【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

雪則

文字の大きさ
上 下
10 / 87
第2章 孤独と変化

2-4

しおりを挟む
「おい。歩。

ちょっといいか?」



そんなある日、俺は楓に呼び止められた。



「お前、最近早坂に言い寄られてるらしいじゃん?」



「言い寄られてる?

そんなことはないって。

普通に話すくらいだよ。」



(言い寄られてるよ)なんて自分から言えるかよ。


でもそれがどうした?


まぁ早坂さんはルックスも悪くはない、


もしかして僻んでるのか?


「そっかぁ~。

まぁそれならいいんだけどよ。

あの女だけはやめとけよぉ?

後悔すんぞ。」



「は?なんだよそれ。」



正直ちょっとイラッとした。


俺が言い寄られてるって知って悔しくて邪魔したいのか?



「あの女は男なら誰でもいいんだよ。

二股上等で彼氏なんて長持ちしたことないらしいぜ?

しかも男には猫被ってるが性格も最悪らしいから気を付けろよぉ?」


誰でもいい?


それじゃぁなにか?


俺に言い寄ってんのは誰でもいいからだから勘違いすんなってことか?



「そぉかい。

まぁこんな俺にマトモな女が来るわけないよな。

モテモテの楓さんとは違ってな?」


楓は慌てて返した。


「いや、そぉいうつもりで言ったんじゃないんだよ!

ただお前が心配で!…」



「忠告ありがとよ。」



俺は楓を振り切ってその場を去った。


自分でもよくわからなくなっていた。


なぜこんなに腹が立つのかわからない。


もしかして俺は…。



いやそんなはずはない。



この日以来、楓とは距離をおくようになっていった。


なんとなく避けているうちに、お互いきまづくなってしまった。



今考えるとなんか大人げないが、今さら話しかけづらい。



とはいえ問題は早坂さんだ。



あの日から変に意識してしまっては、目で追ってしまう自分がいた。



そして目が合うと彼女はニコっと笑ってくれた。



気がつけば結菜がいなくなってから、もう2か月がたっていた。


俺は早坂さんに対する気持ちの変化に気づきながらも、


それを認めることができないでいた。


俺には結菜がいる。


そんな気持ちが生まれるわけがない、


いや、生まれちゃいけないんだ。



そんな中で、ついに恐れていたことが起こる。



俺はいつもどうりに仕事場から家までの道を歩いていた。


途中で通りがかる飲み屋街。



小走りで抜けていく。



その時だった。



「あ~!

進藤さぁ~ん!!」
  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

OLの花道

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家
恋愛
久遠時 和歌子(くおんじわかこ)。二十五歳、独身。花(?)のOL。 現在、憧れ上司に片想い中。 それがまた問題で・・・・片想いの相手は、奥様のいらっしゃる上司だったり。 決して実る事の無い恋に悩む和歌子に、ある日転機が訪れる。 片想い中の上司・三輪 庄司(みわしょうじ)に、食事を誘われたのだ。 ――相談があるんだ。 一体何の相談!? 罪悪感もさながら、心ウキウキさせて行くと・・・・? とんでもない事を頼まれて とんでもない事を引き受けてしまう、和歌子。 さらに年下イケメン部下に好かれてしまって・・・・? 愉快なOLライフストーリー。 仕事も恋も、和歌子、頑張ります!! ◆スペシャルゲスト◆ 櫻井グループ御曹司・櫻井王雅 主人公が活躍の小説『コロッケスマイル』はコチラ https://www.alphapolis.co.jp/novel/465565553/343261959 ◆イラスト◆ お馴染み・紗蔵蒼様 当作品が、別サイト開催の『光文社キャラクター大賞』で 優秀作品に選ばれました!

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

拝啓、大切なあなたへ

茂栖 もす
恋愛
それはある日のこと、絶望の底にいたトゥラウム宛てに一通の手紙が届いた。 差出人はエリア。突然、別れを告げた恋人だった。 そこには、衝撃的な事実が書かれていて─── 手紙を受け取った瞬間から、トゥラウムとエリアの終わってしまったはずの恋が再び動き始めた。 これは、一通の手紙から始まる物語。【再会】をテーマにした短編で、5話で完結です。 ※以前、別PNで、小説家になろう様に投稿したものですが、今回、アルファポリス様用に加筆修正して投稿しています。

処理中です...