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第11章 過去と現在

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車に乗り込んで結菜の実家へと向かう。


俺の気持ちとは裏腹に車内の雰囲気はとても明るかった。


久しぶりに話すとは思えないほどに話がはずむ。


まぁ結菜にとっては久しぶりではないが。



「なんか歩に任せてたならゴミ屋敷になってそうだなぁ。

ちゃんと掃除はしてた?」



「初めはなりかけてたけど大丈夫。

まぁもともとは独り暮らししてたわけだから。」



「ふーん…。

なんか雰囲気変わったね?」



「…そう?」



「なんか大人っていうか、

落ち着いた感じがするな。」



やっぱりどこか罪悪感があるせいかな…。



「そうかな?

3年ぶりだから緊張してるのかも…」



「彼女に緊張してどうするのさっ!」



軽く頭をはたかれた。



…。


笑えない言葉だ。


彼女…。


恵…。




「そろそろだね?

歩は顔だしてく??」



もうそんなに走っていたのか。



「いや。今日は疲れたからまた今度顔だすよ。」



「そっかぁ。

わかった。じゃぁここでいいよ。」



車を脇に寄せて停車する。



「それじゃぁね?

ちゃんと今日のうちにいろいろ片付けておくんだよぉ~??」



「なんだよそれ。」



結菜は少し勘違いしていそうだった。


でもそれはそれでよかったのかもしれない。


「じゃあまた明日!」



「…うん。

また明日。」



いつまでも手をふる結菜の姿をサイドミラーに見ながら、



俺は車を走らせた。


俺は家につくなりベッドに顔を埋めた。


真っ暗な部屋のなかで携帯がチカチカと光っていた。


俺は携帯を開かなかった。


メールの相手はわかっている。


内容も想像がつく。


なんて返したらいいかわからない。


ちゃんと明日結菜と話をつけてから恵には報告しよう。


今は恵に言い出せなかったことを知られたくない。


言いたくない…。




明日はとりあえず結菜を実家に迎えにいくことになっている。


その時が最後。


もう言うしかない。


うやむやにはもうできないんだ。




とにかく今日はもう寝よう。


考えたって仕方がない。


なにをいっても明日には言うしかない。



結菜に別れを…



告げなきゃいけない。





気がつくともう朝になっていた。


なんて憂鬱な朝だ。


軽く身支度をしてから家をでる。


恵にはなにも連絡はしていないし、


メールも開いてはいない。


多分不安に思っているだろう。


きっとなんどもメールや着信がきてるはず。


でもすべてを終わらせれば大丈夫。


ちょっと時間がかかっただけのこと。


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