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He is ホモサマ??

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 シュウがリビングに戻りソファに座っていると、ジャスティンが彼女の元から帰って来た。

「じゃ、俺は、帰るよ」

 シュウがそう言うと、ジャスティンは珍しく大きなため息をついた。

「シュウ、本当に悪い…
 なんか木の実の事になると、コントロールがきかないんだ」

「木の実ね…」

「あ、呼び捨てに違和感があるよな。
 今まで女の子を呼び捨てにするなんてなかったもんな…
 木の実って、木の木の実の字なんだ。顔がリスに似てて、残念ながら、めちゃくちゃ可愛い…」

 シュウは軽く笑った。

「全然、残念じゃないじゃん。
 ま、でも、俺もなんとなく納得がいったかな…
 それと、さっきはあんな事彼女に言ってごめん」

 ジャスティンは、木の実のカレシ様?と言った時の顔を思い出し、ちょっとだけ笑った。

「いいよ、かなり酔ってるからほとんど覚えてないだろう。
 それより、何でベランダなんかで寝てたんだろ?」

 シュウはまた笑った。

「振り回されているうちが花だぞ、ジャス。
 彼女はいつまでここに居る予定なんだ?」

「あと、4日くらいかな」

 シュウは立ち上がり、玄関の方へ歩き出した。

「店にも連れてこいよ。
 最高に美味しいカクテルを彼女に作ってやるから。
 本気で彼女の事を考えているなら、ありのままのジャスを見せなきゃダメなんじゃないのかな?
 お前がどんな風になるか、俺は高い所から見物してやるよ」

 ジャスティンはシュウとハイタッチをした。感謝の気持ちと、色々な複雑な思いを抱えながら。


 ジャスティンは、木の実の寝ているゲストルームに戻った。スヤスヤ寝息をたてて幸せそうに寝ている木の実を見ているだけで、心が癒される。

「木の実?」

 寝ている木の実を見ているだけじゃ満足できす、ジャスティンは木の実に声をかけた。もぞもぞと動くけれど、返事はない。

「木の実?」

 今度は耳元でそう囁いた。またもぞもぞして、今度は瞼がなんとなく開いた気がする。

「起きてる?」

 言葉は発しないが、木の実はコクンと頷いた。

「キスしていい?」

 カチューシャで前髪を止めてジャスティンがそう言うと、木の実はすぐに頷いた。ジャスティンは笑いながら、くちびるに軽くキスをする。

「隣に寝ていい?」

 木の実はもう目を開ける気力もなさそうだ。でも、ジャスティンの質問にはちゃんと頷いた。
 ジャスティンは木の実の体に巻き付いている毛布を優しくはがして、木の実の隣に滑り込む。木の実を背中から抱きしめ、その上にまた毛布を掛けた。
 なんて柔らかくて温かいんだろう…
 男の体では絶対に味わえないこの温もりは、女の子特有のものなのか。

 ジャスティンはリズムよく刻む木の実の呼吸を感じながら、木の実の匂いや肌の質感を自分の脳に植え付けた。
 そして、木の実の匂いや感触は、ジャスティンにとってまるで麻薬のようだった。一度手を出したら止められない。こんなに心地いい気分になれるなんて、俺は365日ずっと木の実を抱いて眠りたいくらいだ。
 そんな事を考えながら、ジャスティンも深い眠りに落ちていった。

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