30 / 36
4
解熱②
しおりを挟む
三日間ゆっくりと休んで、もうすっかり熱は引いた。体調も万全に近いけれど、彩瑚はいまだに瑞樹と会う約束ができずにいる。
まだ完全には回復していなくて、とか、ずっと立ってると少しだけつらくて、とか。そんな返信をして、ずるずると顔を合わせる日を先延ばしにしている状態だ。
十二月二十六日。
年末感が漂う時期になっても、喫茶店は通常営業である。
瑞樹との個人的なやり取りであれば彩瑚はなんとでも言えたのだが、仮病で職場に迷惑をかけるわけにはいかない。熱が下がったのだからシフト通りに出勤するのは当然のことで、彩瑚は本日から仕事に復帰していた。
そしてもちろん、彩瑚が店で働いている日を、当然のように瑞樹は本社で確認して把握している。
――そのため、少しだけこうなる予想はしていたのだ。
そして彩瑚の予感通り、店から少し離れた帰り道で、待ち合わせする日のようにして瑞樹は待ってくれていた。
「おつかれさま」
「……瑞樹くん」
顔を合わせた瞬間に、ここまで重ねてきた嘘に意味はなくなってしまう。
しかし瑞樹の方に彩瑚を責めるような素振りはなく、ただ嬉しそうに微笑みながら優しく彩瑚の手を取った。
「寒いね。一緒に帰ろ」
「あ、あの、まだ万全じゃなくて何かうつしちゃうかもしれないし、エッチとかまだできないなって思ってて……」
「うん? 別にいいよ。俺が会いたかっただけだし、顔見て話ができるなら充分」
言われた瞬間にきゅうっと胸が苦しくなり、簡単に浮かれてしまう自分が嫌になる。
いつも以上に空気が甘い気がして、どうしていいのか分からない。
告白の言葉は、彼の中でなかったことにしてくれたのだろうか。
熱が出ている時の発言だからと大目に見てくれているのかもしれないし、変なことを言ってごめんなさいとメッセージを送ったから、今回は見逃してくれるつもりなのかもしれない。
しかし、それにしては――と、絡められた指を見て変なことを考えてしまう。
好きだと言ったことについて何か言及されたら、忘れて欲しいと伝えるつもりだった。
しかし、瑞樹の方からは何一つ触れてくれる気配がない。
自分から訂正するべきなのか、このまま流される方がいいのか。
この関係を少しでも長く続けたいだけの場合、どうするのが正解なのだろう。
瑞樹の表情はどこか嬉しそうにも見えて、本気で何を考えているのか分からない。
恋人のような距離で手を繋ぎながら歩いている状況を、どう捉えればいいのか分からなくなる。
(すごく、贅沢な時間だ)
帰路の途中で落ち合って、車のある場所まで一緒に歩くというのは、いつも通りと言えばいつも通りだ。
今までにも二人で何度か歩いた、彩瑚にとってよく知った道。
もしこのまま関係を切られてしまったら、今後はずっとこの道を一人で歩くことになる。
――それは嫌だなぁと、素直に思った。
こうして瑞樹に触れることを許されているのはとても贅沢で、奇跡みたいなことで、やっぱりあんな失言で終わりにはしたくない。
「あの、瑞樹くん」
呼びかけると瑞樹が足を止め、そのまま顔が近付く。
唇に触れるだけのキスが落とされ、彩瑚はぽかんと口を開けて瑞樹を見上げた。
「……え?」
「はは、可愛い顔して俺のこと見てくるから、したくなっちゃった」
「え? あ、あの……」
「ごめんね、約束もしてないのに迎えにきたりして。……ねえ、今日ってこのまま時間もらえる?」
「……っ」
問われた瞬間、快感を求める熱が、彩瑚の体の中をぶわりと駆けた。
声の出し方や、向けられた表情。繋がれた手から伝わる触れ方や、距離の詰め方。
今の瑞樹が彩瑚に向けるすべてが、行為中のそれとまったく同じだった。
