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切れて繋がる
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私が父親に相談しようとしたことは幸い結人には伝わっていないようで、初めてセックスした日から数日経ったあとに「本気で婚約やめるつもりじゃないみたいで良かった」と結人に言われて終わった。
同じ行為を毎日のようにされたらどうしようという私の不安も杞憂に終わり、婚約を続けるならセックスしないという約束を結人は一応守ってくれている。
それでも、口を合わせるだけで終わらないキスは今までと全然違って、何回されてもその度にゾクゾクして恥ずかしくて、未だに慣れることができない。
この事をきっかけに、私が結人に逆らえない事が分かったのだろう。
結人の都合で呼ばれたり無理に予定を組まれることが多くなっていき、どんどん軽く扱われていくみたいで悲しくなった。
長い時間一緒にいるのが嫌で、大学は共学を避けて女子大に進学したけれど、その程度で結人の私に対する扱いが変わるわけがない。
大学に進学すると同時に結人が借りたマンションは、私の通う女子大の近くにある。すぐに呼べる私を、結人は便利な存在だとでも思っているみたいだった。
「適当に飲み物買って持ってきて」
「荷物届くから受け取っておいて」
「実家から色々送られてきたから何か作りに来てくれる?」
そんな雑用ついでに呼び出される回数は高校時代よりも確実に増え、ほとんど毎日を結人と一緒に過ごしていたように思う。そのまま引き止められて泊まりになってしまう事も多く、その度に結人のベッドで一緒に寝た。
理由なく行きたくないと断るとエッチな事をいっぱいされて、数回そんな扱いをされてからは怖くて断る事もできなかった。
そんな通いの使用人のような状態だったけれど、ほとんど毎日のように呼び出されていた事を考えれば、セックスに至った回数はそこまで多くない。キスは毎回必ずしていたのに、そこからセックスにいくのは本当に稀だった。
どういうタイミングでやりたくなるのかは分からなかったけれど、恐らく年に一度か二度くらいで、片手で足りるほどの回数しかしていない。
それでもいつ何をされるのか分からない状態は怖くて、そういう展開になったら断れない事も本当に本当に嫌だった。
大学を卒業したらこのまま結婚するのかと、諦め半分で過ごしていた状況が一変したのは大学三年生になった春のこと。
父親が競合の会社に引き抜かれて、櫻川の会社を辞めたことがきっかけだった。
その当時櫻川グループの当主をしていたのは結人の祖父にあたる人で、何か色々と揉めたらしいが詳しいことはよく分からない。
ただ、「家や親の事情なんて和音が気にすることじゃないし、和音の人生なんだから結婚に対して思うことがあるなら好きに選んだ方がいい」と父に言われ、そこでようやく結人から離れる気持ちが固まった。
一度だけ結人に直接話をしにいったけれど、そういう話題を出した瞬間に「なんで?」と冷たい声で遮られて、まともに話なんて聞いてもらえなかった。無理やり色々されそうになったのを本気で拒み、ちゃんと結婚するからと泣きそうになりながら嘘をついて逃げるように結人の部屋から出た。
それを最後に、結人とは一度も会っていない。
会いに行くのを止めてから何度も結人から連絡はきたし、学校の近くで待たれる事もあったけど、頑張って避けて卒業まで耐えた。
就職を機に引っ越してからはパタリと連絡もこなくなり、お互い完全に縁が切れたと思っていたのだ。
在学中からいくつか仕事を任されていたとはいえ、卒業して本格的に仕事をするようになったのだから結人だってきっと忙しい。いつまでも私なんかに構っていられないのだろう。
結人との話し合いは結局出来ていないけれど、親同士が話してちゃんと破談になったとも聞いていたから、最近はもう気にする事もなくなっていたのだ。
結人の中でも完全に終わった事だと思っていたのに、本当に今更何を話せというんだろうか。
逃げ場のないエレベーター内で扉に背をつけ、見上げるようにして再度結人と視線を合わせる。
顔も声もほとんど変わらないのに、服装や雰囲気のせいだろうか。最後に会った時と比べて、随分大人っぽくなっているように感じる。
どういう顔をして話せばいいのだろうか。こんなところでいきなり再会するなんて思ってもいなかった。
「……まあいいや。一旦降りようか」
