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 は、と吐かれた息が酷く色っぽいと思った。
 ゆっくりと頭を撫でてくれる大きな手も気持ち良くて、ただ舐めているだけなのに私の下半身まで濡れてきた気がする。

「あー……ん、きもち。は、……ぅ」

 こういう時に聞かせてくれる、色気を孕んだ彼の声が好きだ。いつものただ優しいだけの声色とは違う、吐息が交じった、少しだけ余裕をなくした低い声。
 口内にじわりと広がる先走りの味は決して美味しいとは言えないけれど、好きな人がこういう顔を見せてくれるのは嬉しい。もっと気持ち良くなってくれたら嬉しいと、それだけを考えて固くなったソレに舌を這わせる。

「ん、透くん。これ、気持ちぃ?」
「……上手にしてくれて嬉しいけど、どれだけ頑張ってもここから出してあげないよ」

 質問の答えになっていない返事を口にしながら、私を見下ろす瞳がスッと細められる。
 物騒なことを言われている気がするけれど、私はこの生活を特に窮屈だと思っていないし別に問題ない。ちゃんとそう伝えているのに、彼には私の行動全てが媚びているようにしか見えないのだろう。いつも同じ事ばかり言う。

「……うん。出れなくても別にいいよ」
「は……いいわけないでしょ、こんなの」

 何を言ったら信じてくれるんだろうと思いながら、透くんに抱き上げられてベッドに乗り上げる。私の左足首に繋がれた枷がジャラジャラと音を立て、その音を聞いた透くんの眉間にまた皺が寄った。
 恋人である彼――四ノ宮 透(しのみや とおる)くんの部屋で生活するようになってから、今日で十日。
 何度もお泊まりをした彼のマンションの一室。現在私は鎖に繋がれ、大好きな恋人に何故か監禁されている。
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