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He is ナニモノ??

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 ジャスティンは最上階にある自分の部屋へ向かうため、最上階専用のエレベーターに乗り込んだ。この時点で、木の実の目はまん丸になっている。


「ジャスティンは、一体何者なんですか?」


「は? 何者って?」


 ジャスティンは、エレベーターの中で興奮状態になっている木の実を面白そうに見つめながらそう聞いた。


「だって、歳はまだ20代のはずなのに、それに話してる感じは悪い事しているようにも全然見えないし、あんなカッコいい車に乗って、こんなすごいマンションのそれも最上階って…

 あ、もしかして、ご両親と一緒にお住まいですか?
 だったら、私、きっと追い出されてしまう…
 やっぱり、私、帰ります」


 木の実が一人でオロオロと喋っている間に、エレベーターは最上階で停まった。


「木の実って、本当に面白いね。見てて全然飽きないよ。
 それと、俺はもうすぐ29歳になるまだまだ20代男子、親との同居はあり得ない、ここには一人で暮らしてます」


 ジャスティンはそう言いながら木の実の手を引いて玄関まで来ると、観音開きタイプの大きなドアをわざと大げさに開け放った。すると、木の実は目をキラキラと輝かせて、驚いたように口に手を当ててジャスティンを見る。


「しばらくはここに居たらいいよ。
 ようこそいらっしゃい、僕の可愛い子リスちゃん」


 ジャスティンは、木の実のスーツケースをゲストルームへ持って行く。もともと来客は多い方ではないけれど、女の子をここに泊めるのは初めての事だった。


「木の実、ちょっとここに来て」


 木の実はまだリビングから動けずにいた。最上階というだけでここが何階なのか想像すらできない。もしかしたら、朝になれば、ベランダから雲へ乗り移れるかもしれないなんて、真剣に考えている自分が情けなかった。

 木の実はジャスティンの声がする方へ行ってみると、そこは一流ホテルのスウィートルームのような部屋だった。


「ここを好きに使っていいから。
 女の子をほとんど泊めた事がなくて、だから、何か足りないものがあったら言ってほしい。
 今から、一緒に買いに行こう」


 木の実は夢でしかあり得ない事が、今、自分の身に起こっている現実に、驚きと感動と感謝で涙が溢れてきた。
 それ位、自分では気付いていなかったけれど、精神的に相当追い込まれていた。でも、心の片隅で甘い言葉には注意してと、もう一人の自分が叫んでいる。


「ジャスティンさん…
 やっぱりおかしいです…
 なんで、こんな私に親切にしてくれるんですか?
 まさか、たくさんいい思いをさせて私の感覚を鈍らせて、東南アジアとかに売っちゃうとか…」


 ジャスティンは、喜んだかと思えば泣いたり怯えたりするそんな木の実からやっぱり目が離せない。
 にしても、なんで東南アジアなんだ?
 ジャスティンは、やっぱり笑ってしまった。


「俺って、そんな風に見える?」


 木の実はポロポロ涙をこぼしながら、首を横に振った。


「それに東南アジアとかさ。
 もし、売ってしまうんなら、フランスのモデル業界にするよ。
 そのリスみたいな顔は、絶対にウケると思うから」


 木の実はほめられてるのかけなされてるのか分からなかったけれど、でも、とりあえす、フランスとモデル業界というワードだけで、もうすでにジャスティンを信用した。


「ジャスティン、このカーテン開けていい?」


 ジャスティンは大きく頷いた。木の実が恐る恐るカーテンを開ける姿を嬉しそうに見ている自分に、ちょっと戸惑ってしまう。


「素敵………」


 カーテンを開けた先に見える夜景は、ジャスティンもお気に入りの風景だ。


「だろ?
 この風景は、しばらくは木の実のものだから」


 木の実の隣に来たジャスティンがそう言うと、木の実はひくひく肩を震わせながらジャスティンの手を優しく握りしめた。


「本当に、本当に、ありがとう…
 ずっとついてなくて、最悪な事ばかり続いて、でも、今日、こんなに素敵なプレゼントを神様が用意してくれてたのなら、今までの事も水に流せそう。

 でも、甘えてばかりじゃ絶対にダメだから、一週間だけ居させてください。
 その間に、住む家を必ず探します…
 そして、泊めてもらった分の代金も必ず支払います…」



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