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2巻
2-15
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「エンガシュさん! 駄目だ! 死んじまう!」
「こんなところで死んでたまるか! あ、あ、アレを持ってこい!」
「だがエンガシュさん、アレは使えるかどうかわからねぇって言ったじゃねぇか!」
「うるせぇ!!」
「エンガチョさん、村の子供はどうしやす?」
「そんなの構っていられるか!」
「別のところに移しやす? どこにいるんでやす?」
「別棟の奥の部屋だ! それよりアレを! ……? なんだ今のは」
俺の演技に騙されてくれた。別棟の奥の部屋オッケー。
クレイは元気よく暴れてくれている。気絶している男は無視。歯向かう男は……いないようだな。へっぴりばかりで良かった。たとえ高位冒険者がいたとしても、あの大魔王っぷりを見れば逃げ出すだろう。口から火とか稲妻とか噴かないかな。
さてはて、あっちはクレイにまる投げして、俺は外へ。
砦の別棟があったのか。さすがに気づかなかった。別棟に通じる回廊はどこだろうか。
「灯光!」
巨大な光の玉を四つ作り、砦を囲うように明るくさせる。これで敵には一目瞭然だが、クレイや俺が動きやすくなるほうが大切。
「おまえっ! そこで何ブッ!」
「ピュイイィーー!」
見張りらしき男が剣を構えるが、ビーが猛烈な勢いで男の鳩尾に突っ込んだ。男は白目を剥いて卒倒。あれ痛い。絶対に痛い。
「両手に硬化!」
走った勢いのまま別棟に続く扉を発見。そのまま突進。鍵を壊すのが面倒だから、硬化した手で扉ごとブチ壊す。発泡スチロールみたいにもろく感じる扉をいくつか薙ぎ倒し、奥を目指した。
「ゴンザー! どこだゴンザーーッ!」
「あんちゃん? あんちゃーんっ!」
返事あり!
一番奥の部屋の前まで行き、扉を叩く。
「ゴンザ、そこにいるな?」
「あんちゃん! あんちゃん!!」
「扉を壊すから離れていろよ! 隠れられるところはあるか?」
「ふええっ、ふえっ、わ、わかったずらぁ!」
探査を展開してゴンザの位置を確認。よし、思ったより大きな部屋のようだ。一応加減をして扉を破壊。鉄格子をぐんにょりと曲げて出口を確保。
部屋の中には簡易ベッドが一つあるだけだった。その陰から泣きはらして顔面ぐっしょりの子供が飛び出した。
「あんちゃ、あんちゃーーんっ!」
「おぶフッ!」
ゴンザの脳天が鳩尾に突進。加減を知らない子供の勢いって時々最強だよなと思いつつ、震えるゴンザを抱きとめる。
こんなに細くて小さいのに、無理やり連れ去るなんて。
「よく頑張ったな、村の皆は大丈夫だからな!」
「ふえええええ! うええええええっ!」
「よーしよしよしよし。すぐ帰ろうな、村に帰ろう」
ゴンザを宥めている暇はない。泣いて震えるゴンザを背負い、その場から脱出。
別棟から出ると砦は赤々と燃えていた。この数分に何が起こったわけよ。
「あんちゃん燃えてるずら!」
「赤いねー」
しかもこの振動。どんだけ暴れているんだクレイ。
ズズン……
ズズン……
クレイの足音にしては酷く響く気がする。
砦から逃げ出す男たちは後ろを振り返りつつ、その顔は恐怖に怯えている。さっきの魔王クレイに対する怯えとはまた違うような。
逃げ惑う男たちの一人を呼び止め、状況を聞く。
「なあなあ、どうしたの?」
「ヒイッ! な、なん、何言ってんだ! 早く逃げろ!」
「中で何があったんだ?」
「化け物が! 二匹!」
「一匹はでかいドラゴン? もう一匹は?」
「エンガシュが呼び出しやがった! 湖の、悪魔だ!!」
なんですと?
