聖白薔薇少女 

平坂 静音

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「え……で、でも、三年になって卒業したら……」

「学院長が卒業を認めないかぎりは出れません」

 美波は呆然とした顔になっていた。

 シスターたちのなかでは温厚で、情もあるように見えるシスター・グレイスが頬をひきつらせて厳しい言葉を言いはなっているのに驚きもしたが、彼女の言っていることが今ひとつよく解らないのだ。

 美波の凝視に気づいたのだろう。シスター・グレイスはやや表情をやわらげた。

「だからあなたも規則を守って清く正しく生き、罪を償うのです。汚れた心身をここで洗い清めるのですよ。そうすればいつか出ることができます」

「はあ……」

 と言いつつも美波はたまらなく不安で不快な気持ちになってきた。シスター・グレイスのはなった言葉が毒蜘蛛の糸のように絡みついてきて身体が重たい。

「とにかく、部屋に戻りなさい」

「は、はい」

 ペタペタと自分のたてるひどく間抜けな足音を聞きながら、美波は自室へと向かった。

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