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契約※
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ギラギラしたホテル街に入った車は、そのうちの一軒であるホテルの地下駐車場に停車した。
黒咲さんに手を引かれて車から降ろされると、運転手は黒咲さんに向かって一礼したあと来た道を帰っていく。
持っていた荷物は全てあの談話室に残したままで、携帯も財布もない状態でどうやって帰ればいいのかも分からない。
逃げる方法も助けを呼ぶ手段も、ここがどこなのかということも、私はなに一つ調べることができないのだ。
「じゃあ行こうか。こっちおいで」
エスコートでもするかのように肩を掴まれるが、これから向かう場所がパーティー会場ではないことくらい分かってる。
悪い想像しかできないのに、行き場のない私の足は、黒咲さんについていくことしかできなかった。
狭いエレベーターで最上階まで上がり、腕を引かれるがままにホテルの一室に足を踏み入れる。
壁紙から家具まで、ほとんどが黒とシルバーで統一されたギラギラした空間。そういう行為をするために用意された大きなベッドと、ビジネスホテルには置いてないベッドサイドの蓋付きの小物入れ。
今はもうなに一つ視界に入れたくない。慣れない空間に眩暈がする。
「研修する相手は選ばせてあげようか? 俺に直接教えてもらうか、ソープの店長してる四十九歳のハゲ。どっちにする? どっちを選んでも実技研修だけど」
選択肢が最低過ぎて、その両方を想像して泣きそうになった。
本当に無理だ。選びたくない。
「選べないなら俺にしようか? わざわざ呼び出すのも面倒だし」
「……っ」
「不満そうな顔するね。大丈夫だよ、気持ち良いことしかしないから」
不満な顔をして当然だ。私はこうなった元凶に触って欲しいと思うような変態じゃないし、たとえ気持ち良かったとしても嫌なものは嫌に決まっている。
だからといって、一回り以上歳が違う男の人を選ぶ勇気もなくて、ここで押し黙ることでしか自分の気持ちを表せない。
「まあ、最初だしね。今日は受け身でいてくれてもいいよ。少しずつ色んなこと覚えていってくれたら大丈夫だから」
「え、あ、服……」
「うん、脱がせるよ? ほら、力入れないで」
ベッドの上で膝立ちにさせられ、インナーごとブラウスが胸の上まで捲られる。
「やっぱり着たままは邪魔だよね」の一言と共に腕から抜き取られてしまい、ブラジャーをつけたままの胸を黒咲さんが両手で掬い上げた。
「これサイズ合ってないね。また新しいの買ってあげる」
「う……」
「とりあえず外そうか」
背中に回された手が器用にホックを外す。
直に空気に触れた胸が、息を呑むと同時に小さく震えてしまった。
「ああ、そうだ。まだ聞いてなかったけど、経験はあるんだっけ?」
「……学生の時に彼氏と、二回だけしたことあって……そこから三年くらいは何も、だから……慣れてないし、技術もなくて向いてないと……」
「そんなの、これからじっくり覚えて開発されていけばいいよ。楽しみだね?」
何も楽しみだとは思えなくて、胸を触られた瞬間に泣きそうになった。なんで私はこんな恥ずかしいことをされているんだろう。
形を確かめるように胸を揉みながら、胸の先端にギリギリ触れないラインを何度も指先が掠めた。焦らすようなその動きにくすぐったさを感じ、同時にもどかしいとも思ってしまう。
「恥ずかしい? でもこれからもっと恥ずかしいことするんだから、これだけで震えてちゃ持たないよ」
「う……あ、っひ!」
「ああ、舐めて欲しかった? これだけでイイ反応するね」
「ちが……っ、ふ……」
胸の先端を舐められているだけなのに、まるで感じているような息が鼻から漏れる。
