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あたらよ①
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「り、離婚したくないって、私は思ってた!」
服を着ろと言う恭弥くんの言葉も聞かないまま、急に大きな声を出した私に、恭弥くんは怪訝そうに眉を寄せる。
恭弥くんが話を切り上げたそうな顔をしていたのは分かっている。それでも、今ここで話をしないと、今後もずっと有耶無耶になってしまう気がした。
「……する気ないよ。どうしてそんな話が出てくるのか分からないけど、若菜と違って僕はそんなの考えたこともない」
「わ、私だってそんなの考えたくなかったけど、今日会った恭弥くんの彼女は、私と離婚したら連絡もらう予定だったって言ってたし……」
「っは、おかしなこと言うね。他に付き合ってる奴がいるのに、なんで僕のこと気にする必要があるの? 連絡も何も、もうずっと前に関係切れてるよ。若菜を泣かせた日から、本当に一度も会ってない」
少し怒ったように言われてしまい、じっと見つめられるとなんだか居心地が悪くなる。間違ったことを言って、親に嗜められている子供のようだ。
恭弥くんは私の保護者などではないのに。
「……私はずっと、恭弥くんはあの人と結婚したがってると思ってたから」
「は……本当、びっくりするね。僕の気持ちなんて、全然伝わってない感じがする」
呆れたような声色なのに、私を見る表情は苦しげに歪められている。
こんなにも感情を表に出す恭弥くんは珍しい気がした。
恭弥くんが私に対して嘘をついている感じはしない。しかし、それなら私が本邸で会った彼女は何をしていたのかという疑問が残る。
あの日、彼女が加賀家の裏口から出てきたことに間違いはないのだ。まさか勝手に侵入していたわけではないだろうし、加賀家の中に彼女を招いた人がいることになる。
恭弥くん以外の誰かが彼女を家に入れる理由なんて、私の頭では本当に思い浮かばない。
「若菜以外と会うのはやめたって、ちゃんと言っておいたつもりなんだけどな。実際に会ってもいないから見られて困るようなものもないし、どうしてそんな勘違いしてるの?」
「っで、も……その、結婚式の一ヶ月くらい前に、加賀家の本邸で彼女さんに会って、その時にいろいろと言われたから……」
「……聞いてない。それ何? いつの話?」
「だから、本当に式の一ヶ月くらい前の話。その後すぐに門の前で恭弥くんにも会って、いろいろと話して……」
「門の前で……? ん……ああ、あれか。僕に黙って、若菜が勝手に本邸に来てた日?」
何かを思い出すように口元に手を当てた恭弥くんにそう言われ、私の喉がきゅっと引き攣る。
――ああ、そうだった。
恭弥くんの大事な場所への出入りを、私はことごとく禁じられているのだ。たとえ彼女のことが勘違いだったとしても、そのことに変わりはない。
今日の会話だけでまた勘違いをするところだったと、私の中の甘い期待は、簡単にしぼんでしまう。
「っあ、本当、ごめんなさい。恭弥くんのお母さんに急用があるからって呼ばれて、断りもなく勝手に私……」
「……ああ、なるほどね。大体分かった。あの時の若菜とどんな会話したのかも少し思い出したけど、若菜はあの時
、僕とその子がまだ付き合ってるって聞かされたの?」
「その、昔からの婚約者なんていなければ結婚できたのにって言い方だったから、付き合ってるって意味だと思ったの。恭弥くんも私が質問したら、違う人と結婚するのは無理だから諦めたって言うから……」
「そんな言い方はしてないと思うけど、僕の方もいろいろと勘違いしてたから、若菜に誤解されるような言い方してたかもしれないね」
「勘違い……?」
「あのとき若菜が誰と会っていたかなんて知らなかったし、てっきり従業員の誰かを通して、別のこと聞かされたものだと思ってた」
別のこと? と私が首を傾げると、数秒考え込むようにして恭弥くんが言葉を止める。
「まあ、若菜が何を言っても離婚するつもりはないから話すけど」と前置きをされ、聞くのが一気に怖くなってしまう。
