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ユア教 教祖ユア

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参章・昇りし太陽編

3-14 71 緋色視点 二日目

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(さあ、始まりましたー!はぁ…)

という気持ちで自らを鼓舞しようとするが一度落ちた気持ちは上がらない。

27位の氷結持ちの出野 幸喜いての こうきを倒したあとの事だ。

「あ~あ…負けちゃったよ。」

やはり、戦士やウィザードとは違い、戦い辛く強かった。

「…次は26位だろ?樫妻。」

「そうだけど…何?」

「今滝も倒して、その次も、その次も…倒す気だろ?」

「だから何?」

「片岡もか?」

「…そうと言ったら?」

「………その時位は、ちゃんと能力使いなよ。」

お前は無能力者じゃ無いだろと言う言い草だ。

「…………」

「俺は、橋本の味方だから、味方の味方は応援するぜ。頑張れよ~」

と言って去った。

橋本の言っていたアナライズが上手い野郎はどうやら出野だった様だ。

こいつは緋色に攻撃した事は確かにないが言動が一々鼻につくので好きじゃない。

応援されて嬉しくならないのは多分こいつだけだろう。

良い奴なんだろうとは思うが嫌いだ。

と言う事で、さっさと26位と25位を倒し、今日のノルマは達成した。

こんな事に時間など使ってられない。

同じ時間軸を見れば、1回目と2回目は何方も個人戦という壁が乗り越えた直後だ。

しかし、こちらは外の世界に一回行った(それも死にかけ)だけだし、白い建物という最大の壁にも行ってない。

…これは…本当に長い戦いになりそうだ。

まったく、緋色視点で話が進んでいるからこんなメタい話が出来るのだろう。

こんな事をしてると夏希や香露音にバレたら怒られるだろう。

それにしても、自身の全財産を確認すると、吃驚する程無い。

何でいつまで経っても金欠なんだろうか。

(外の世界に行こうかなぁ…)

中々迷う。

一人で行くか、人を連れるか、何時行くか。

先ずは一人で出発した事を思い出す。

…人が死んだ。

人を連れた時を思い出す。

…全滅か死にかけ。

(あ、でも一回は無傷で済んだっけ。鶴ちゃんと香露音の3人で行ったとき…一回……)

前に死にかけたのにも関わらず(流石に色んな人に怒られた)、また行くのは学習をしなさ過ぎる。

しかし、それでも尚反省していないのが緋色である。

ついでに後悔も皆無だ。





「という事で、外の世界にやってきた訳だけど…」

外の世界の木に乗って、モンスターがいるか確認する。

出来るだけモンスターの多い場所に突っ込んで早々に帰りたい。

というか、それが問題じゃない。

「あれれ~おかしいぞ~?ぼっち出来たつもりなんだけど、二人も居るなんて~」

そこには奏恵ちゃんと光ちゃんが木の下で緋色を見上げていた。

「橋本さんから頼まれましたー」

「奏恵に頼まれましたー」

橋本あの野郎…いつ知ったんだよ…」

「ああ、財布の寒さでため息ついていたところを見て勘付いたらしいです。」

橋本頭が良すぎないか。

もはや腹立ってくるレベルだ。

「というか、光ちゃんに関しては、戻って来てから初めて会うんだけど…」

「お久しぶりでーす。色々あって。」

その色々を聞いてみたい。

しかし、外の世界でそんなほのぼのしている場合じゃない。

「あっちに、サル共が居るね。」

大量にいるが、まぁなんとかなるだろう。…なるのか?