男は顔を真っ青にし、俺の制止を振りきって逃げてしまった。
「湖の悪魔? って、イーヴェルの花の神話のアレか?」
「神様がふういんしたっていってたずらよ」
「そうだよなあ。封印したのに、なんでわざわざ呼び起こす?」
「ピュー」
そりゃあ保身のためだろうが、神様が自己犠牲で封じた悪魔をどうやって呼び覚ましたのだろうか。この短時間で怪しげな儀式をやって封印解いて、なんてことできないだろう。それとも本当にそんな悪魔がいたのか?
ギョアアアアア!!
背後の燃え盛る砦から、聞いたこともない怪獣の叫び声。
これはクレイの雄叫びじゃない。確かに別の何かが中にいるんだ。
「ゴンザ、ちょっとそこらへんに隠れていて……」
「やーーーっ! おいら、おいら、あんちゃんからはなれないずらよ!」
「置いていかないから、ちょっと待ってろってば」
「やだああ!!」
泣き止んだ子がまた泣いてしまった。
連れ去られて独りにされたのがよほど応えたのだろう。俺だって拉致監禁されたら完全なトラウマになる。置いていかれるのは不安でたまらないだろうからな。仕方がない。
「わかった、俺の背中から絶対に離れるなよ、これからこの燃えている砦の中に入るからな!」
「あいっ!」
「ビー、雨雲呼べるか? 消火しないと」
「ピュイッ!」
ビーが天高く飛び立った。雨雲を呼ぶのは数分かかる。その間俺は謎の悪魔の確認と、怒れる魔王の補助。ついでにエンガチョの捕縛。
「結界展開!」
盾よりも結界のほうが暑さ寒さを感じずに済む。背中のゴンザを包み込むように光の膜を張った。
「ゴンザ! 行くぞ!」
「ずらーっ!」
砦の中はあちこち壊れ、今にも階上が崩れてきそうな有様だった。柱がいくつか折れている。このままじゃ砦が壊れるのも時間の問題。
「ええい忌々しいっ!」
クレイの叫び声が轟いた。どこで何してんだあのおっさん。
「ギョガアアアッ!」
「我の前に立ちはだかりしその勇気、褒めてやろうっ!」
目の前の壁をブチ破って飛び出てきたのは、青色から黒色に変色しつつある大魔王クレイストンと。
なにあれ。
いくつもの触手? らしきものがウネウネとウネウネしている謎の……
「イソギンチャク?」
赤や青や黄色の鮮やかな色をした、巨大なイソギンチャクがいた。クレイの全身に触手が絡まり、とんだプレイになっている。
いやたぶんあれ、猛毒の触手とかだと思うんですよ。クレイの皮膚のあちこちが変色しているのは、たぶん毒に侵されているから。それでも元気良く暴れているってことは、クレイにも免疫力とか耐性力とかあるのだろう。
それにしてもこんなモンスターもいるのか。これが伝説の悪魔だとは到底思えない。ちょっと強いモンスターにしか見えないし、悪魔と呼ばれるほど恐ろしくもない。どうやってこんなところまで来たんだ?
【ダークアネモネ ランクB】
海に棲むレッドアネモネの上位種。触手に毒を持ち、獲物を刺して痺れさせてからじっ
くりと殺す。
[備考]食用には不向き。
[召喚者]エンガ・シャイトン。
召喚者ぁ!?