「半年くらい前、僕に縁談の話があった。森下グループ社長の次女が僕のことが気になってるとかで、賠償金も負担するから婚約破棄にできないかとか、そんな話」
森下グループという大企業の名に、は、と思わず息が漏れた。
恭弥くんにそんな話が来ていたなんてまったく知らず、これは政略結婚だからと馬鹿みたいなことを思っていた自分が一気に恥ずかしくなる。
どう考えても、向こうの家と繋がりを持った方が加賀家にとってメリットが大きい。
そういうことだから諦めて婚約を破棄にしようと言われていたら、私は身を引くしかなかっただろう。
今こうして一緒にいる自分は、なんて図々しいのだろうか。
「……え。あ、恭弥くんなんでそんな話……え、断ったの?」
「はぁ、薄々分かってたけど、やっぱり若菜はそういう反応するんだ?」
吐き捨てるような笑い方に、どう反応していいのか分からない。
だって、その条件で私の方を選ぶなんて、絶対におかしいのだ。
「だって……」と力なく溢した声は、恭弥くんの溜息に掻き消される。
「だから若菜の耳に入れたくなかったんだよ。説得されたら簡単に身を引きそうで、そういうところが本気で嫌だった。若菜以外と結婚する気はなかったし、あの時もし婚約辞めようって言われてたら僕も何したか分からない」
「え……」
「自制のために抱くのは結婚してからって決めてたけど、もし結婚しないって言われたら子供でもなんでも作って繫ぎ止めるつもりだった。僕の方は婚約破棄しないって話をしてるのに、うちの親は森下との結婚の方に乗り気で話を進めようとするし……もう本当にいろいろと最悪だった。若菜に何を吹き込まれるか分からないし、絶対に会わせないように動いてたよ」
確かに、加賀家への出入りにいい顔をされなくなったのは、結婚式の数ヶ月前からだったような気がする。
つまりは、恭弥くんに森下グループからの縁談が持ち込まれた辺りからなのだろう。
私との結婚よりも森下グループとの縁談を進めるつもりだったのなら、私の花嫁修行なんてどうでもよくなっていたはずだ。
「……だから、恭弥くんがもう通わなくていいって言っても、お義母さん何も言わなかったんだ」
「ああ、それと、若菜が僕の彼女だと勝手に勘違いしてる子、多分僕の母親が呼んでるね。君から別れたいと思わせるためにちょうどよさそうなの雇って、成功したら追加で報酬とか言ってたんだと思うよ。僕の憶測でしかないけど、あの家に来る理由がそれ以外に思いつかない」
そんなことのために雇われたのかと思うと、いろいろと信じられない思いでいっぱいだった。
確かに森下グループと繋がりが持てるのは大きいけれど、それでも私はお義母さんに嫌われてはいないと思っていたのだ。
罠に嵌めるようなことをされていたなんて考えたくない。
「……私、そうとう恭弥くんのご両親に疎まれてたりするの? 結婚の邪魔したみたいになって、私のせいで恭弥くんの結婚が……」
「はは、関係ないよ。若菜が何言ってきても僕が引かなかった。他に好きな奴がいるから結婚しないって言われてたら、多分そのまま籍だけ入れて家から出さなかったよ」
急に物騒なことを言われた気がして、ぞくりと腹の底が冷える。
ここまでずっと話を聞いてきたけれど、今までのことを考えてしまうと、まだ少し恭弥くんの気持ちに確信が持てない。
しかし、ひとつひとつ訊ねていたら、きっとどこまでも時間が掛かってしまうだろう。
それならば、と。心の中で決意を固めて、緊張が滲んだ声を喉から捻り出す。
言うことを聞かなかったせいで、私はまだ上半身の服を着ていない。
「っきょ、恭弥くん……!」
「うん、なに?」
恭弥くんの手に自分の指を絡ませ、そのままゆっくりと持ち上げる。私の胸に触れるように誘導すると、肌に触れた恭弥くんの指先がぴくりと反応した。
「わ、私……今日このまま、最後までしたい……」
「は?」
恭弥くんは他に好きな人がいるわけではなく、大きなグループとの関わりを断ってでも私を選んでくれたのだ。
変な勘違いを抜いた状態で触ってもらえたら、恭弥くんの気持ちも少しは分かるだろうか。
「お願い……」
セックスは恋人同士のコミュニケーショツールでもあるのだと、私は知っている。
