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重なる想い
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「幸治!!」
私は幸治をだきよせた。
「どうして!?どうしてこんなこと!…」
「ごめんねあすか…
僕の目が見えていれば、
もっと早く助けられたのに…」
「そんな…謝らないでよ…
でも…あたし幸治に酷いことしたのにどうして…?」
幸治は私の頬に手をあてた。
「君の声が聞こえたんだ…」
「私の声…?
まさか…聞こえるわけないじゃない…
まして幸治はイヤホンをしてたでしょ?…」
「あの公園で別れた日から…
あすかは毎日図書館に来てたよね?知ってるよ…」
「え?…どうして…?」
「僕は駄目な人間だ…
君とはもう関わらないって決めたのに…
毎日図書館に来れば…
君が来るんじゃないかと思って…
僕はもう一度でいいから…
君の声が聞きたかった…だから…
イヤホンの音を出さないで耳をすませていたんだ…
君がどこかにいるんじゃないかって…。」
そっか…
幸治も同じように…
「そうしたら…本当に君の声が聞こえたんだ…
僕は奇跡だと思ったよ。
君は毎日図書館に来てくれた。
僕は君の声が聞ければ満足だったんだ。」
「幸治…。」
「情けない男だよ…
君に別れを告げられた時…
そんなことわかりきっていたのに…
期待なんてしていなかったはずなのに!…
僕は…
こんなに自分の目を恨んだことはない!
平然としていなきゃいけないのに!…
君を傷つけたくはないのに!…
どうしても涙が止まらなかった!…
泣き叫びたい気持ちは抑えられても…
涙が次から次から溢れ出してくるんだ!…
君との何気ない会話が頭の中で繰り返し繰り返し響いてくる…
僕の想像の中の君はとにかく笑顔で…
そんな笑顔を壊したくはなかった!…
僕は君を幸せになんて出来ない…
そんなことはじめからわかってたのに!!…
僕は自分のことしか考えずに…君を騙していたんだ…
ごめんよ…あすか…
こんなことを君に言ったら…
君を困らせるだけなのに!
ごめん!…ごめんよ…」
そうか…
幸治がこんなに苦しんでるなんて思わなかった…
きっと幸治は今までもそうやって生きてきたんだね…
自分から諦めることで…
自分がなにも期待しないことで…
傷つかないように我慢ばかりしてきたんだね…
幸治は強いね…
「幸治…
謝るのは私のほうだよ…
本当にごめんなさい。。
でも私決めた。
やっぱり私は幸治の事が好き。
自分の気持ちに正直に生きる。
だから幸治も、自分の気持ちに嘘はつかないで?
たしかに幸治も私も…
いつか悲しい思いをするかもしれない…
辛いことだってたくさんあると思う…。
でも…
たとえそれで二人が離れることになったとしても…
それまで過ごした時間は無駄なもの…??
今までだって二人で過ごしてきた時間は無駄だった?
私は後悔なんてしていないよ。
たしかに将来のことを考えると…
不安がないわけじゃないし…
私も一度は幸治から逃げてしまった……。
幸治の精一杯の優しさに甘えた…
でも今は違う!
後のことを考えて諦めるなんてバカげてるよ!
幸治…。
私は貴方のそばにいたい…
だから…
もう自分の気持ちに嘘はつかないで…」
幸治は泣いていた…
今まで無理やり押さえ込んできた感情が…
溢れ出したように…
きっと…
これから先、私たちの前には
想像している以上の困難が待ち受けていると思う。
でも私は今の気持ちを大切にしたい。
きっと悲しいこともあるし
辛いこともある。
でも私は今。
幸治といたい。
二人で乗り越えていきたいって思う。
きっとこれが、
人を愛するっていうことなのかな?
ただ、好きとは違う。
好きな部分と
そうじゃない部分。
それをお互いに知ったうえで
まだ二人のあいだに結び付くものがあるのなら、
それが「愛」だと
私は思う。
あれから半年。
今も二人の関係は続いている。
泣いたこともある。
喧嘩もする。
でもお互いがお互いを大切に思うから
許しあえることができる。
愛ってきっと、
相手を尊重しあえることだと思う。
お互いが相手に思いやることで
そこに二人だけの愛のカタチが生まれるんだ。
「ねぇ…幸治?
