やかで無防備になる。


 ジャスティンはダイニングテーブルの上にステーキとサラダ、あと野菜たっぷりのトマトスープにライスとパンまで置いた。
 
 木の実が相当空腹なのは分かっているけれど、一体、体のためにはどれ位の量を食べさせればいいのだろう。 
 木の実の事だから、出した分は全部平らげるに違いない。 
 ジャスティンはあれやこれや悩みながら、でも、やっぱりあるだけのものを全部置く事にした。

「できたよ」

 ジャスティンがそう呼んでも何も返事がない。 
 ソファの方に目をやると、スースー寝息をたてて寝ている木の実が見えた。一回だけ起こして起きなかったら、ぐっすり寝かせてあげよう。 起きた時に、また温め直して食べさせればいいのだから。

「美味しいステーキが焼き上がりましたけど、どうする?  
 お姫様?」

 それまでスースー眠っていたはずの木の実の目がパチリと開いた。 
 さっき苺を食べたせいなのか、それともステーキというワードを聞いたせいなのか、先ほどの覇気のない目とは違ってらんらんと輝いている。 そして、起き上がった時は、すでに笑顔になっていた。

「食べれる?」

「もちろん!」

 本当に木の実は面白い。 
 究極の食いしん坊で、それでいて、食べ物への感謝の気持ちを忘れない。 
 ニコニコ顔でステーキ肉のかたまりを頬張る木の実は、これほどまでに俺の心を鷲掴みにしているなんて思ってもいないだろう。
 男だろうが、女だろうが関係ない。 
 俺は、この矢代木の実に惚れたんだ。 
 そういう気持ちに、理由や理屈が必要なのか?




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