イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉

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He is ナニモノ??

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 ジャスティンは、木の実の食欲旺盛さに驚いていた。見た目は細身で、顔の感じからしてそんな大食い女には見えない。というより、ジャスティンの周りにいる女の人は皆そんな食べないし、あまり食べれない事がお上品と思っている勘違いのセレブ女が多かった。

でも、木の実はモリモリよく食べる。ジャスティンの目には、子リスが顔よりも大きな木の実を無我夢中で食べている、そんな風にしか映らなかった。


「ねえ、何日食事してなかった?
 正直に言ってみ」


 ジャスティンは目にかかるほど長めの前髪を、黒のカチューシャで止めていた。コンタクトを取り黒の角ばった眼鏡をしたジャスティンはセクシーグラビア系雑誌に出てくる外国人モデルのようで、木の実は失礼だと分かりながらジャスティンのしなやかな体と綺麗な肌をウットリと見ていた。


「ねえ? 聞いてる?」


「え? あ、はい…
 食事ですか…? 
 え~と、昨日の夜から食べてません。
 でも、今朝は、ネットカフェに無料のロールパンが置いてあったので、それを二個ほどあと無料のコーヒーも」


 木の実はまた肩をすくめて苦笑いをしている。肩をすくめる仕草が癖らしい。それか肩をすくめなきゃならないほど、困った事柄が多いのか?
 でも、どういうわけか、ジャスティンはこの木の実の仕草がとても好きだった。


「え? ちょっと待って。
 ネットカフェ? 
 今までネットカフェに寝泊まりしてたの?」


 木の実はしまったと思っている。あまりの満腹感で、思考回路が鈍くなってきているに違いない。


「ジャスのその瞳、本物だったんだね?」


「へ?」


 木の実はどうやら自分の置かれている状況にあまり触れてほしくないらしいと、ジャスティンはそう理解した。でも、それにしても、木の実特有の話の急な展開にはついていけない。


「その瞳…
 本物のブルーアイだったんだ。
 私、実は、たまにカラーのコンタクトレンズをつけたりするんです。
 特に、圧倒的に青が多い。
 いいな~、ジャスティンは…
 私も、そんな目で生まれたかった」


 ジャスティンは、木の実の小さな鼻をツンと押した。


「俺は、木の実のこの顔が好き」


 木の実はまた赤くなる。


「ジャスにそうやって言われたら、たいていの女の子はジャスの事好きになっちゃいますよ」


 ジャスティンは、木の実は自分がゲイだという事を理解していないのかもしれないと、なんとなく思った。
 あの駐車場でそれとなく言ったと思うんだけど…
 でも、理解してないなら、理解してなくていい。
 普段の俺ならそういう風にうやむやにする事が一番嫌いなはずなんだけど、木の実に限ってはそれでいい。


「木の実は?
 俺の事、好きになっちゃった…?」


 木の実は、また肩をすくめてニコッと笑った。
 胸キュンとか、キュンキュンとか、もしかしたら今俺は、それを体感している最中なのかもしれない…





 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。木の実はご馳走になったお礼に、率先して片付けをし始めた。でも、優しいジャスティンは、木の実と一緒に片付けをしてくれる。


「木の実の仕事は何時から始まる?」


「朝の10時からです」


 ジャスティンはグラスを拭き終わると、壁に掛けているデジタル時計を見た。


「明日の朝は一緒にここを出よう。
 あ、それと、昼休みは一緒にランチして、帰りもまた一緒に帰ってこよう」


「え~、そんな悪いです。
 それに、私、家探しもしなきゃならないので、帰りは自分で帰ってきます」


 ジャスティンはこんな些細な事なのに、凹んでしまっている自分が情けなかった。


「うん、分かった……
 ほら、もう遅いから部屋に戻っていいよ。
 あの部屋にはバスもトイレも付いてるから、ゆっくり休んで…」


 木の実は何となく元気がないジャスティンを見て、少し心配になる。


「ジャスティン、私がここに居るの本当は迷惑なんじゃない…?」


 ジャスティンは前髪を止めていたカチューシャを取ると、首を横に振り無造作に髪を動かした。


「全然、そんな事ないよ。逆に嬉しい… 本当だよ」


 ジャスティンはそう言いながら、客室に向かう木の実を見送った。
 木の実といるせいで激しくうるさいの胸の高鳴りを、迷惑と思うのか、それとも歓迎と思うのか…?
 まだ答えは出ないし、何も分からない。それが、吉と出るのか凶と出るのかも…

 でも、今まで味わった事のない何かが、ジャスティンを包み込んでいく。恐怖と、快楽と、そして癒しのような不思議な何かが……




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