本来なら子供を成すための行為ではあるが、現代ではそれ以外の目的でおこなわれることも多い。
ただ触れたいから、愛情を確かめたいから、性欲の処理、興味本位。
目的なんて考えればいくらでも出てくる行為で、私はいま、ただ触れたいから、恭弥くんとこれがしたい。
服を着ろと言う恭弥くんの言葉も聞かないまま、急に大きな声を出した私に、恭弥くんは怪訝そうに眉を寄せる。
恭弥くんが話を切り上げたそうな顔をしていたのは分かっている。それでも、今ここで話をしないと、今後もずっと有耶無耶になってしまう気がした。
「……する気ないよ。どうしてそんな話が出てくるのか分からないけど、若菜と違って僕はそんなの考えたこともない」
「わ、私だってそんなの考えたくなかったけど、今日会った恭弥くんの彼女は、私と離婚したら連絡もらう予定だったって言ってたし……」
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恭弥くんは私の保護者などではないのに。
「……私はずっと、恭弥くんはあの人と結婚したがってると思ってたから」
「は……本当、びっくりするね。僕の気持ちなんて、全然伝わってない感じがする」
呆れたような声色なのに、私を見る表情は苦しげに歪められている。
こんなにも感情を表に出す恭弥くんは珍しい気がした。
恭弥くんが私に対して嘘をついている感じはしない。しかし、それなら私が本邸で会った彼女は何をしていたのかという疑問が残る。
あの日、彼女が加賀家の裏口から出てきたことに間違いはないのだ。まさか勝手に侵入していたわけではないだろうし、加賀家の中に彼女を招いた人がいることになる。
恭弥くん以外の誰かが彼女を家に入れる理由なんて、私の頭では本当に思い浮かばない。
「若菜以外と会うのはやめたって、ちゃんと言っておいたつもりなんだけどな。実際に会ってもいないから見られて困るようなものもないし、どうしてそんな勘違いしてるの?」
「っで、も……その、結婚式の一ヶ月くらい前に、加賀家の本邸で彼女さんに会って、その時にいろいろと言われたから……」
「……聞いてない。それ何? いつの話?」
「だから、本当に式の一ヶ月くらい前の話。その後すぐに門の前で恭弥くんにも会って、いろいろと話して……」
「門の前で……? ん……ああ、あれか。僕に黙って、若菜が勝手に本邸に来てた日?」
何かを思い出すように口元に手を当てた恭弥くんにそう言われ、私の喉がきゅっと引き攣る。
――ああ、そうだった。
恭弥くんの大事な場所への出入りを、私はことごとく禁じられているのだ。たとえ彼女のことが勘違いだったとしても、そのことに変わりはない。
今日の会話だけでまた勘違いをするところだったと、私の中の甘い期待は、簡単にしぼんでしまう。
「っあ、本当、ごめんなさい。恭弥くんのお母さんに急用があるからって呼ばれて、断りもなく勝手に私……」
「……ああ、なるほどね。大体分かった。あの時の若菜とどんな会話したのかも少し思い出したけど、若菜はあの時
、僕とその子がまだ付き合ってるって聞かされたの?」
「その、昔からの婚約者なんていなければ結婚できたのにって言い方だったから、付き合ってるって意味だと思ったの。恭弥くんも私が質問したら、違う人と結婚するのは無理だから諦めたって言うから……」
「そんな言い方はしてないと思うけど、僕の方もいろいろと勘違いしてたから、若菜に誤解されるような言い方してたかもしれないね」
「勘違い……?」
「あのとき若菜が誰と会っていたかなんて知らなかったし、てっきり従業員の誰かを通して、別のこと聞かされたものだと思ってた」
別のこと? と私が首を傾げると、数秒考え込むようにして恭弥くんが言葉を止める。
「まあ、若菜が何を言っても離婚するつもりはないから話すけど」と前置きをされ、聞くのが一気に怖くなってしまう。
「半年くらい前、僕に縁談の話があった。森下グループ社長の次女が僕のことが気になってるとかで、賠償金も負担するから婚約破棄にできないかとか、そんな話」
森下グループという大企業の名に、は、と思わず息が漏れた。