「…ちなみに…どれくらい先ですか…?」

「約300m先、私から2時の方向。」

「………ひぇぇ…」

奏恵ちゃんはよく分からない声を出す。

「…何体いますか?」

「割と少ないよ。…大体3桁いくかいかないかかな…」

「3桁で少ないんですか…」

「どうする?」

「行きます。…早めに鞄をパンパンにして帰りましょ。」

積極的なのは嫌いじゃない。

光は自身の武器を構える。変わった武器だ。

仕込杖のようだが、一体何を仕込んでいるかは分からない。

しかし、どうやら武器生成(小)では作れない程の複雑な武器だというのは素人でも分かる。

鍛冶屋の人が頑張ったって言うくらいの複雑な武器だと思う。

「…わ、私も頑張ります!」

奏恵ちゃんも杖を構える。

「さあ、いくよ。」

出発するのではなく、こちらから呼ぶ。その為の笛を用意した。

ついでに自作である。勿論、理由は金欠だから。

思いっ切り笛で吹いた。

「……耳が、死んだ…」

あ、そういえば、防犯用の仕組み利用したから、煩いのは当然だった。

キーキー煩いサル共がやって来た。恐らく興奮している。

「いやぁ…やっちゃったねぇ…」

「先輩、そんな事言ってる場合じゃないですよー!」

大量に来た。

「うん、ゴメン!2人共。やらかしちまったぜ!」

「ええ…」

というか、そんな事してる場合じゃない。本当にさっきから遠回りが多すぎる。

「さっさと倒さないと…!雷球(中)…!」

高速で発射されサルの眉間を貫き穿った。

どうやら、仕込杖というのは銃の様な仕組みをしているらしい。

扱いが慣れている様だから、必死に練習したのだろう。

「えい!」

奏恵ちゃんは刃の付いた杖を振り回して殺していく。

中々、ユニークな武器だ。

「死線誘導・殺戮(大)。」

少しずつだが、形になってきている。

綺麗に、そして残酷に殺せる様になった。

出来るだけ、後輩の所にあまりサルがいかないようにここで大量に倒す。

流石に全部は殺さないが。

聖なる光ホーリーバースト(大)…!」

火力が非攻撃系能力者だとは思えない。

後輩の成長を見ると嬉しいのは、緋色が先輩になったからだろうか。

「だから武器を噛むなって!殺すよ…!?」

と言っているくせに、緋色はサルを蹴飛ばし銃で撃ち殺す。

武器を駄目にするからサルは嫌いだ。

量があるから、それなりの金にはなるが。

10分後にサル共を駆逐完了した。

「うん、うん。流石に楽勝だね。」

素材を鞄に突っ込みながら喋る。

「…先輩が一番サルを倒してたのに…楽勝ですか…」

少し息が上がっている光ちゃんが言った。

「それにしても…光の武器変わってるね…」

どうやら奏恵ちゃんも初見のようだ。

「ああ…これ?私の兄ちゃんが鍛冶屋でさ。武器を作ってくれって言ったら、誕生日プレゼントで貰った。…前は……戦う事に気が進まなかったからさ、使わなかったんだよね。…あと…ね…」

光ちゃん曰く、元々目が良過ぎて困るレベルだったのだが、ウィザードに開眼してから、更に目の良さに拍車が掛かったらしい。

それに、元々戦いは好きでは無い。

なので、幾ら夏希先輩が復活したいと言えどもこの武器を手に取るまでの決意は湧かなかった。

しかし、自分だけ中の世界に待つ方が更に嫌だということをキャニバルに殺されても尚思ったから、この武器を取り、戦う事を選んだ…との事。

強い決意だ。

この選択を取るのにどれ程の勇気が要るのか計り知れない。

「そっか。箪笥の肥やしにならなくて良かったね。」

「…そうですね。…お兄ちゃんの誕生日プレゼントなので。」

鞄はまだ余裕がある。

そして、緋色がソロで行きたがる理由は割と単純だ。

単に、守る事に特化した精神世界の緋色が居ないからだ。

もっと言うと、精神世界の緋色は共闘に向いてない。

あとたまに、繋がったままもとに戻せない事案が発生する。

なので今回は、大人しく誰とも繋がらずに戦うことにする。

数時間後、3人の鞄が満タンになったのですぐに帰った。

お金は、多少散財しても大丈夫そうな位まで稼いだ。

これでお金の心配は要らない。

そうして、外の世界に行ったり、ネモフィラでボコったりしながら1週間程経った。

ネモフィラでの最初の壁は…そう…橋本だ。

資格レベルの人間に無能力者として戦わないといけない。

能力者である事をできるだけ隠したい。

…まぁ、しかしながら、精神世界の緋色を完全に扱えるかもしれないチャンスでもある。

明日の最初が橋本だ。

さぁ、誰と繋がって戦おうか。
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