腰やお腹を指でなぞられるだけでも過剰に反応してしまい、些細な刺激でさえ敏感に拾うようになってしまった。
首筋、胸、腰……。指で触れるだけでも色んな触り方をされておかしくなりそうなのに、口でも刺激してくるのだから頭がついていかない。
肩を押されてベッドに押し倒されてからは後ろに逃げることも出来なくて、されるがままになってしまう。
舐められて吸われて、それだけでびくびくと身体が震える。痛くない強さで甘噛みされただけで声を上げてしまうし、「Mなんだ?」と耳元で言われた時は恥ずかしくて泣きそうだった。
こんなことをされて身を捩っている現状に、自分が変態のように感じてしまう。
「ほら、下も脱がせるから少し浮かせてね」
「っう……あ」
「はは、下着濡らしてたんだ。汚れる前に全部脱いでおけばよかったね?」
そう言いながら抜き取られたショーツが、スカートと共に床に落とされる。
「……シャワーとか、しないんですか?」
「ああ、普通は入るね。でも俺はこのままの方が嬉しいから」
「あっ、や……うっ」
そこを指で広げてじっくり見るの、恥ずかしいからやめて欲しい。
きっちりと服を着た人の目の前で、どうして私だけ全裸になっているのだろうか。
脚を閉じることも許されず、私だけが恥ずかしい格好でエッチな場所を見られている。
「おっぱい触られて気持ち良かった? ちゃんと濡れてるね」
「ふっ……ひぁっ! あ……? え、ゃっ」
「ここも舐められるの気持ち良いでしょ? 今日はいいけど、次は君も俺の舐めてね」
「あっ、あ……っああ、んぅ、っは……」
あったかい舌に恥ずかしい場所を丁寧に舐められて、嫌なはずなのに無意識のうちに腰を揺らしてしまう。
これだけでイカされてしまいそうなくらい気持ち良くて、勝手に漏れる声が抑えられない。
「あっ、だめ、そこ吸わな……っや、舌でするのだめぇ……」
「ぷっくり主張して触って欲しそうだよ? 嘘つかないの」
「ひぅ、んっ……あ、ぃや、だめっ、それだめっ……ん」
「こんなに腰揺らしてるのにダメなわけないでしょ。ほーんとエッチだね」
お腹の奥がジンとして、何かが迫り上がってくる。
少し強めに吸ったり、ゆっくりと舐めたり焦らしたり。強弱の付け方があまりにも完璧で、もっと気持ち良くなりたいと下半身が勝手に動いてしまった。
上手いとか下手とか判別できるほど経験豊富なわけではないけれど、間違いなく黒咲さんは上手な人なのだろう。舐められただけでこんな風になるなんて、今まで一度も経験したことがない。
「っひ……!」
「あは、ローション垂らしただけだよ? 大丈夫、指挿れる準備してるだけ」
「あぅ、や……やぁ……! だめ、それだめぇ……」
「ダメって言いながら腰ヘコヘコしちゃうんだから、わかりやすくていいね」
トロトロの液体がついた状態でクリを刺激され、更に強く押し付けるように自ら腰を動かしてしまう。
ナカに指を入れられても全く痛みを感じず、ぐちゅぐちゅとローションが掻き回される音が鼓膜を揺らした。
「うっ、うぁ……あ、っは……」
「指一本だけだと余裕で飲み込んじゃうね? もっと増やそうか」
「あ、ああっ、あ、おく、それぇ……」
「中から押されるの気持ち良い? すごいエッチな音して、お漏らししたみたいにシーツ汚しちゃったね」
「んぁ、っふ……ぅ、うぁ、あっ」
聞きたくないのに耳を塞ぐことも出来ず、黒咲さんの服をぎゅっと掴むだけで精一杯だった。
無意識に溢れる嬌声が室内に響き、長い指が動かされる度にいやらしい水の音が耳をつく。
熱くて気持ち良くて、恥ずかしいのにもっと欲しい。どんどんおかしくされている自覚があるのに、どうすればこれが止まるのかも分からない。
「あ、あ、ああっ……ぅ、あ……ッン、だめ、それだめ……ッア、ぃく……」