女の子を簡単に沼に沈めるような優しくて甘やかすような声色は、本来ならセックス中にしか感じられないものである。
条件反射のように、誘われているのだと脳が感じてしまった。行為中の触れ方や声を、彩瑚は嫌でも思い出してしまう。
「まあ、普通に車の方に向かって歩いてくれるから、彩瑚もその気でいてくれてるのかなって思ってたけど」
「う……あ、でも」
「ああ、ほら。もう着いちゃったね。乗って?」
断り方を忘れてしまったかのように、吸い込まれるようにして体が車内に入ってしまう。
彩瑚が助手席に乗り込んだあと、運転席には瑞樹が座った。
二人の間に、特に会話があるわけではない。
車内から窓の外が見えるように、外からも中を見ることはできるだろう。しかし周りには誰もいないし、ここは密室だという意識が外を歩いていた時よりも強くなる。
ぎしりと音を立て、瑞樹が動いた。
シートベルトを締めたりエンジンをかけるよりも先、熱のこもった声で名前が呼ばれ、その瞬間に視線が絡む。
「え……」
顔が近付き、彩瑚のうなじに瑞樹の手が触れた。
くっと上向かされ、そのまま唇同士が合わさる。
「っは……ん」
「彩瑚、ちゃんと口開けて」
「う……んっ、は……」
揶揄われているのか、施しなのかも分からない。
何度も角度を変えて舌が絡み、色っぽく息を吐く音と、いやらしい水の音が至近距離で聞こえた。
生理的な涙が浮かび、彩瑚の視界をじわじわと滲ませていく。
(気持ち良くて、キスだけで頭ぼうっとする)
ぐちゃりと、心を握りつぶされたような感覚があった。
セフレだとちゃんと弁えるから、少しでも長くこの関係を続けていきたい。つい数分前までそう思っていたはずなのに、そんな考えはどんどん小さくなっていく。
このタイミングでこんなことをされると、また彩瑚の中にぐずぐずと欲が出てきてしまう。
瑞樹のことが好きだと伝えて、その返事がこのキスなのではないかと、膨らんでいく期待が捨てきれない。
「……ごめ、なさい」
「彩瑚?」
「その……病気の時って不安になるし、あの日の私はほんとに情緒が不安定で……だから好きって言っちゃっただけなんだって、そう言って誤魔化そうと思ってたの」
「うん?」
「でも、言ったことは消せないし、わ……私は本当に瑞樹くんが好きで……だから、セフレ以上にしてもらえるなら、そうなりたいって思っちゃう」
彩瑚が言った瞬間、ピタリと瑞樹が動きを止める。
そこから「は?」と発された低い声と、眉間に寄せられた皺。
彩瑚の喉から、ひゅっと空気が漏れる音がした。
――調子に乗ってバカなことを言ってしまったと、そう理解するには十分だ。
「あ……その、駄目なら今のままが」
「セフレって何?」
「え? っえ……?」
「俺、彩瑚のことセフレだって言ったことあった?」
そりゃあ誰かに紹介されたわけではないし、直接「セフレちゃん」と呼びかけられたことがあるわけでもない。
しかし、セックスを目的に会う相手は、世間一般的に「セフレ」というのではないだろうか。
「だって、セックスするために今まで会ってて……」
「なんで俺がそんな風に思われてるのか本気で分からないんだけど、セフレ以上って何? 今は? 彩瑚のことセフレにしたいとか俺は一度も思ったことないよ」
「……セフレじゃないなら、なんで今まで私と会ってくれてたの?」
呆れたように深い溜息を吐き出され、彩瑚の体にシートベルトが着けられた。
彩瑚から距離を取った瑞樹は運転席に座り直し、エンジンをかけてハンドルを握る。
「あの、瑞樹くん……?」
「とりあえず移動しようか。分かってもらうまで時間かかりそうだし、もう少し腹割って話そうよ」
