71 / 87
第11章 過去と現在
11-8
しおりを挟む
車に乗り込んで結菜の実家へと向かう。
俺の気持ちとは裏腹に車内の雰囲気はとても明るかった。
久しぶりに話すとは思えないほどに話がはずむ。
まぁ結菜にとっては久しぶりではないが。
「なんか歩に任せてたならゴミ屋敷になってそうだなぁ。
ちゃんと掃除はしてた?」
「初めはなりかけてたけど大丈夫。
まぁもともとは独り暮らししてたわけだから。」
「ふーん…。
なんか雰囲気変わったね?」
「…そう?」
「なんか大人っていうか、
落ち着いた感じがするな。」
やっぱりどこか罪悪感があるせいかな…。
「そうかな?
3年ぶりだから緊張してるのかも…」
「彼女に緊張してどうするのさっ!」
軽く頭をはたかれた。
…。
笑えない言葉だ。
彼女…。
恵…。
「そろそろだね?
歩は顔だしてく??」
もうそんなに走っていたのか。
「いや。今日は疲れたからまた今度顔だすよ。」
「そっかぁ。
わかった。じゃぁここでいいよ。」
車を脇に寄せて停車する。
「それじゃぁね?
ちゃんと今日のうちにいろいろ片付けておくんだよぉ~??」
「なんだよそれ。」
結菜は少し勘違いしていそうだった。
でもそれはそれでよかったのかもしれない。
「じゃあまた明日!」
「…うん。
また明日。」
いつまでも手をふる結菜の姿をサイドミラーに見ながら、
俺は車を走らせた。
俺は家につくなりベッドに顔を埋めた。
真っ暗な部屋のなかで携帯がチカチカと光っていた。
俺は携帯を開かなかった。
メールの相手はわかっている。
内容も想像がつく。
なんて返したらいいかわからない。
ちゃんと明日結菜と話をつけてから恵には報告しよう。
今は恵に言い出せなかったことを知られたくない。
言いたくない…。
明日はとりあえず結菜を実家に迎えにいくことになっている。
その時が最後。
もう言うしかない。
うやむやにはもうできないんだ。
とにかく今日はもう寝よう。
考えたって仕方がない。
なにをいっても明日には言うしかない。
結菜に別れを…
告げなきゃいけない。
気がつくともう朝になっていた。
なんて憂鬱な朝だ。
軽く身支度をしてから家をでる。
恵にはなにも連絡はしていないし、
メールも開いてはいない。
多分不安に思っているだろう。
きっとなんどもメールや着信がきてるはず。
でもすべてを終わらせれば大丈夫。
ちょっと時間がかかっただけのこと。
俺の気持ちとは裏腹に車内の雰囲気はとても明るかった。
久しぶりに話すとは思えないほどに話がはずむ。
まぁ結菜にとっては久しぶりではないが。
「なんか歩に任せてたならゴミ屋敷になってそうだなぁ。
ちゃんと掃除はしてた?」
「初めはなりかけてたけど大丈夫。
まぁもともとは独り暮らししてたわけだから。」
「ふーん…。
なんか雰囲気変わったね?」
「…そう?」
「なんか大人っていうか、
落ち着いた感じがするな。」
やっぱりどこか罪悪感があるせいかな…。
「そうかな?
3年ぶりだから緊張してるのかも…」
「彼女に緊張してどうするのさっ!」
軽く頭をはたかれた。
…。
笑えない言葉だ。
彼女…。
恵…。
「そろそろだね?
歩は顔だしてく??」
もうそんなに走っていたのか。
「いや。今日は疲れたからまた今度顔だすよ。」
「そっかぁ。
わかった。じゃぁここでいいよ。」
車を脇に寄せて停車する。
「それじゃぁね?
ちゃんと今日のうちにいろいろ片付けておくんだよぉ~??」
「なんだよそれ。」
結菜は少し勘違いしていそうだった。
でもそれはそれでよかったのかもしれない。
「じゃあまた明日!」
「…うん。
また明日。」
いつまでも手をふる結菜の姿をサイドミラーに見ながら、
俺は車を走らせた。
俺は家につくなりベッドに顔を埋めた。
真っ暗な部屋のなかで携帯がチカチカと光っていた。
俺は携帯を開かなかった。
メールの相手はわかっている。
内容も想像がつく。
なんて返したらいいかわからない。
ちゃんと明日結菜と話をつけてから恵には報告しよう。
今は恵に言い出せなかったことを知られたくない。
言いたくない…。
明日はとりあえず結菜を実家に迎えにいくことになっている。
その時が最後。
もう言うしかない。
うやむやにはもうできないんだ。
とにかく今日はもう寝よう。
考えたって仕方がない。
なにをいっても明日には言うしかない。
結菜に別れを…
告げなきゃいけない。
気がつくともう朝になっていた。
なんて憂鬱な朝だ。
軽く身支度をしてから家をでる。
恵にはなにも連絡はしていないし、
メールも開いてはいない。
多分不安に思っているだろう。
きっとなんどもメールや着信がきてるはず。
でもすべてを終わらせれば大丈夫。
ちょっと時間がかかっただけのこと。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
愛する人は、貴方だけ
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。
天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。
公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。
平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。
やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる