【完結】最愛の人 〜三年後、君が蘇るその日まで〜

第２章 孤独と変化

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こんな状態でも仕事には行かなきゃならない｡


会社の人達だって､恋人が行方不明になったとなれば、休んでもいいと言ってくれるだろう｡


だが結菜の存在は世間から消えてしまっている｡


だから俺は何事もなかったかのように振る舞わなくてはいけない｡


どうやら話をきいてると俺は結菜と付き合ってきた期間はずっと独り身だったことになっているらしい｡


｢おい!歩!

来週に専門学校の子達と合コンあるんだけど

来ない?｣



｢お前なぁ､

俺がいくわけないだろ?｣



こいつは仕事仲間の
仁山 楓(にやま かえで)｡


俺より1つ下の23歳｡


見た目はかなりチャラ男な感じだが以外にしっかりしてる｡



まぁ女関係はだらしないが｡



｢あれ?

お前って合コンとかっていかないっけ?｣



｢当たり前だろ｡

だって俺には…｣


俺は言葉につまった｡


そうだった…｡


結菜はいないことになってたんだ｡



｢歩､どぉーした?｣



｢あ､いや｡

俺はお前みたいに女に餓えちゃいないんだよ｡｣



｢なんだよそれぇ!笑

まぁ､気が変わったらいつでも言ってくれよ｡

人数足りなくて困ってんのよ｡｣



今まで楓に合コン誘われたことなんてなかったのに｡


やっぱり結菜の存在が消えてしまうと色々と変わってしまうらしい｡


そんなこともありつつ、いつものように仕事をして帰宅する｡


コンビニ弁当を食べてシャワーを浴びて寝る｡


徐々にだが部屋が汚くなっていくのがわかった｡


それでも一応掃除や洗濯は頑張っているつもりだ｡



そんな生活を続けて数週間｡



もう結菜のことを思い出して涙を流すことはなくなっていた｡


もちろん忘れたとかではないが､



前ほど辛くは感じなくなっていた｡


人間の適応能力はすごい｡


｢おはようございまぁす｡｣


いつものように出勤｡


家に帰っても誰もいないと思うと意外にも職場のほうが居心地が良かったりする｡



私生活とは別世界な気がして､悩みごとなどは忘れられるからだ｡



｢あ!進藤さん!

おはようございます!

今日はいい天気ですね!｣



｢あっ､

おはよう早坂さん｡

今日は気持ちがいいね｡｣



たしか2年くらい前に入ってきた後輩で､名前は

早坂 玲美(はやさか れみ)

ショートカットで背が高い､
女ながらにバシバシ働く言わば男勝りな感じの女の子だ｡