なんだよコイツ、あのエンガチョが召喚したわけ? そんな芸当できるの? 召喚ってどうやるんだよ。
「あわわっ……あわわわ」
「お前かエンガチョこのやろうっ!」
崩れかけた広間から這いつくばって出てきたボロボロのエンガチョを捕まえ、出口まで放り投げる。
「ぎゃあああ!!」
「何をしたんだ! あんな化け物呼びやがって!」
「俺は、俺は、違う!」
「違うじゃねぇよ! 召喚者アンタになってんだよ! お前が呼んだんだろうが!」
「ヒイイ! これは、これは、強いモンスターが召喚できるって聞いて!」
「どうやって召喚ってするんだよ。ちょっとやり方教えて」
「召喚符に自分の血を垂らして呼ぶんだ!」
「へえー。召喚符ってどこかで売ってんの?」
「男爵がよこしたんだっ! いざとなったら使えって!!」
あー。
なるほどね。
今ので理解した。
「ギョギャアアアアアッ!!」
「ヒイイイッ……」
イソギンチャクの咆哮によって、エンガチョは泡を噴いて気を失った。これはこれで都合がいい。鞄から縄を取り出してぐるぐる巻きにしてやる。そのまま担いで砦の外にブン投げた。落ちる衝撃であちこち折るかもしれないが仕方がない。人命救助。
エンガチョが男爵と呼ぶのは、エゼル・シャイトン男爵のことだろう。その男爵にいざとなったら使えとよこされた召喚獣、イソギンチャク。ランクBのモンスターで、人の言うことなんて聞きそうにない化け物。
シャイトン男爵は、エンガチョが追い詰められたら殺すつもりだったのだろう。この化け物によって。
トカゲの尻尾切りのつもりか? 証拠隠滅なんかしてやるかよ。エンガチョさえ生きていれば、男爵を今度こそフィジアン領から追放できる。もしかしたら極刑かもしれない。
腐った領主なんていらないんだ。
領民にとっては領主だろうと国王だろうと、誰でもいい。自分たちの生活さえ守ってくれるのなら、それこそ血筋なんて関係ない。
「ゴンザ、大丈夫か?」
「あいっ!」
「よし、これからクレイの援護に行くからな。怖かったら目ぇ瞑っていろよ」
煙に混じって水の匂いがする。雨が降ってきたんだ。
これで多少は火も収まるだろう。あとはイソギンチャクを何とかしないと。
「クレイ! 待たせた!!」
「このぬるぬるとしたものを何とかできるか!」
「ドラゴンの触手プレイなんて見たくないからな! 触手ごと全部凍らせる! ちょっと頭避けてー、氷結風展開っ!」
イソギンチャクの頭? から幾重にも生えたぬるぬるの触手めがけて、極寒の風を吹きつける。
素早い動きのサーペントウルフにも有効だったこの魔法は、すべての生き物の熱を奪う。
熱を奪われたイソギンチャクは次第に触手の動きが鈍くなり、瞬く間に凍りついた。
「ええいっ!」
バキンッ!!
クレイが力を込めると、触手はあっという間に弾け飛ぶ。イソギンチャクの動きは鈍いまま。寒すぎて動きづらくなっているのかもしれない。
「調査! ……脳みそ二つあんの!? うっわ面倒。ええとええと、クレイ! 顔? イソギンチャクの赤いポッチあるだろ!」
「赤いぽ、ぽっち?」
「赤い丸いやつ!」
「ああ! それがどうした!」
「その二つの下が脳みそ! 槍で貫けるか!」
「表皮は柔らかく貫きにくいのだ!」
「それならもっとカチコチに凍らせる! いくぞ! 氷結槍!」
ゴブリン討伐のときに放った魔法だったが、あのときよりも威力が増している。
俺が魔法を操ることに慣れたのか、それとも放てば放つほど強くなるのか。それはわからないが、ともかくイソギンチャクは凍りながらも必死に暴れて抵抗する。
残った触手が天井や壁を強く叩き、もろいレンガを壊しはじめた。
「クレイ! 砦が壊れる!」
「ぬおおおおおおっ!!」
クレイの鋭い槍がイソギンチャクの大脳を一つ貫いた。
「ギョガアアアアッ!!」
「まずは一つ!」
青緑の体液をまき散らしながら、イソギンチャクは最後の足掻きを見せる。
勝手に呼ばれて勝手に殺されるなんて気の毒なんだけど、君の身体は余すことなく全部利用するからな。生まれたことを決して無駄にしない。
「とどめだ!!」
「ギャオオオオオッ!!」
あっ。
触手の一つが俺を目掛けて飛んできた。
それをぎりぎりで避けたと思ったら、背中にいたゴンザに直撃。
結界効果で無傷だったものの、その軽い身体がくるくると宙を舞い……
大きな穴の空いた壁の向こうへ。
その壁の向こうは――
「ゴンザーーーーッ!!」
考えるよりも先に身体が動くことなんてあるんだと、頭のどこかが妙に冷静になってそんなこと思っていた。
小さなゴンザの身体は穴の空いた壁の向こうへ吸い込まれ、その先の毒の湖へ。
ただ、身体が動いていた。
ゴンザの身体を中空で掴み、勢いのまま砦の中に投げる。その先にクレイが受け止めることを確認して。
命を懸けるなんてこと、したくない。
俺はヒーローじゃないんだ。
できることとできないことをわきまえ、余計なことはしないよう上手に立ち回っているつもりだったのに。
本能ってあるんだな。
俺の身体は毒の湖へと勢い良く落ちた。
18 待てば海路の日和あり
はあ……
ほんとに嫌になる。
君さあ、余計なことに首突っ込みたくない、面倒くさいって言いながら、助けているじゃない。
ボクなら放っておくのに。
まあ、そのおかげで世界は良い方向へ向かっているよ。
その代わり、異変もあちこちで出ているけどね?