まだ完全には回復していなくて、とか、ずっと立ってると少しだけつらくて、とか。そんな返信をして、ずるずると顔を合わせる日を先延ばしにしている状態だ。
十二月二十六日。
年末感が漂う時期になっても、喫茶店は通常営業である。
瑞樹との個人的なやり取りであれば彩瑚はなんとでも言えたのだが、仮病で職場に迷惑をかけるわけにはいかない。熱が下がったのだからシフト通りに出勤するのは当然のことで、彩瑚は本日から仕事に復帰していた。
そしてもちろん、彩瑚が店で働いている日を、当然のように瑞樹は本社で確認して把握している。
――そのため、少しだけこうなる予想はしていたのだ。
そして彩瑚の予感通り、店から少し離れた帰り道で、待ち合わせする日のようにして瑞樹は待ってくれていた。
「おつかれさま」
「……瑞樹くん」
顔を合わせた瞬間に、ここまで重ねてきた嘘に意味はなくなってしまう。
しかし瑞樹の方に彩瑚を責めるような素振りはなく、ただ嬉しそうに微笑みながら優しく彩瑚の手を取った。
「寒いね。一緒に帰ろ」
「あ、あの、まだ万全じゃなくて何かうつしちゃうかもしれないし、エッチとかまだできないなって思ってて……」
「うん? 別にいいよ。俺が会いたかっただけだし、顔見て話ができるなら充分」
言われた瞬間にきゅうっと胸が苦しくなり、簡単に浮かれてしまう自分が嫌になる。
いつも以上に空気が甘い気がして、どうしていいのか分からない。
告白の言葉は、彼の中でなかったことにしてくれたのだろうか。
熱が出ている時の発言だからと大目に見てくれているのかもしれないし、変なことを言ってごめんなさいとメッセージを送ったから、今回は見逃してくれるつもりなのかもしれない。
しかし、それにしては――と、絡められた指を見て変なことを考えてしまう。
好きだと言ったことについて何か言及されたら、忘れて欲しいと伝えるつもりだった。
しかし、瑞樹の方からは何一つ触れてくれる気配がない。
自分から訂正するべきなのか、このまま流される方がいいのか。
この関係を少しでも長く続けたいだけの場合、どうするのが正解なのだろう。
瑞樹の表情はどこか嬉しそうにも見えて、本気で何を考えているのか分からない。
恋人のような距離で手を繋ぎながら歩いている状況を、どう捉えればいいのか分からなくなる。
(すごく、贅沢な時間だ)
帰路の途中で落ち合って、車のある場所まで一緒に歩くというのは、いつも通りと言えばいつも通りだ。
今までにも二人で何度か歩いた、彩瑚にとってよく知った道。
もしこのまま関係を切られてしまったら、今後はずっとこの道を一人で歩くことになる。
――それは嫌だなぁと、素直に思った。
こうして瑞樹に触れることを許されているのはとても贅沢で、奇跡みたいなことで、やっぱりあんな失言で終わりにはしたくない。
「あの、瑞樹くん」
呼びかけると瑞樹が足を止め、そのまま顔が近付く。
唇に触れるだけのキスが落とされ、彩瑚はぽかんと口を開けて瑞樹を見上げた。
「……え?」
「はは、可愛い顔して俺のこと見てくるから、したくなっちゃった」
「え? あ、あの……」
「ごめんね、約束もしてないのに迎えにきたりして。……ねえ、今日ってこのまま時間もらえる?」
「……っ」
問われた瞬間、快感を求める熱が、彩瑚の体の中をぶわりと駆けた。
声の出し方や、向けられた表情。繋がれた手から伝わる触れ方や、距離の詰め方。
今の瑞樹が彩瑚に向けるすべてが、行為中のそれとまったく同じだった。
女の子を簡単に沼に沈めるような優しくて甘やかすような声色は、本来ならセックス中にしか感じられないものである。
