イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉

文字の大きさ
上 下
26 / 48
He is コイビト??

しおりを挟む



 木の実は、アバンクールヒルズTOKYOの正面玄関の前に立っている。
 実は、モナンジュで働く前までは、このビルの存在すら知らなかった。オーナー夫妻によれば、世界の富豪達がこのビルに集まっているらしい。なおさら、この間までの私には、全く縁のない世界だった…

「今日は土曜日だから夜でも人が多いな」

 木の実は緊張しながらジャスティンの後について行く。ジャスティンと同伴という事は、通りすがりの人達も木の実をセレブだと思うはずだ。そう考えるだけで、ウキウキ感が止まらない。

「今から行く店は、俺の会社の奴らにとってはたまり場みたいな所で、スタッフともすごく仲がいいんだ。
 ま、でも、今日は土曜日だから、会社の人間は来ないけど、スタッフの皆はきっと優しくしてくれると思うよ」

 ジャスティンは、エレベーターに乗り込むと54階のボタンを押した。

「イケメンエリート軍団の方々は、今日は来ないんだ…
 ちょっとだけ見たかった気もするけど」

 ジャスティンは木の実を見て笑った。

「会わなくていいんだったら会わない方がいいと思う。確かにイケメンでエリートな奴らだけど、かなりの変人だから」

 イケメンでエリートで変人??
 ヤバい、なおさら会いたいんですけど…

「着いたよ」

 木の実はエレベーターを降りた途端、子供の時に初めてディズニーランドを訪れた時の高揚感とワクワク感を思い出した。特に、エントランスは薄暗くてプラネタリウムのようで、スペースマウンテンの雰囲気によく似ている。

「ジャスティン、その扉を開けたら、ジェットコースターなんて事はないよね?」

「ジェットコースター??」

 ディズニーランドに行った事がないジャスティンにとって、木の実の言葉の意味がさっぱり分からない。 でも、分からないとしてもこういうシチュエーションには少しずつ慣れてきた気がする。

「いらっしゃいませ」

 重厚な扉の先から現れたのは、真っ黒いタキシードに身を包んだ正統派のイケメンだった。
 木の実はあまり顔をジロジロ見ないように気をつけながら、澄ました表情で軽く会釈をした。

「ジャスティン様、お席はどうなさいますか? 
 個室は今なら空いてますが、いつものカウンターの席でも大丈夫です」

 ジャスティンは木の実を横目で見て、狭い部屋よりもきっと広いメインスぺースの方が喜ぶだろうと考え、カウンターの席でお願いした。
 木の実はそのバーの雰囲気に圧倒されていた。店の中はやっぱり薄暗くまだプラネタリウムの中にいるようだ。そして、一面がガラス張りのせいで、東京の美しい夜景と店の雰囲気が一体化して見える。

「素敵…
 宇宙旅行をしてるみたい…」

 ジャスティンは目をキラキラさせながらバーを見回している木の実を見て、もっともっと色々な場所に連れて行ってあげたいと心から思った。

「よう、ジャス、来てくれたんだ」

 木の実が声がする方に顔を向けると、店の中央にある楕円形のカウンターテーブルの中で手を振るワイルド系イケメンと目が合った。

「木の実ちゃん、久しぶり」

 木の実は瞬時に頭の中をフル回転させた。

 誰? 
 知らない。
 どこかで会った? 
 会ってない。
 でも、木の実ちゃんって…… 
 え、もしかしたら、借金取りの中にこんなイケメンがいたのかもしれない…


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載中しております。

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

六畳二間のシンデレラ

如月芳美
恋愛
8ケタの借金を残したまま、突然事故死した両親。 学校は? 家賃は? 生活費は? 借金の返済は? 何もかもがわからなくてパニックになっているところに颯爽と現れた、如何にも貧弱な眼鏡男子。 どうやらうちの学校の先輩らしいんだけど、なんだか頭の回転速度が尋常じゃない! 助けられているのか振り回されているのか、あたしにも判断不能。 あたしの生活はどうなってしまうんだろう? お父さん、お母さん。あたし、このちょっと変な男子に任せていいんですか? ※まだ成人の年齢が18歳に引き下げられる前のお話なので、現在と少々異なる部分があります。

大人な軍人の許嫁に、抱き上げられています

真風月花
恋愛
大正浪漫の恋物語。婚約者に子ども扱いされてしまうわたしは、大人びた格好で彼との逢引きに出かけました。今日こそは、手を繋ぐのだと固い決意を胸に。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

内気な貧乏男爵令嬢はヤンデレ殿下の寵妃となる

下菊みこと
恋愛
ヤンデレが愛しい人を搦めとるだけ。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...