やっぱり目が見えないって恐い?」
「どうかな。別にまっ暗なわけじゃないんだ
。
暖かい薄明かりの中にいるような感じさ。
ときどき不安になるときもあるけど今は平気。
耳をすませればほら…」
幸治は耳をすませたまま黙っている。
「え?どうしたの??…」
「君の声が聞こえる。」
おわり
私は幸治をだきよせた。
「どうして!?どうしてこんなこと!…」
「ごめんねあすか…
僕の目が見えていれば、
もっと早く助けられたのに…」
「そんな…謝らないでよ…
でも…あたし幸治に酷いことしたのにどうして…?」
幸治は私の頬に手をあてた。
「君の声が聞こえたんだ…」
「私の声…?
まさか…聞こえるわけないじゃない…
まして幸治はイヤホンをしてたでしょ?…」
「あの公園で別れた日から…
あすかは毎日図書館に来てたよね?知ってるよ…」
「え?…どうして…?」
「僕は駄目な人間だ…
君とはもう関わらないって決めたのに…
毎日図書館に来れば…
君が来るんじゃないかと思って…
僕はもう一度でいいから…
君の声が聞きたかった…だから…
イヤホンの音を出さないで耳をすませていたんだ…
君がどこかにいるんじゃないかって…。」
そっか…
幸治も同じように…
「そうしたら…本当に君の声が聞こえたんだ…
僕は奇跡だと思ったよ。
君は毎日図書館に来てくれた。
僕は君の声が聞ければ満足だったんだ。」
「幸治…。」
「情けない男だよ…
君に別れを告げられた時…
そんなことわかりきっていたのに…
期待なんてしていなかったはずなのに!…
僕は…
こんなに自分の目を恨んだことはない!
平然としていなきゃいけないのに!…
君を傷つけたくはないのに!…
どうしても涙が止まらなかった!…
泣き叫びたい気持ちは抑えられても…
涙が次から次から溢れ出してくるんだ!…
君との何気ない会話が頭の中で繰り返し繰り返し響いてくる…
僕の想像の中の君はとにかく笑顔で…
そんな笑顔を壊したくはなかった!…
僕は君を幸せになんて出来ない…
そんなことはじめからわかってたのに!!…
僕は自分のことしか考えずに…君を騙していたんだ…
ごめんよ…あすか…
こんなことを君に言ったら…
君を困らせるだけなのに!
ごめん!…ごめんよ…」
そうか…
幸治がこんなに苦しんでるなんて思わなかった…
きっと幸治は今までもそうやって生きてきたんだね…
自分から諦めることで…
自分がなにも期待しないことで…
傷つかないように我慢ばかりしてきたんだね…
幸治は強いね…
「幸治…
謝るのは私のほうだよ…
本当にごめんなさい。。
でも私決めた。
やっぱり私は幸治の事が好き。
自分の気持ちに正直に生きる。
だから幸治も、自分の気持ちに嘘はつかないで?
たしかに幸治も私も…
いつか悲しい思いをするかもしれない…
辛いことだってたくさんあると思う…。
でも…
たとえそれで二人が離れることになったとしても…
それまで過ごした時間は無駄なもの…??
今までだって二人で過ごしてきた時間は無駄だった?
私は後悔なんてしていないよ。
たしかに将来のことを考えると…
不安がないわけじゃないし…
私も一度は幸治から逃げてしまった……。
幸治の精一杯の優しさに甘えた…
でも今は違う!
後のことを考えて諦めるなんてバカげてるよ!
幸治…。
私は貴方のそばにいたい…
だから…
もう自分の気持ちに嘘はつかないで…」
幸治は泣いていた…
今まで無理やり押さえ込んできた感情が…
溢れ出したように…
きっと…
これから先、私たちの前には
想像している以上の困難が待ち受けていると思う。
でも私は今の気持ちを大切にしたい。
きっと悲しいこともあるし
辛いこともある。
でも私は今。
幸治といたい。
二人で乗り越えていきたいって思う。
きっとこれが、
人を愛するっていうことなのかな?
ただ、好きとは違う。
好きな部分と
そうじゃない部分。
それをお互いに知ったうえで
まだ二人のあいだに結び付くものがあるのなら、
それが「愛」だと
私は思う。
あれから半年。
今も二人の関係は続いている。
泣いたこともある。
喧嘩もする。
でもお互いがお互いを大切に思うから
許しあえることができる。
愛ってきっと、
相手を尊重しあえることだと思う。
お互いが相手に思いやることで
そこに二人だけの愛のカタチが生まれるんだ。
「ねぇ…幸治?
やっぱり目が見えないって恐い?」
「どうかな。別にまっ暗なわけじゃないんだ
。
暖かい薄明かりの中にいるような感じさ。
ときどき不安になるときもあるけど今は平気。
耳をすませればほら…」
幸治は耳をすませたまま黙っている。
「え?どうしたの??…」
「君の声が聞こえる。」
おわり
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