イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉

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He is 日本男児??

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 木の実が店へ戻ると、オーナーを始めとする店にいる全員が木の実の帰りを待ち構えていた。


「木の実ちゃん、どういうこと?」


 オーナーは本当に驚いた様子でそう聞いてきた。


「あ、あの…」


 木の実は真実は絶対に伏せなければと、心に誓った。ジャスティンに拾われただなんて、お互いとも人間性を疑われてしまう。


「じ、実は、私の兄の知り合いで…」


 お兄ちゃんがいる事は嘘じゃない。でも、ジャスティンみたいなイケメンの友達なんて見た事がない。


「まあ、そうなの!
 木の実ちゃんのお兄様は、どこにお勤めなのかしら?
 だって、レスターさんの勤めている会社は、世界でも有数の超一流のIT企業だもの。あの会社の評判はもう若い女の子の話の中心なのよ」


「イケメンエリート軍団でしたっけ?」


 水田さんが自慢げにそう言った。


「イケメンエリート軍団??
 何ですかそれ?」


 木の実がはてな顔でそう聞くと、そこで立ち聞きをしていたセレブな奥様が、身を乗りだして話の輪の中に入ってきた。


「噂では、この東京支社で働くイケメンエリート達は、5か国語を操って、月に何億というお金を転がしてるという話です。
 私、噂には色々な話を聞いてはいたんですけど、現物をこんな間近で見たのは初めてで、かなり興奮しています。
 レスターさんは、日本人の血は一滴も入っていないけど、中身は生粋の日本男児だって聞きました。それでいてあんなに素敵だなんて、モデルさん以上でしたよね……」


 オーナーの奥様も水田さんもたまたま居合わせたお客様も、顔を赤くして頷いている。


「木の実ちゃんのお兄様も、この近くにお勤めなの?」


 皆の視線が一斉に木の実に注がれた。きっと、ジャスティンみたいなイケメンエリートの立派な兄を想像しているに違いない。


「あ、近くではありません…
 公務員ですので…」


 それも嘘ではない。埼玉の奥にある小さな街で地方公務員として働いている。


「あら、そう。じゃあ、霞が関の方なのね」


 霞が関? あの、官公庁が集まっている?
 もう、いいや、そういう事にしておこう。


「……はい」


 木の実はこれ以上突っ込まれたら、もう嘘をつく勇気がなかった。さすがに、そんな簡単に平気で嘘なんかつけない。


「こんにちは~、注文の品を持ってきました」


 正面玄関にタキシードを着た男の人と上品なメイド服を着た女の人が、大きな荷物を抱えて立っていた。


「モナンジュさんにお届け物です。
 あ、私達は、向かいのビルに入っているイタリアンレストランのビストロボーノの者です。
 EOCのレスター様から差し入れだそうですが、どこに置いたらいいですか?」


 皆の口があんぐり開いた状態の中、オーナーだけはしっかり応対した。


「あ、ありがとうございます。とりあえず、奥のテーブルに運んでもらえますか?」


 皆で豪華なランチを終えた後、木の実は自分の身に起きている事柄を改めて真剣に考えてみた。
 ジャスティンは、イケメンエリート軍団と呼ばれている超一流のセレブな人間で、普通に生活していれば、そんな人達とは出会うことなんて絶対にない。でも、二人は出会った。
 木の実にとって非常事態の中のジャスとの出会いは、何か深い意味でもあるのかもしれない。



 木の実は仕事にも慣れ、お客様の相手も上手に出来るようになってきた。オフィス街でありショッピングもできるこの通りは、平日でも人の往来が絶えない。そのため店が開いている間は終始忙しかった。


「木の実ちゃん、もう7時だから上がって下さいね~」


 奥の倉庫の方からオーナーの声がした。


「はい、分かりました~」


 木の実はそう言うと、レジのお金をチェックしてパソコンに入力する。そして、奥から戻って来たオーナーと入れ替わり、木の実は更衣室へ向かった。制服を着替え身だしなみを整えると、ジャスティンの事を思い出す。

 本当にカフェの前で待っていてくれるのかな…?
 そんな一流企業だったら、きっと忙しいはずなのに…

 木の実は半信半疑で外へ出た。ジャスティンに言われた待ち合わせの場所へ向かうと、やっぱりジャスティンの姿は見えない。木の実は落ち込んでしまっている自分の気持ちを何とか奮い立たせ、カフェの前でしばらく待った。



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