牢獄の夢

平坂 静音

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 いえ、邪推すればあなたを暗殺してでも王位を望んだかもしれません。

 思えばエンリケ様も不遇なお方でございました。せめて長男ではなく、あなたのあとに弟として生まれてくれば、まだしもご自分の運命を受け入れられたかもしれませんが、幸か不幸か先王の最初の男子として世に生を受け、なまじ深く愛され期待され、そしてたしかに知略も体力もあるため、いっそう玉座への夢が捨てきれないのでございましょう。

 そんな双子の兄と異母弟のあなたのあいだで、ファドリケ様は何を思われていたことでございましょうか。

 母上を殺された運命はどうあれ、心のうちでは王位への執着がない分、どうにかしてあなたと兄上との和解をのぞまれていたかもしれません。もう少し穏やかな解決策をねがわれていたかもしれません。それなのに、運命というものはまことにむごいものでございます。

 あなたは卑劣な騙し討ちのような形で、何も知らずにあなたを訪れたファドリケ様を無残にも殺害した。

 殺されることを察したファドリケ様は、よっぽど恐ろしかったのか、気の毒に幼いあなたの娘を楯にしようとしたとか……。

 騎士としてはたしかに失格ですが、このことでファドリケ様を責めることはできませんよ。そもそも先に騙し討ちをたくらんだあなたのやり方が騎士道に背くものなのですから。
しかも、あなたは血を分けた兄を殺害したすぐそのあと、死体が運び出されるのを横目に平然と食事を楽しまれたとか。

 残酷王。

 本当にその名に恥じない冷酷無比な態度でございます。双子の弟をそんな無残なやり方で奪われたエンリケ様の胸中はいかほどのものか。その嘆き怒りが察せられます。骨肉同士の争いとは実に浅ましく醜く悲しいものです。
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