ぎゅっと指先に力が入り、一瞬頭が真っ白になった。
「ぅあ、あ……っひ、やっ! やめて、も、今はだめ……」
「どこか痛い? 泣いてるけど、もう少し慣らした方がいい?」
ひたすら怖くて体が変で、自分でもどうして泣いているのか分からない。
とりあえずぶんぶんと首を振り、もう慣らさなくていいということだけを必死に伝える。
ちっとも痛くないし、慣らす必要がないくらい濡れていることなんて分かっているくせに。
これ以上長引かされたら、それこそおかしくなってしまう。
「も、慣らすのいやっ、ぅ、いらないです……」
「そう? じゃあもう挿れようか?」
「……え、や……」
「どっち? もっとどろどろにするために舐めて欲しい?」
「ちがっ! ……あっ、う……ぁ、やだ、舐めないで、もっ、挿れてください……」
これを私の口から言わせるための茶番だったのだろうと、言ったあとに気付いた。
嬉しそうに目を細めた男が、私の耳元で楽しそうに声を落とす。
「俺の形これから覚えていこうね?」
「あっ、あ……そこ、そこだめっ……あ」
「うん。いっぱい触ってあげる」
「ぅあっ、や、ああっ……っひ、んぁ、や、いくっ……!」
「はー……気持ち、っん、やば……」
挿れられた刺激でまたイキそうになって、やばいのは絶対に私の方だ。
奥まで挿れられてこんな反応しちゃうなんて有り得ない。最悪すぎる。最悪なのに気持ち良い。
ローションつけられてからおかしくなったし、絶対変なクスリとか使われてるんだ。変なクスリのせいで全部おかしくなるんだ。やだ。怖い。怖い。
「うっ……う、こわ、やだ、抜いてぇ……」
「奥の方トントンされるの気持ち良いでしょ? っはぁ、イッたばっかりで感じやすくなってるし、ナカすっごい締め付けてくれて気持ち良いね」
「や、気持ちいいのこわいの、やだ、ぁ……また気持ち良くなる、なっちゃ、それイッちゃう……ッン!」
挿れたまま達してしまい、ナカがきゅうっと入っているものを締め付けたのが分かった。
お腹が熱くて、下半身がきゅんとする。
おかしい、本当。これほんとなに。
「っは、あっぶな……。はは、出そうになっちゃった」
「んくっ、ぅあ、待って、イッたばっかりで、っひ」
「こんなにエッチな反応できるのホント凄いね。必死になってるからそんな可愛いこと言っちゃうの? 俺が喜ぶことばっかり言ってくれて、本当にいい子」
「うっ、んぁ、あ……」
「あー……そういえば仕事の詳細、知りたがってたよね? 今おはなししてあげる」
「え……? っなんで、あ、分かんない……いまだめっ、ひぁ、あっ……」
分からないと訴える私を無視して、挿れたまんまで黒咲さんは話を続ける。
こんな研修をさせられている時点でまともな仕事なわけがなく、聞き慣れない説明をされても何も頭に入ってこない。
基本サービスはこんな感じで、料金はこのくらい。その中から女の子にバックされる金額は何パーセントで、オプションとして云々。
話の半分ほどしか分からないままで次々と説明が進み、そこまで言って一度言葉を止めた黒咲さんが、「もしくは……」と瞳を細めた。
「店じゃなくて俺が専属で契約して、俺が一回出すにつき十万。どっちがいいか君が選んでいいよ」
「う……? あ、え……?」
「不特定多数の相手しなくていいから病気の心配もないし、俺だけ相手にする方が割が良くてオススメだけど。どうしようか?」
「あ、でも、どうせひどいこと……どんどん……」
「ええ? 俺は女の子を甚振って興奮する趣味ないよ? 恋人みたいにイチャイチャしてたくさん甘やかして、ドロドロにするようなプレイが好きだから安心して。ほら……毎回こうやって、気持ち良いことだけしよう?」
どろりと溶けた瞳が私を映し、ゆっくりと近付いてくる。