条件反射のように、誘われているのだと脳が感じてしまった。行為中の触れ方や声を、彩瑚は嫌でも思い出してしまう。
「まあ、普通に車の方に向かって歩いてくれるから、彩瑚もその気でいてくれてるのかなって思ってたけど」
「う……あ、でも」
「ああ、ほら。もう着いちゃったね。乗って?」
断り方を忘れてしまったかのように、吸い込まれるようにして体が車内に入ってしまう。
彩瑚が助手席に乗り込んだあと、運転席には瑞樹が座った。
二人の間に、特に会話があるわけではない。
車内から窓の外が見えるように、外からも中を見ることはできるだろう。しかし周りには誰もいないし、ここは密室だという意識が外を歩いていた時よりも強くなる。
ぎしりと音を立て、瑞樹が動いた。
シートベルトを締めたりエンジンをかけるよりも先、熱のこもった声で名前が呼ばれ、その瞬間に視線が絡む。
「え……」
顔が近付き、彩瑚のうなじに瑞樹の手が触れた。
くっと上向かされ、そのまま唇同士が合わさる。
「っは……ん」
「彩瑚、ちゃんと口開けて」
「う……んっ、は……」
揶揄われているのか、施しなのかも分からない。
何度も角度を変えて舌が絡み、色っぽく息を吐く音と、いやらしい水の音が至近距離で聞こえた。
生理的な涙が浮かび、彩瑚の視界をじわじわと滲ませていく。
(気持ち良くて、キスだけで頭ぼうっとする)
ぐちゃりと、心を握りつぶされたような感覚があった。
セフレだとちゃんと弁えるから、少しでも長くこの関係を続けていきたい。つい数分前までそう思っていたはずなのに、そんな考えはどんどん小さくなっていく。
このタイミングでこんなことをされると、また彩瑚の中にぐずぐずと欲が出てきてしまう。
瑞樹のことが好きだと伝えて、その返事がこのキスなのではないかと、膨らんでいく期待が捨てきれない。
「……ごめ、なさい」
「彩瑚?」
「その……病気の時って不安になるし、あの日の私はほんとに情緒が不安定で……だから好きって言っちゃっただけなんだって、そう言って誤魔化そうと思ってたの」
「うん?」
「でも、言ったことは消せないし、わ……私は本当に瑞樹くんが好きで……だから、セフレ以上にしてもらえるなら、そうなりたいって思っちゃう」
彩瑚が言った瞬間、ピタリと瑞樹が動きを止める。
そこから「は?」と発された低い声と、眉間に寄せられた皺。
彩瑚の喉から、ひゅっと空気が漏れる音がした。
――調子に乗ってバカなことを言ってしまったと、そう理解するには十分だ。
「あ……その、駄目なら今のままが」
「セフレって何?」
「え? っえ……?」
「俺、彩瑚のことセフレだって言ったことあった?」
そりゃあ誰かに紹介されたわけではないし、直接「セフレちゃん」と呼びかけられたことがあるわけでもない。
しかし、セックスを目的に会う相手は、世間一般的に「セフレ」というのではないだろうか。
「だって、セックスするために今まで会ってて……」
「なんで俺がそんな風に思われてるのか本気で分からないんだけど、セフレ以上って何? 今は? 彩瑚のことセフレにしたいとか俺は一度も思ったことないよ」
「……セフレじゃないなら、なんで今まで私と会ってくれてたの?」
呆れたように深い溜息を吐き出され、彩瑚の体にシートベルトが着けられた。
彩瑚から距離を取った瑞樹は運転席に座り直し、エンジンをかけてハンドルを握る。
「あの、瑞樹くん……?」
「とりあえず移動しようか。分かってもらうまで時間かかりそうだし、もう少し腹割って話そうよ」
34
お気に入りに追加
175
あなたにおすすめの小説
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる