上 下
16 / 16

16 君がもっと好き

しおりを挟む
俺はタカハシユキ。

俺はもしかしたら…恋をしているのかもしれない。

「…よし!ビール!」

あの人、飲み過ぎじゃないか?

そう思いながら、ソフトドリンクを手に取る。

(…?)

アルコールの匂いがする。

もしかして、俺がノンアルコールを頼んでいたのに、酔いが回り過ぎてまともな注文も出来なくなったのか?

本当に帰りたい。

帰りたい。

「……飲み物。」

「急いで食べるから…」

由紀さんはムスッとした顔でyukiメから飲み物を受け取り、流し込む。

「助けろ言うから一緒に来てやってるんだから、食べずにいれられないって…」

恐らくyukiメは強制で連れてこられて、由紀さんが付き添いで行ってあげてるのか。

本当に彼女は優しいな。

それにしても由紀さんは相当食べるなぁ。

周りの人がまあまあ引いてる。

面白い人だ、全く。

30分後…

お開きの雰囲気になってきた。

由紀さんは…あれ?由紀さん…?

寝ている。

俺はすぐに由紀さんの元に飛んでいった。

「由紀さん?由紀さん…?」

「スヤァ…」

誰かアルコールの入ったやつを持ってきたのか。

「うう…視界がグルグル…」

「…由紀…大丈夫?」

とても申し訳なさそうにyukiメがのぞき込んでいる。

「ごめん…俺が確認せずに渡したから…」

何となく分かった。

別にyukiメが黒幕って訳じゃないなら責めはしない。

「俺が連れて帰るよ。」

俺は由紀さんを抱き抱えた。

「うう…グワングワンする…」

ラインを開きたかはしゆきさんに連絡をいれる。

直ぐに快諾してくれた。

彼女も由紀さんを心配してたのだろう。

「知り合いなの?」

先輩が俺に話しかけてきた。

「俺の………彼女です。じゃあ、先に帰りますね。」

「え!?あ、うん、お疲れ様…」

俺は夜の道を歩きながら小さな声で呟く。

「…俺も…君が好きだよ。」

シェアハウスまでとても近くて助かった。

「由紀!」

「ゆきちゃあんだぁ…」

「タカハシさん、ありがとう…」

「構わないよ。」

「ユキさぁん……?」

俺は由紀さんの頭をポンポン触れる。

「水を飲んで、しっかり休んでね。」

「はぁい…」

俺はそのまま家に帰った。

いつの間にか、どうやら彼女を好きになっていたらしい。

まあ、俺が言った言葉は酔っている由紀さんには届かないと思うけどね。

でも、それで良い。

俺もそういうのは慣れてない。

「俺も…恋の…初心者…って事か…」


終わり
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...