そんな君に贈り物をあげるよ。
ボクだってこの世界を愛しているんだ。
助けてよ。
大切なんだよ。
だから、君の望みを、叶えてあげる。
+ + + + +
「ごぼぼがぼぼぼぼぼ……」
生意気な『青年』が笑っていた気がする。
俺、どうなったんだ? 確かゴンザを助けて……クレイが受け止めたところまでは見た。それからすぐに脳天と背中に硬い何かがぶつかって、一気に苦しくなった。
「ごぼぼぼぶぶぼばばば……」
ああこれ水か。どうりで呼吸が苦しいと。水ね、水。
……水?
「ごべっ! ぼっばばっばば! ぼばば! ばばばば!!」
毒の湖じゃないかこれ! 毒まみれの水飲み込んでるってこと!? 死んじゃう死んじゃう!
え? 俺って各種免疫力あったよな? でもそれって毒にも効くのかな……今は呼吸ができなくて苦しい程度。毒にやられてアチコチ痛いってことはない……と思う。毒に侵されたことないからわかんねーよ。
「タケル! どこだ!!」
「あんちゃーんっ!」
水上からクレイとゴンザの叫び声が微かに聞こえる。ええと、水上はどっちだ? 砦が燃えているのが下だから……
「ごぽぽ……」
駄目だ。
空気が足りない。
いろいろと強くなった俺だけど、さすがに呼吸しないでも生きられるほど化け物じゃなかった。
口の周りに空気をつける魔法とか……空気……エアー……?
駄目だ。考えられない。
――我を 呼ぶものは たれぞ。
俺死ぬの? 死ぬのやだなあ。
まだまだやり残したこといっぱいあるんだけど。
せっかく見つけた醤油。あれをベルカイムで流行らせればアシュス村の名産品になる。そうしたら村おこしにもなるだろ? それに醤油の実の花は蜜が甘いっていうなら、ハチミツだって採れるはず。ベルカイムの領主に養蜂家って紹介してもらえるかな。そうしたら美味しい蜂蜜が手に入るのに。
――加護を受けし ものよ。
じゃがバタ醤油もっと食べたかった。カニを醤油で食べたかった!!
……それが一番の悔いってさすがにどうかと思うので訂正。
ええと。
ビーの成長を見守りたかった!! よし、これでいい。
――ううむ 純粋なる 魔力。
ブロライトがしつこく推していたナントカの弓も一目見ておくんだったかな。それからクレイの魔王化もなんとかしないとなあ。勇者に討伐されたらどうするよ。
――我の力が 蘇る。
ハサミぃぃぃ!!
最強無敵の俺のハサミぃぃぃ!!
――加護を受けし ものよ。
せっかく材料そろえているのにいいい!!
爺さんの渾身のハサミが使ってみたかったあああ!!
ブチッ。
――我の 話 を 聞けええええいっ!!
