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He is ホモサマ??

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「そんな大切なお酒を、私と一緒の時に開けていいの…?」

 木の実はシャンパングラスを手に持ったまま、ジャスティンにそう聞いた。

「なんで?
 俺にとっては木の実と出会えた事がなんだか凄い意味があるような、そんな気がしてるんだ。
 結構、甘口だから木の実の口にも合うと思うよ。
 いいから、飲んでみて」

 木の実の胸はもうお酒を飲んだ後のようにドキドキしている。こんな状態でシャンパンとか飲んだら、一気に酔いが回りそう。

「美味しい…」

 木の実のその一言で、ジャスティンの顔に満面の笑みが浮かんだ。


「だろ? 
 じゃ、これも一緒に食べてみて」

 ジャスティンは蓋のついたガラス製の皿の中から真っ赤な苺を取り出し、木の実のグラスの中に入れた。

「日本ではバブルの全盛期にシャンパンに苺を入れるっていうのが流行ったらしいけど、実は、ヨーロッパでは普通によくやる事なんだ。特に、こんな甘めのシャンパンの場合はね」

 木の実はシャンパンの中でさらに赤く輝いて見える苺を、うっとりと眺めた。
 私の知らない世界、縁のない世界、憧れの世界、そして、全てを持ち合わせてる青い目の王子様。
 ここが自分の居場所じゃないことくらい百も分かっているはずなのに、何でこんなに居心地がいいのだろう。

 木の実はその苺の入ったシャンパンを一口飲んでみると、甘酸っぱくて、でも、ちょっとほろ苦くて、今の自分の胸の中と同じような切ない味がした。

「美味しい…」

 ジャスティンは最高の笑顔で木の実にウィンクをする。

「木の実ってさ、本当に食べさせがいがあるから俺もなんか楽しい」

 ジャスティンは心の底からそう思っていた。
 お金や物が溢れた時代だからこそ、木の実みたいな女の子は本当に珍しい。
 さっき、木の実から日本男児という指摘があったけれど、あながち間違っていない。食事を残される事は、悪口を言われるよりもムカついてしまう。
 もういい大人だからムカついても普通に笑顔を取り繕う事はできるけど、でも、ジャスティンの中でその人間の価値は消えてなくなる。だから、きっと、そういう女の子には興味が持てなかったのかもしれない。

 ジャスティンが物思いにふけりながら木の実を見ていると、木の実は自分でシャンパンをグラスに注ぎ始めた。

「おかわりする? 
 大丈夫?」

 ジャスティンは木の実の顔が赤くなっている事に気づき、自分のソファを離れ木の実の隣に座った。


「だ、大丈夫です。
 この苺の入ったシャンパン、すごく美味しいし、すごく可愛いくて、こんな風にお酒を美味しいって思ったのは初めてかもしれない」

 ジャスティンは、ほんの少しだけ木の実のグラスにシャンパンを注いだ。木の実の気持ちを上げるために、苺は2個入れる。

「もう、本当に可愛い……」

 木の実はグラスを持ち上げて、中に入っている苺たちをウットリと見ながらそう言った。
 ジャスティンはそんな木の実の可愛い仕草に、恐ろしい程、胸がキュンキュンと高鳴り始める。

 ヤバい…
 木の実にキスしたい…

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