結人がそう口にすると同時に、上昇を続けていたエレベーターが止まる。
逃げ場のなかった狭い箱から出る唯一の扉が、私の後ろでゆっくりと開いた。
同じ行為を毎日のようにされたらどうしようという私の不安も杞憂に終わり、婚約を続けるならセックスしないという約束を結人は一応守ってくれている。
それでも、口を合わせるだけで終わらないキスは今までと全然違って、何回されてもその度にゾクゾクして恥ずかしくて、未だに慣れることができない。
この事をきっかけに、私が結人に逆らえない事が分かったのだろう。
結人の都合で呼ばれたり無理に予定を組まれることが多くなっていき、どんどん軽く扱われていくみたいで悲しくなった。
長い時間一緒にいるのが嫌で、大学は共学を避けて女子大に進学したけれど、その程度で結人の私に対する扱いが変わるわけがない。
大学に進学すると同時に結人が借りたマンションは、私の通う女子大の近くにある。すぐに呼べる私を、結人は便利な存在だとでも思っているみたいだった。
「適当に飲み物買って持ってきて」
「荷物届くから受け取っておいて」
「実家から色々送られてきたから何か作りに来てくれる?」
そんな雑用ついでに呼び出される回数は高校時代よりも確実に増え、ほとんど毎日を結人と一緒に過ごしていたように思う。そのまま引き止められて泊まりになってしまう事も多く、その度に結人のベッドで一緒に寝た。
理由なく行きたくないと断るとエッチな事をいっぱいされて、数回そんな扱いをされてからは怖くて断る事もできなかった。
そんな通いの使用人のような状態だったけれど、ほとんど毎日のように呼び出されていた事を考えれば、セックスに至った回数はそこまで多くない。キスは毎回必ずしていたのに、そこからセックスにいくのは本当に稀だった。
どういうタイミングでやりたくなるのかは分からなかったけれど、恐らく年に一度か二度くらいで、片手で足りるほどの回数しかしていない。
それでもいつ何をされるのか分からない状態は怖くて、そういう展開になったら断れない事も本当に本当に嫌だった。
大学を卒業したらこのまま結婚するのかと、諦め半分で過ごしていた状況が一変したのは大学三年生になった春のこと。
父親が競合の会社に引き抜かれて、櫻川の会社を辞めたことがきっかけだった。
その当時櫻川グループの当主をしていたのは結人の祖父にあたる人で、何か色々と揉めたらしいが詳しいことはよく分からない。
ただ、「家や親の事情なんて和音が気にすることじゃないし、和音の人生なんだから結婚に対して思うことがあるなら好きに選んだ方がいい」と父に言われ、そこでようやく結人から離れる気持ちが固まった。
一度だけ結人に直接話をしにいったけれど、そういう話題を出した瞬間に「なんで?」と冷たい声で遮られて、まともに話なんて聞いてもらえなかった。無理やり色々されそうになったのを本気で拒み、ちゃんと結婚するからと泣きそうになりながら嘘をついて逃げるように結人の部屋から出た。
それを最後に、結人とは一度も会っていない。
会いに行くのを止めてから何度も結人から連絡はきたし、学校の近くで待たれる事もあったけど、頑張って避けて卒業まで耐えた。
就職を機に引っ越してからはパタリと連絡もこなくなり、お互い完全に縁が切れたと思っていたのだ。
在学中からいくつか仕事を任されていたとはいえ、卒業して本格的に仕事をするようになったのだから結人だってきっと忙しい。いつまでも私なんかに構っていられないのだろう。
結人との話し合いは結局出来ていないけれど、親同士が話してちゃんと破談になったとも聞いていたから、最近はもう気にする事もなくなっていたのだ。
結人の中でも完全に終わった事だと思っていたのに、本当に今更何を話せというんだろうか。
逃げ場のないエレベーター内で扉に背をつけ、見上げるようにして再度結人と視線を合わせる。
顔も声もほとんど変わらないのに、服装や雰囲気のせいだろうか。最後に会った時と比べて、随分大人っぽくなっているように感じる。
どういう顔をして話せばいいのだろうか。こんなところでいきなり再会するなんて思ってもいなかった。
「……まあいいや。一旦降りようか」
結人がそう口にすると同時に、上昇を続けていたエレベーターが止まる。
逃げ場のなかった狭い箱から出る唯一の扉が、私の後ろでゆっくりと開いた。
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