【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

雪則

文字の大きさ
上 下
48 / 87
第8章 勇気と知恵

8-4

しおりを挟む
その後二人はとりあえず俺の家へと向かった。



「うわぁ結構ひどいなこれ…。」



洗面台の前で顔を見て驚いた。


頬が若干青くなっていて唇は切れて腫れていた。



時間がたってくるとどうにも切れた口が痛い。



「大丈夫…?」



後ろから恵が不安そうな声をだした。



「全然大丈夫!

こんなもんで恵をあの男から救えたなら逆に良かったよ!」



恵は心配をしてくれてはいるが、どこかスッキリしたような顔をしていた。


これで本当の意味で二人の恋愛が始まったような気がした。


二人の間にわずかにあった溝がなくなり、いままで以上に二人は幸せを感じていた。



結局あれから鉄雄になにかされることもなく、以前のような生活を取り戻していた。



楓にも解決したことを話し、また沙希ちゃんを含めた4人で時折遊んだり、旅行を楽しんでいた。


今回の一件を終えて、


恵を本当に心から大切に思うようになった。



恵を守りたい。



幸せにしてやりたい。



俺はついに本当の意味で恵を愛していた。



このまま二人でいつまでもいたい。



俺は恵を愛している。





………





この時…、



結菜を失って2年という月日が経ったことを…



俺は知るよしもなかった。


とある日の朝。



俺は急いで鞄に着替えやなにやらを詰め込む。



「やばい!寝過ぎた!」



服をきて急いで玄関を飛び出す。



「おっせぇぞぉ~!笑」




玄関を出ると車の中で楓カップルと恵が待っていた。



「悪い!寝坊した!」



急いで楓の運転するレンタカーに飛び乗る。



そう。



今日から俺たち4人は温泉旅行へと出掛けるんだ。


「いやぁ~ごめんごめん。」



「こりゃ旅館についたらジュースおごりだな!」



「うぅ…こればっかりは仕方ないな。。」



「やったぁ!

ありがとうございまぁす!」


助手席の沙希ちゃんが振り向いて言った。


「楓さんナイスアイデアですねぇ!」



後部座席の俺の隣にいる恵ものってきた。



あの日から恵はなんだか元気がいい。



4人で遊ぶ時も以前よりテンションが高くてこの3人には押されてばかりだ。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

拝啓、大切なあなたへ

茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。 差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。 そこには、衝撃的な事実が書かれていて─── 手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。 これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。 ※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

人質王女の恋

小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。 数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。 それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。 両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。 聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。 傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。

【完結済】ラーレの初恋

こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた! 死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし! けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──? 転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。 他サイトにも掲載しております。

処理中です...