「はいいいっ!?」
心地よい眠りから急に叩き起こされたような。
いつの間にか息苦しさは消え、身体を圧迫する水もなくなった。目の前には湖。だが、ぷかぷかと空を飛んでいる。
これはビーが助けてくれたのか? と上を見ると。
――ぶるるるる……
「こんなところで死んでたまるか! あ、あ、アレを持ってこい!」
「だがエンガシュさん、アレは使えるかどうかわからねぇって言ったじゃねぇか!」
「うるせぇ!!」
「エンガチョさん、村の子供はどうしやす?」
「そんなの構っていられるか!」
「別のところに移しやす? どこにいるんでやす?」
「別棟の奥の部屋だ! それよりアレを! ……? なんだ今のは」
俺の演技に騙されてくれた。別棟の奥の部屋オッケー。
クレイは元気よく暴れてくれている。気絶している男は無視。歯向かう男は……いないようだな。へっぴりばかりで良かった。たとえ高位冒険者がいたとしても、あの大魔王っぷりを見れば逃げ出すだろう。口から火とか稲妻とか噴かないかな。
さてはて、あっちはクレイにまる投げして、俺は外へ。
砦の別棟があったのか。さすがに気づかなかった。別棟に通じる回廊はどこだろうか。
「灯光!」
巨大な光の玉を四つ作り、砦を囲うように明るくさせる。これで敵には一目瞭然だが、クレイや俺が動きやすくなるほうが大切。
「おまえっ! そこで何ブッ!」
「ピュイイィーー!」
見張りらしき男が剣を構えるが、ビーが猛烈な勢いで男の鳩尾に突っ込んだ。男は白目を剥いて卒倒。あれ痛い。絶対に痛い。
「両手に硬化!」
走った勢いのまま別棟に続く扉を発見。そのまま突進。鍵を壊すのが面倒だから、硬化した手で扉ごとブチ壊す。発泡スチロールみたいにもろく感じる扉をいくつか薙ぎ倒し、奥を目指した。
「ゴンザー! どこだゴンザーーッ!」
「あんちゃん? あんちゃーんっ!」
返事あり!
一番奥の部屋の前まで行き、扉を叩く。
「ゴンザ、そこにいるな?」
「あんちゃん! あんちゃん!!」
「扉を壊すから離れていろよ! 隠れられるところはあるか?」
「ふええっ、ふえっ、わ、わかったずらぁ!」
探査を展開してゴンザの位置を確認。よし、思ったより大きな部屋のようだ。一応加減をして扉を破壊。鉄格子をぐんにょりと曲げて出口を確保。
部屋の中には簡易ベッドが一つあるだけだった。その陰から泣きはらして顔面ぐっしょりの子供が飛び出した。
「あんちゃ、あんちゃーーんっ!」
「おぶフッ!」
ゴンザの脳天が鳩尾に突進。加減を知らない子供の勢いって時々最強だよなと思いつつ、震えるゴンザを抱きとめる。
こんなに細くて小さいのに、無理やり連れ去るなんて。
「よく頑張ったな、村の皆は大丈夫だからな!」
「ふえええええ! うええええええっ!」
「よーしよしよしよし。すぐ帰ろうな、村に帰ろう」
ゴンザを宥めている暇はない。泣いて震えるゴンザを背負い、その場から脱出。
別棟から出ると砦は赤々と燃えていた。この数分に何が起こったわけよ。
「あんちゃん燃えてるずら!」
「赤いねー」
しかもこの振動。どんだけ暴れているんだクレイ。
ズズン……
ズズン……
クレイの足音にしては酷く響く気がする。
砦から逃げ出す男たちは後ろを振り返りつつ、その顔は恐怖に怯えている。さっきの魔王クレイに対する怯えとはまた違うような。
逃げ惑う男たちの一人を呼び止め、状況を聞く。
「なあなあ、どうしたの?」
「ヒイッ! な、なん、何言ってんだ! 早く逃げろ!」
「中で何があったんだ?」
「化け物が! 二匹!」
「一匹はでかいドラゴン? もう一匹は?」
「エンガシュが呼び出しやがった! 湖の、悪魔だ!!」
なんですと?
男は顔を真っ青にし、俺の制止を振りきって逃げてしまった。
「湖の悪魔? って、イーヴェルの花の神話のアレか?」
「神様がふういんしたっていってたずらよ」
「そうだよなあ。封印したのに、なんでわざわざ呼び起こす?」
「ピュー」
そりゃあ保身のためだろうが、神様が自己犠牲で封じた悪魔をどうやって呼び覚ましたのだろうか。この短時間で怪しげな儀式をやって封印解いて、なんてことできないだろう。それとも本当にそんな悪魔がいたのか?
ギョアアアアア!!
背後の燃え盛る砦から、聞いたこともない怪獣の叫び声。
これはクレイの雄叫びじゃない。確かに別の何かが中にいるんだ。
「ゴンザ、ちょっとそこらへんに隠れていて……」
「やーーーっ! おいら、おいら、あんちゃんからはなれないずらよ!」
「置いていかないから、ちょっと待ってろってば」
「やだああ!!」
泣き止んだ子がまた泣いてしまった。
連れ去られて独りにされたのがよほど応えたのだろう。俺だって拉致監禁されたら完全なトラウマになる。置いていかれるのは不安でたまらないだろうからな。仕方がない。
「わかった、俺の背中から絶対に離れるなよ、これからこの燃えている砦の中に入るからな!」
「あいっ!」
「ビー、雨雲呼べるか? 消火しないと」
「ピュイッ!」
ビーが天高く飛び立った。雨雲を呼ぶのは数分かかる。その間俺は謎の悪魔の確認と、怒れる魔王の補助。ついでにエンガチョの捕縛。
「結界展開!」
盾よりも結界のほうが暑さ寒さを感じずに済む。背中のゴンザを包み込むように光の膜を張った。
「ゴンザ! 行くぞ!」
「ずらーっ!」
砦の中はあちこち壊れ、今にも階上が崩れてきそうな有様だった。柱がいくつか折れている。このままじゃ砦が壊れるのも時間の問題。
「ええい忌々しいっ!」
クレイの叫び声が轟いた。どこで何してんだあのおっさん。
「ギョガアアアッ!」
「我の前に立ちはだかりしその勇気、褒めてやろうっ!」
目の前の壁をブチ破って飛び出てきたのは、青色から黒色に変色しつつある大魔王クレイストンと。
なにあれ。
いくつもの触手? らしきものがウネウネとウネウネしている謎の……
「イソギンチャク?」
赤や青や黄色の鮮やかな色をした、巨大なイソギンチャクがいた。クレイの全身に触手が絡まり、とんだプレイになっている。
いやたぶんあれ、猛毒の触手とかだと思うんですよ。クレイの皮膚のあちこちが変色しているのは、たぶん毒に侵されているから。それでも元気良く暴れているってことは、クレイにも免疫力とか耐性力とかあるのだろう。
それにしてもこんなモンスターもいるのか。これが伝説の悪魔だとは到底思えない。ちょっと強いモンスターにしか見えないし、悪魔と呼ばれるほど恐ろしくもない。どうやってこんなところまで来たんだ?
【ダークアネモネ ランクB】
海に棲むレッドアネモネの上位種。触手に毒を持ち、獲物を刺して痺れさせてからじっ
くりと殺す。
[備考]食用には不向き。
[召喚者]エンガ・シャイトン。
召喚者ぁ!?