呼吸をするために半開きになっていた口に黒咲さんの唇が重なり、ぬるりとした舌が口内に割り入れられた。
「んっ、あ……」
口の中をゆっくりと撫でられて、入ったままの下半身も緩やかに動かされる。
上から下まで全部が支配されて、五感全部が黒咲さんに与えられる刺激で満たされていく。
「っあ……は、ぁ」
「ね、こうやって気持ち良いことするだけ。どう?」
「あ、それ……も、黒咲さんの……」
「せっかく呼んでくれるなら下の名前がいいな。……アキラ、呼んで?」
「……昌、さん」
「うん。それがいい」
まるで私が彼の専属になることを選んだあとのような空気である。
まだ返事をしていないのに、変な空気を出すのはやめて欲しい。
「君みたいにいーっつもニコニコしてる子って、俺の周りにいないんだよねぇ。だから近くにいてもらうのもいいかなって思って」
車で連れてこられてから今まで、昌さんの前でニコニコしていた記憶なんてないけれど、一体なにが見えているのだろうか。
それに今までがどうであれ、こんなことをされた後の自分が、呑気にニコニコと生活できるとは思えない。
「あの、でも……」
「すごく良い条件にしてあげてるんだけど、何をそんなに悩むの?」
「……だって」
「俺が喜ぶセリフ言ってくれたり、指定した服着てくれたらオプションってことで上乗せもするよ? 店で頑張るよりも、確実に早く稼げると思うけど」
「ンッ……あ、っく」
またトントンと奥を押すように動かれて、お腹の中が切なく収縮する。
色んな液体でぬるぬるに濡れている陰核を摘まれると、それだけで足先にぐっと力が入った。
難しいことなんて何も考えられなくて、ただ気持ち良いことだけが分かる。
ああもう、いいか。どうせ一度してしまったのだから、何回やっても変わらないだろう。
店に売られるよりは、今日と同じ行為を重ねる方が絶対にマシだ。
「……あ、昌さんの専属がいい……っです」
「ん。じゃあそうしようか?」
嬉しそうに笑った昌さんに再度口付けられ、悪魔に魂を売ったような気持ちになった。
快楽に溺れて現実が見えなくなって、この日私は最悪の契約を交わしてしまったのだ。
黒咲さんに手を引かれて車から降ろされると、運転手は黒咲さんに向かって一礼したあと来た道を帰っていく。
持っていた荷物は全てあの談話室に残したままで、携帯も財布もない状態でどうやって帰ればいいのかも分からない。
逃げる方法も助けを呼ぶ手段も、ここがどこなのかということも、私はなに一つ調べることができないのだ。
「じゃあ行こうか。こっちおいで」
エスコートでもするかのように肩を掴まれるが、これから向かう場所がパーティー会場ではないことくらい分かってる。
悪い想像しかできないのに、行き場のない私の足は、黒咲さんについていくことしかできなかった。
狭いエレベーターで最上階まで上がり、腕を引かれるがままにホテルの一室に足を踏み入れる。
壁紙から家具まで、ほとんどが黒とシルバーで統一されたギラギラした空間。そういう行為をするために用意された大きなベッドと、ビジネスホテルには置いてないベッドサイドの蓋付きの小物入れ。
今はもうなに一つ視界に入れたくない。慣れない空間に眩暈がする。
「研修する相手は選ばせてあげようか? 俺に直接教えてもらうか、ソープの店長してる四十九歳のハゲ。どっちにする? どっちを選んでも実技研修だけど」
選択肢が最低過ぎて、その両方を想像して泣きそうになった。
本当に無理だ。選びたくない。
「選べないなら俺にしようか? わざわざ呼び出すのも面倒だし」
「……っ」
「不満そうな顔するね。大丈夫だよ、気持ち良いことしかしないから」
不満な顔をして当然だ。私はこうなった元凶に触って欲しいと思うような変態じゃないし、たとえ気持ち良かったとしても嫌なものは嫌に決まっている。