恭弥くんにそんな話が来ていたなんてまったく知らず、これは政略結婚だからと馬鹿みたいなことを思っていた自分が一気に恥ずかしくなる。
どう考えても、向こうの家と繋がりを持った方が加賀家にとってメリットが大きい。
そういうことだから諦めて婚約を破棄にしようと言われていたら、私は身を引くしかなかっただろう。
今こうして一緒にいる自分は、なんて図々しいのだろうか。
「……え。あ、恭弥くんなんでそんな話……え、断ったの?」
「はぁ、薄々分かってたけど、やっぱり若菜はそういう反応するんだ?」
吐き捨てるような笑い方に、どう反応していいのか分からない。
だって、その条件で私の方を選ぶなんて、絶対におかしいのだ。
「だって……」と力なく溢した声は、恭弥くんの溜息に掻き消される。
「だから若菜の耳に入れたくなかったんだよ。説得されたら簡単に身を引きそうで、そういうところが本気で嫌だった。若菜以外と結婚する気はなかったし、あの時もし婚約辞めようって言われてたら僕も何したか分からない」
「え……」
「自制のために抱くのは結婚してからって決めてたけど、もし結婚しないって言われたら子供でもなんでも作って繫ぎ止めるつもりだった。僕の方は婚約破棄しないって話をしてるのに、うちの親は森下との結婚の方に乗り気で話を進めようとするし……もう本当にいろいろと最悪だった。若菜に何を吹き込まれるか分からないし、絶対に会わせないように動いてたよ」
確かに、加賀家への出入りにいい顔をされなくなったのは、結婚式の数ヶ月前からだったような気がする。
つまりは、恭弥くんに森下グループからの縁談が持ち込まれた辺りからなのだろう。
私との結婚よりも森下グループとの縁談を進めるつもりだったのなら、私の花嫁修行なんてどうでもよくなっていたはずだ。
「……だから、恭弥くんがもう通わなくていいって言っても、お義母さん何も言わなかったんだ」
「ああ、それと、若菜が僕の彼女だと勝手に勘違いしてる子、多分僕の母親が呼んでるね。君から別れたいと思わせるためにちょうどよさそうなの雇って、成功したら追加で報酬とか言ってたんだと思うよ。僕の憶測でしかないけど、あの家に来る理由がそれ以外に思いつかない」
そんなことのために雇われたのかと思うと、いろいろと信じられない思いでいっぱいだった。
確かに森下グループと繋がりが持てるのは大きいけれど、それでも私はお義母さんに嫌われてはいないと思っていたのだ。
罠に嵌めるようなことをされていたなんて考えたくない。
「……私、そうとう恭弥くんのご両親に疎まれてたりするの? 結婚の邪魔したみたいになって、私のせいで恭弥くんの結婚が……」
「はは、関係ないよ。若菜が何言ってきても僕が引かなかった。他に好きな奴がいるから結婚しないって言われてたら、多分そのまま籍だけ入れて家から出さなかったよ」
急に物騒なことを言われた気がして、ぞくりと腹の底が冷える。
ここまでずっと話を聞いてきたけれど、今までのことを考えてしまうと、まだ少し恭弥くんの気持ちに確信が持てない。
しかし、ひとつひとつ訊ねていたら、きっとどこまでも時間が掛かってしまうだろう。
それならば、と。心の中で決意を固めて、緊張が滲んだ声を喉から捻り出す。
言うことを聞かなかったせいで、私はまだ上半身の服を着ていない。
「っきょ、恭弥くん……!」
「うん、なに?」
恭弥くんの手に自分の指を絡ませ、そのままゆっくりと持ち上げる。私の胸に触れるように誘導すると、肌に触れた恭弥くんの指先がぴくりと反応した。
「わ、私……今日このまま、最後までしたい……」
「は?」
恭弥くんは他に好きな人がいるわけではなく、大きなグループとの関わりを断ってでも私を選んでくれたのだ。
変な勘違いを抜いた状態で触ってもらえたら、恭弥くんの気持ちも少しは分かるだろうか。
「お願い……」
セックスは恋人同士のコミュニケーショツールでもあるのだと、私は知っている。
本来なら子供を成すための行為ではあるが、現代ではそれ以外の目的でおこなわれることも多い。
ただ触れたいから、愛情を確かめたいから、性欲の処理、興味本位。
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