なんだよコイツ、あのエンガチョが召喚したわけ? そんな芸当できるの? 召喚ってどうやるんだよ。
「あわわっ……あわわわ」
「お前かエンガチョこのやろうっ!」
崩れかけた広間から這いつくばって出てきたボロボロのエンガチョを捕まえ、出口まで放り投げる。
「ぎゃあああ!!」
「何をしたんだ! あんな化け物呼びやがって!」
「俺は、俺は、違う!」
「違うじゃねぇよ! 召喚者アンタになってんだよ! お前が呼んだんだろうが!」
「ヒイイ! これは、これは、強いモンスターが召喚できるって聞いて!」
「どうやって召喚ってするんだよ。ちょっとやり方教えて」
「召喚符に自分の血を垂らして呼ぶんだ!」
「へえー。召喚符ってどこかで売ってんの?」
「男爵がよこしたんだっ! いざとなったら使えって!!」
あー。
なるほどね。
今ので理解した。
「ギョギャアアアアアッ!!」
「ヒイイイッ……」
イソギンチャクの咆哮によって、エンガチョは泡を噴いて気を失った。これはこれで都合がいい。鞄から縄を取り出してぐるぐる巻きにしてやる。そのまま担いで砦の外にブン投げた。落ちる衝撃であちこち折るかもしれないが仕方がない。人命救助。
エンガチョが男爵と呼ぶのは、エゼル・シャイトン男爵のことだろう。その男爵にいざとなったら使えとよこされた召喚獣、イソギンチャク。ランクBのモンスターで、人の言うことなんて聞きそうにない化け物。
シャイトン男爵は、エンガチョが追い詰められたら殺すつもりだったのだろう。この化け物によって。
トカゲの尻尾切りのつもりか? 証拠隠滅なんかしてやるかよ。エンガチョさえ生きていれば、男爵を今度こそフィジアン領から追放できる。もしかしたら極刑かもしれない。
腐った領主なんていらないんだ。
領民にとっては領主だろうと国王だろうと、誰でもいい。自分たちの生活さえ守ってくれるのなら、それこそ血筋なんて関係ない。
「ゴンザ、大丈夫か?」
「あいっ!」
「よし、これからクレイの援護に行くからな。怖かったら目ぇ瞑っていろよ」
煙に混じって水の匂いがする。雨が降ってきたんだ。
これで多少は火も収まるだろう。あとはイソギンチャクを何とかしないと。
「クレイ! 待たせた!!」
「このぬるぬるとしたものを何とかできるか!」
「ドラゴンの触手プレイなんて見たくないからな! 触手ごと全部凍らせる! ちょっと頭避けてー、氷結風展開っ!」
イソギンチャクの頭? から幾重にも生えたぬるぬるの触手めがけて、極寒の風を吹きつける。
素早い動きのサーペントウルフにも有効だったこの魔法は、すべての生き物の熱を奪う。
熱を奪われたイソギンチャクは次第に触手の動きが鈍くなり、瞬く間に凍りついた。
「ええいっ!」
バキンッ!!
クレイが力を込めると、触手はあっという間に弾け飛ぶ。イソギンチャクの動きは鈍いまま。寒すぎて動きづらくなっているのかもしれない。
「調査! ……脳みそ二つあんの!? うっわ面倒。ええとええと、クレイ! 顔? イソギンチャクの赤いポッチあるだろ!」
「赤いぽ、ぽっち?」
「赤い丸いやつ!」
「ああ! それがどうした!」
「その二つの下が脳みそ! 槍で貫けるか!」
「表皮は柔らかく貫きにくいのだ!」
「それならもっとカチコチに凍らせる! いくぞ! 氷結槍!」
ゴブリン討伐のときに放った魔法だったが、あのときよりも威力が増している。
俺が魔法を操ることに慣れたのか、それとも放てば放つほど強くなるのか。それはわからないが、ともかくイソギンチャクは凍りながらも必死に暴れて抵抗する。
残った触手が天井や壁を強く叩き、もろいレンガを壊しはじめた。
「クレイ! 砦が壊れる!」
「ぬおおおおおおっ!!」
クレイの鋭い槍がイソギンチャクの大脳を一つ貫いた。
「ギョガアアアアッ!!」
「まずは一つ!」
青緑の体液をまき散らしながら、イソギンチャクは最後の足掻きを見せる。
勝手に呼ばれて勝手に殺されるなんて気の毒なんだけど、君の身体は余すことなく全部利用するからな。生まれたことを決して無駄にしない。
「とどめだ!!」
「ギャオオオオオッ!!」
あっ。
触手の一つが俺を目掛けて飛んできた。
それをぎりぎりで避けたと思ったら、背中にいたゴンザに直撃。
結界効果で無傷だったものの、その軽い身体がくるくると宙を舞い……
大きな穴の空いた壁の向こうへ。
その壁の向こうは――
「ゴンザーーーーッ!!」
考えるよりも先に身体が動くことなんてあるんだと、頭のどこかが妙に冷静になってそんなこと思っていた。
小さなゴンザの身体は穴の空いた壁の向こうへ吸い込まれ、その先の毒の湖へ。
ただ、身体が動いていた。
ゴンザの身体を中空で掴み、勢いのまま砦の中に投げる。その先にクレイが受け止めることを確認して。
命を懸けるなんてこと、したくない。
俺はヒーローじゃないんだ。
できることとできないことをわきまえ、余計なことはしないよう上手に立ち回っているつもりだったのに。
本能ってあるんだな。
俺の身体は毒の湖へと勢い良く落ちた。
18 待てば海路の日和あり
はあ……
ほんとに嫌になる。
君さあ、余計なことに首突っ込みたくない、面倒くさいって言いながら、助けているじゃない。
ボクなら放っておくのに。
まあ、そのおかげで世界は良い方向へ向かっているよ。
その代わり、異変もあちこちで出ているけどね?