だからといって、一回り以上歳が違う男の人を選ぶ勇気もなくて、ここで押し黙ることでしか自分の気持ちを表せない。
「まあ、最初だしね。今日は受け身でいてくれてもいいよ。少しずつ色んなこと覚えていってくれたら大丈夫だから」
「え、あ、服……」
「うん、脱がせるよ? ほら、力入れないで」
ベッドの上で膝立ちにさせられ、インナーごとブラウスが胸の上まで捲られる。
「やっぱり着たままは邪魔だよね」の一言と共に腕から抜き取られてしまい、ブラジャーをつけたままの胸を黒咲さんが両手で掬い上げた。
「これサイズ合ってないね。また新しいの買ってあげる」
「う……」
「とりあえず外そうか」
背中に回された手が器用にホックを外す。
直に空気に触れた胸が、息を呑むと同時に小さく震えてしまった。
「ああ、そうだ。まだ聞いてなかったけど、経験はあるんだっけ?」
「……学生の時に彼氏と、二回だけしたことあって……そこから三年くらいは何も、だから……慣れてないし、技術もなくて向いてないと……」
「そんなの、これからじっくり覚えて開発されていけばいいよ。楽しみだね?」
何も楽しみだとは思えなくて、胸を触られた瞬間に泣きそうになった。なんで私はこんな恥ずかしいことをされているんだろう。
形を確かめるように胸を揉みながら、胸の先端にギリギリ触れないラインを何度も指先が掠めた。焦らすようなその動きにくすぐったさを感じ、同時にもどかしいとも思ってしまう。
「恥ずかしい? でもこれからもっと恥ずかしいことするんだから、これだけで震えてちゃ持たないよ」
「う……あ、っひ!」
「ああ、舐めて欲しかった? これだけでイイ反応するね」
「ちが……っ、ふ……」
胸の先端を舐められているだけなのに、まるで感じているような息が鼻から漏れる。
腰やお腹を指でなぞられるだけでも過剰に反応してしまい、些細な刺激でさえ敏感に拾うようになってしまった。
首筋、胸、腰……。指で触れるだけでも色んな触り方をされておかしくなりそうなのに、口でも刺激してくるのだから頭がついていかない。
肩を押されてベッドに押し倒されてからは後ろに逃げることも出来なくて、されるがままになってしまう。
舐められて吸われて、それだけでびくびくと身体が震える。痛くない強さで甘噛みされただけで声を上げてしまうし、「Mなんだ?」と耳元で言われた時は恥ずかしくて泣きそうだった。
こんなことをされて身を捩っている現状に、自分が変態のように感じてしまう。
「ほら、下も脱がせるから少し浮かせてね」
「っう……あ」
「はは、下着濡らしてたんだ。汚れる前に全部脱いでおけばよかったね?」
そう言いながら抜き取られたショーツが、スカートと共に床に落とされる。
「……シャワーとか、しないんですか?」
「ああ、普通は入るね。でも俺はこのままの方が嬉しいから」
「あっ、や……うっ」
そこを指で広げてじっくり見るの、恥ずかしいからやめて欲しい。
きっちりと服を着た人の目の前で、どうして私だけ全裸になっているのだろうか。
脚を閉じることも許されず、私だけが恥ずかしい格好でエッチな場所を見られている。
「おっぱい触られて気持ち良かった? ちゃんと濡れてるね」
「ふっ……ひぁっ! あ……? え、ゃっ」
「ここも舐められるの気持ち良いでしょ? 今日はいいけど、次は君も俺の舐めてね」
「あっ、あ……っああ、んぅ、っは……」
あったかい舌に恥ずかしい場所を丁寧に舐められて、嫌なはずなのに無意識のうちに腰を揺らしてしまう。
これだけでイカされてしまいそうなくらい気持ち良くて、勝手に漏れる声が抑えられない。
「あっ、だめ、そこ吸わな……っや、舌でするのだめぇ……」
「ぷっくり主張して触って欲しそうだよ? 嘘つかないの」
「ひぅ、んっ……あ、ぃや、だめっ、それだめっ……ん」
