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He is ホモサマ??

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 ジャスティンは頭を抱えながらエレベーターに乗った。シュウがここに来るなんて想定外だ。基本、シュウとは外でしか会わない。
 でも、このマンションに2回ほど泊めた事はある。その時はお互い飲みすぎて、ここへ帰って来るのがやっとだったから。男同士のカップルってそんなもんだと、ジャスティンは思っていた。必要以上にベタベタしない。
 特にシュウは大人しくクールな性格だったため、ジャスティンはそこに惹かれていた。

「よ、どうした? こんな時間に」

 この男同士のカップルは、見た目はシュウがリード役に見えるだろう。
 金髪で綺麗な顔のジャスティンは一見可愛らしい性格に見られがちだけれど、中身は完全に俺様男子だった。そして、シュウももちろん性格は男だ。でも、クールさの内側にはナイーブな要素も持っている。
 エントランスのソファに座りスマホをいじっていたシュウは、ジャスティンの声を聞いて立ち上がった。

「どうしたはこっちだよ。映司と謙人の話じゃ、女の子にのぼせ上がってるそうじゃないか」

 ジャスティンは、うんざりした顔をする。

「今日、店に映司と謙人が来て、俺を見て、何だかにやつくからさ…
 こっちが聞かなくても、ベラベラ喋ってくれたよ」

 あ、もしかして、映司はあの交差点で俺が木の実の元へ走って行くのを見てたのかもしれない。
 そりゃ、トップニュースだわ…

「で? それって本当の話なのか…?」

 ジャスティンもシュウの隣に腰かけた。もう夜中の1時を過ぎている。エントランスには、もちろん誰もいない。

「シュウ、本当にマジでごめん…
 その映司達の話なんだけど、多分、ほとんど合ってる…」

 シュウは動揺を見せずに静かに聞いた。

「俺自身、今、ものすごく戸惑ってて、でも、はっきり言えるのは、その女の子に夢中になってる。
 ヤバいよな…
 しばらく、俺達のこの付き合いは保留にしてもらいたいんだ。
 今の状態で何かを決めるのは早急だと思うし、俺自身の中での変化が一過性のものなのか、元々あったものなのか、単純な事だけど一番にそれを見極めたい」

「お前、今まで、女の子を抱いた事あるのか?」

 ジャスティンは鼻で笑った。

「それが実はあるんだ。高校生の時だけどね。でも、その時に俺は女の子には興味を持てないって思った」

 シュウはジャスティンの目をジッと見ていた。
 俺の知っているジャスティンは絶対に嘘をつく男じゃない。
 でも、今のジャスティンは、シュウも知らない不思議な表情を浮かべていた。

「分かった…
 でも、条件がある。
 その女の子を俺にも紹介してほしい。
 今、家にいるんだろ?
 俺にも見せてよ、そのジャスティンをメロメロにした女の子をさ」

 ジャスティンは、しばらく返事ができなかった。シュウは信頼のおける最高にいい奴だ。映司や謙人に木の実を紹介するのとは、全然話が違う。
 でも、ジャスティンの胸の奥はザワザワと騒ぎ始め、それもこれも何もかも初めての経験でどう対処していいのか分からない。

「嫌だって言ったら?」

「何でだよ」

 シュウはそんなジャスティンが可笑しくて、ちょっと笑った。

「ねえ、俺はゲイだぞ。
 その女の子がめちゃくちゃ可愛くても、俺はジャスティン以外は愛せない」

ジャスティンは小さくため息をついた。

「俺も三日前までそうだった。
 人生何が起こるか分からない事を、身に沁みて感じてる。
 シュウだって、そんな時が来るかもしれないだろ?」

「それは今じゃないよ。そんな、俺までその子にメロメロになるなんてあり得ない」

 ジャスティンは、それでも胸のざわつきは治まらない。

「そうだよな…
 それは分かってるんだけど。
 あいつが……
 あいつが、シュウに惚れたりしないよな…?」

 シュウは目を丸くして、大きな声で笑った。

「ジャスティン、お前ヤバいな。
 まるで、恋する乙女な男の子だよ、それじゃ。
 俺に惚れるかどうかはそれは何とも言えないけど、でも、その子は俺にはちゃんと紹介する事。いい?
 で、その子は俺達の仲は知ってんの?」

 ジャスティンは目をグルッと回し肩をすくめた。

「中々な天然な子で、俺的には言ったと思うんだけど、全然分かってない。
 だから、知らないと一緒。
 シュウ、これも本当に悪いんだけど、しばらくは黙っててほしい」

 シュウはその事に関しては、あえて返事はしなかった。
 時と場合によりけりでいいんじゃね?
 なんて意地悪な事を思いながら。



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