そんな君に贈り物をあげるよ。
ボクだってこの世界を愛しているんだ。
助けてよ。
大切なんだよ。
だから、君の望みを、叶えてあげる。
+ + + + +
「ごぼぼがぼぼぼぼぼ……」
生意気な『青年』が笑っていた気がする。
俺、どうなったんだ? 確かゴンザを助けて……クレイが受け止めたところまでは見た。それからすぐに脳天と背中に硬い何かがぶつかって、一気に苦しくなった。
「ごぼぼぼぶぶぼばばば……」
ああこれ水か。どうりで呼吸が苦しいと。水ね、水。
……水?
「ごべっ! ぼっばばっばば! ぼばば! ばばばば!!」
毒の湖じゃないかこれ! 毒まみれの水飲み込んでるってこと!? 死んじゃう死んじゃう!
え? 俺って各種免疫力あったよな? でもそれって毒にも効くのかな……今は呼吸ができなくて苦しい程度。毒にやられてアチコチ痛いってことはない……と思う。毒に侵されたことないからわかんねーよ。
「タケル! どこだ!!」
「あんちゃーんっ!」
水上からクレイとゴンザの叫び声が微かに聞こえる。ええと、水上はどっちだ? 砦が燃えているのが下だから……
「ごぽぽ……」
駄目だ。
空気が足りない。
いろいろと強くなった俺だけど、さすがに呼吸しないでも生きられるほど化け物じゃなかった。
口の周りに空気をつける魔法とか……空気……エアー……?
駄目だ。考えられない。
――我を 呼ぶものは たれぞ。
俺死ぬの? 死ぬのやだなあ。
まだまだやり残したこといっぱいあるんだけど。
せっかく見つけた醤油。あれをベルカイムで流行らせればアシュス村の名産品になる。そうしたら村おこしにもなるだろ? それに醤油の実の花は蜜が甘いっていうなら、ハチミツだって採れるはず。ベルカイムの領主に養蜂家って紹介してもらえるかな。そうしたら美味しい蜂蜜が手に入るのに。
――加護を受けし ものよ。
じゃがバタ醤油もっと食べたかった。カニを醤油で食べたかった!!
……それが一番の悔いってさすがにどうかと思うので訂正。
ええと。
ビーの成長を見守りたかった!! よし、これでいい。
――ううむ 純粋なる 魔力。
ブロライトがしつこく推していたナントカの弓も一目見ておくんだったかな。それからクレイの魔王化もなんとかしないとなあ。勇者に討伐されたらどうするよ。
――我の力が 蘇る。
ハサミぃぃぃ!!
最強無敵の俺のハサミぃぃぃ!!
――加護を受けし ものよ。
せっかく材料そろえているのにいいい!!
爺さんの渾身のハサミが使ってみたかったあああ!!
ブチッ。
――我の 話 を 聞けええええいっ!!
「はいいいっ!?」
心地よい眠りから急に叩き起こされたような。
いつの間にか息苦しさは消え、身体を圧迫する水もなくなった。目の前には湖。だが、ぷかぷかと空を飛んでいる。
これはビーが助けてくれたのか? と上を見ると。
――ぶるるるる……
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