「こんなに腰揺らしてるのにダメなわけないでしょ。ほーんとエッチだね」
お腹の奥がジンとして、何かが迫り上がってくる。
少し強めに吸ったり、ゆっくりと舐めたり焦らしたり。強弱の付け方があまりにも完璧で、もっと気持ち良くなりたいと下半身が勝手に動いてしまった。
上手いとか下手とか判別できるほど経験豊富なわけではないけれど、間違いなく黒咲さんは上手な人なのだろう。舐められただけでこんな風になるなんて、今まで一度も経験したことがない。
「っひ……!」
「あは、ローション垂らしただけだよ? 大丈夫、指挿れる準備してるだけ」
「あぅ、や……やぁ……! だめ、それだめぇ……」
「ダメって言いながら腰ヘコヘコしちゃうんだから、わかりやすくていいね」
トロトロの液体がついた状態でクリを刺激され、更に強く押し付けるように自ら腰を動かしてしまう。
ナカに指を入れられても全く痛みを感じず、ぐちゅぐちゅとローションが掻き回される音が鼓膜を揺らした。
「うっ、うぁ……あ、っは……」
「指一本だけだと余裕で飲み込んじゃうね? もっと増やそうか」
「あ、ああっ、あ、おく、それぇ……」
「中から押されるの気持ち良い? すごいエッチな音して、お漏らししたみたいにシーツ汚しちゃったね」
「んぁ、っふ……ぅ、うぁ、あっ」
聞きたくないのに耳を塞ぐことも出来ず、黒咲さんの服をぎゅっと掴むだけで精一杯だった。
無意識に溢れる嬌声が室内に響き、長い指が動かされる度にいやらしい水の音が耳をつく。
熱くて気持ち良くて、恥ずかしいのにもっと欲しい。どんどんおかしくされている自覚があるのに、どうすればこれが止まるのかも分からない。
「あ、あ、ああっ……ぅ、あ……ッン、だめ、それだめ……ッア、ぃく……」
ぎゅっと指先に力が入り、一瞬頭が真っ白になった。
「ぅあ、あ……っひ、やっ! やめて、も、今はだめ……」
「どこか痛い? 泣いてるけど、もう少し慣らした方がいい?」
ひたすら怖くて体が変で、自分でもどうして泣いているのか分からない。
とりあえずぶんぶんと首を振り、もう慣らさなくていいということだけを必死に伝える。
ちっとも痛くないし、慣らす必要がないくらい濡れていることなんて分かっているくせに。
これ以上長引かされたら、それこそおかしくなってしまう。
「も、慣らすのいやっ、ぅ、いらないです……」
「そう? じゃあもう挿れようか?」
「……え、や……」
「どっち? もっとどろどろにするために舐めて欲しい?」
「ちがっ! ……あっ、う……ぁ、やだ、舐めないで、もっ、挿れてください……」
これを私の口から言わせるための茶番だったのだろうと、言ったあとに気付いた。
嬉しそうに目を細めた男が、私の耳元で楽しそうに声を落とす。
「俺の形これから覚えていこうね?」
「あっ、あ……そこ、そこだめっ……あ」
「うん。いっぱい触ってあげる」
「ぅあっ、や、ああっ……っひ、んぁ、や、いくっ……!」
「はー……気持ち、っん、やば……」
挿れられた刺激でまたイキそうになって、やばいのは絶対に私の方だ。
奥まで挿れられてこんな反応しちゃうなんて有り得ない。最悪すぎる。最悪なのに気持ち良い。
ローションつけられてからおかしくなったし、絶対変なクスリとか使われてるんだ。変なクスリのせいで全部おかしくなるんだ。やだ。怖い。怖い。
「うっ……う、こわ、やだ、抜いてぇ……」
「奥の方トントンされるの気持ち良いでしょ? っはぁ、イッたばっかりで感じやすくなってるし、ナカすっごい締め付けてくれて気持ち良いね」
「や、気持ちいいのこわいの、やだ、ぁ……また気持ち良くなる、なっちゃ、それイッちゃう……ッン!」
挿れたまま達してしまい、ナカがきゅうっと入っているものを締め付けたのが分かった。
お腹が熱くて、下半身がきゅんとする。
おかしい、本当。これほんとなに。
「っは、あっぶな……。はは、出そうになっちゃった」
「んくっ、ぅあ、待って、イッたばっかりで、っひ」
「こんなにエッチな反応できるのホント凄いね。必死になってるからそんな可愛いこと言っちゃうの? 俺が喜ぶことばっかり言ってくれて、本当にいい子」
「うっ、んぁ、あ……」
「あー……そういえば仕事の詳細、知りたがってたよね? 今おはなししてあげる」
「え……? っなんで、あ、分かんない……いまだめっ、ひぁ、あっ……」
分からないと訴える私を無視して、挿れたまんまで黒咲さんは話を続ける。
こんな研修をさせられている時点でまともな仕事なわけがなく、聞き慣れない説明をされても何も頭に入ってこない。
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「店じゃなくて俺が専属で契約して、俺が一回出すにつき十万。どっちがいいか君が選んでいいよ」
「う……? あ、え……?」
「不特定多数の相手しなくていいから病気の心配もないし、俺だけ相手にする方が割が良くてオススメだけど。どうしようか?」
「あ、でも、どうせひどいこと……どんどん……」
「ええ? 俺は女の子を甚振って興奮する趣味ないよ? 恋人みたいにイチャイチャしてたくさん甘やかして、ドロドロにするようなプレイが好きだから安心して。ほら……毎回こうやって、気持ち良いことだけしよう?」
どろりと溶けた瞳が私を映し、ゆっくりと近付いてくる。
呼吸をするために半開きになっていた口に黒咲さんの唇が重なり、ぬるりとした舌が口内に割り入れられた。
「んっ、あ……」
口の中をゆっくりと撫でられて、入ったままの下半身も緩やかに動かされる。
上から下まで全部が支配されて、五感全部が黒咲さんに与えられる刺激で満たされていく。
「っあ……は、ぁ」
「ね、こうやって気持ち良いことするだけ。どう?」
「あ、それ……も、黒咲さんの……」
「せっかく呼んでくれるなら下の名前がいいな。……アキラ、呼んで?」
「……昌、さん」
「うん。それがいい」
まるで私が彼の専属になることを選んだあとのような空気である。
まだ返事をしていないのに、変な空気を出すのはやめて欲しい。
「君みたいにいーっつもニコニコしてる子って、俺の周りにいないんだよねぇ。だから近くにいてもらうのもいいかなって思って」
車で連れてこられてから今まで、昌さんの前でニコニコしていた記憶なんてないけれど、一体なにが見えているのだろうか。
それに今までがどうであれ、こんなことをされた後の自分が、呑気にニコニコと生活できるとは思えない。
「あの、でも……」
「すごく良い条件にしてあげてるんだけど、何をそんなに悩むの?」
「……だって」
「俺が喜ぶセリフ言ってくれたり、指定した服着てくれたらオプションってことで上乗せもするよ? 店で頑張るよりも、確実に早く稼げると思うけど」
「ンッ……あ、っく」
またトントンと奥を押すように動かれて、お腹の中が切なく収縮する。
色んな液体でぬるぬるに濡れている陰核を摘まれると、それだけで足先にぐっと力が入った。
難しいことなんて何も考えられなくて、ただ気持ち良いことだけが分かる。
ああもう、いいか。どうせ一度してしまったのだから、何回やっても変わらないだろう。
店に売られるよりは、今日と同じ行為を重ねる方が絶対にマシだ。
「……あ、昌さんの専属がいい……っです」
「ん。じゃあそうしようか?」
嬉しそうに笑った昌さんに再度口付けられ、悪魔に魂を売ったような気持ちになった。
快楽に溺れて現実が見えなくなって、この日私は最悪の契約を交わしてしまったのだ。
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