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初めての“おしごと”

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わたしは“メイド”だ。
…といっても、資格はなく、協会に所属しているわけでもない。
あくまで、“個人的な依頼”として、この仕事をさせていただいている。

依頼主は、裕福な家庭の親御様で、普段は海外に出張しているため、家にいない。
その家に住む、“みさきちゃん”の身の回りのお世話を任された。

みさきちゃんは、まだランドセルを卒業しないくらいの年齢で、わたしと同じクラスの“同級生”だ。
わたしの家が貧しく、家賃の支払いすらぎりぎりの生活状況を見かねて、海外にいる両親に頼み込んでくれたらしい。

それから後日、わたしは“メイド”として、みさきちゃんが住むマンションで雇ってもらえることになった。



「じゃあ、まずは足を舐めて。」

わたしがメイドとなった初日。みさきちゃんから発せられた“第一声”がその言葉だった。

てっきり、家事を申しつけられるのだとおもっていたわたしは、動揺を隠すことができなかった。

「み、みさきちゃん…、あの…。」

「みさきじゃなくて、“お嬢様”でしょ。
これから、ここで働く時間はそう呼んでね。」

「は、はい…。み…お、お嬢様…。」

「ん…。いい子。」

頭を撫でられ、わたしは頰を赤くしてしまう。
お嬢様は椅子に座ると、くつ下を脱ぎ、左足を軽くわたしの方に伸ばした。

「じゃあ“ふうか”、足を舐めて?」

そして、はじめの状態に戻ってしまい、再度、困惑してしまう。
そもそも、これは“メイド”がする仕事なのだろうか。
疑問の念が消えず、つい口を開いてしまう。

「メイドって、家事をするのが仕事じゃないの?」

「そうね。家事と“私の身の回りのお世話”をするのが仕事よ。」

「……これは、身の回りのお世話なの?」

「そうよ。契約書に書いてあるでしょ?」

わたしの雇用が決まった日。家に郵送で契約書が届いていた。
そこには契約に関すること。仕事内容や注意事項も記載されている。

「その契約書にある、身の回りのお世話に関すること“注釈2”を見てみなさい。」

ランドセルから契約書を取り出し、言われた項目を確認する。
指で辿りながら項目を探すと、そこには
『※身の回りとは、身体に関すること。教育・掃除もここに含まれる。』
と記載されていた。

「つまり、私の足を舐めて綺麗に“掃除”することも、あなたの仕事なのよ?」

「………。」

「どうしても嫌なら、“辞める”?この仕事。」

お嬢様は残念そうに、くつ下を履き戻そうとした。
ここで辞めれば、また苦しい生活に戻ってしまう。

「な、舐めますっ!舐めさせてくださいっ!!」

「そう、よかった♫」

途中まで履いたくつ下を再度脱ぎ、足を向けられる。
わたしは、近くで膝立ちになり、両手で丁寧に足を支えると、“恐る恐る”足の親指を口の中に入れる。

「今日は体育で疲れたから、念入りに掃除してね?」

頰を赤らめながら、笑顔で話すお嬢様の期待に応えようと、指先を舌で舐める。

汗のこもった匂いと、少ししょっぱい味が口のなかに広がり、涙目になる。
だが、むせるわけにはいかないため、必死で飲み込み、別の場所を舐める。

その後も、別の指・足裏と順番に舐め、足全体を舐め終わる。

「いい子ね。今日は初めてだし、“このくらい”でいいわ。」

また、頭を撫でられ、わたしの顔が赤く染まる。

その後は、普通の家事をこなし、時間が過ぎていく。
普段、家の家事は自分でしているため、特に苦戦することもなく、一通り終えることができた。

「まだ時間があるし、一緒に宿題をしましょう?」

やることがなく、困っていたわたしにお嬢様が助け舟をくれた。
その上、勉強が苦手なわたしに、わかりやすく解き方まで教えてくれる。
そのおかげで順調に進み、かなり早い時間で終わることができた。

「ねえ、ふうか。…“お仕置き”って知ってる
?」

お嬢様の部屋で、冷蔵庫に入っていたケーキを一緒に食べていると、頰を赤くしながら聞いてきた。

「知ってるよ。悪いことをした子に、痛いことや嫌なことをするんでしょ?」

「そう。それよっ!」

“話が早い”
そんな様子を漂わせながら、お嬢様は、自分の膝を“ポンポンッ”として、わたしを見つめる。

「ふうか。いまからお仕置きするから、膝の上にきて?」

「えっ!?…でも、わたし悪いこと何もしてないよ。」

「一度、お仕置きがどうゆうものか、勉強したいの。“私の教育”もあなたの仕事でしょ?」

「うっ…。」

“仕事”と言われてしまうと、反論する理由が生まれることはなかった。
わたしは覚悟を決め、正座しているお嬢様の横に歩み寄る。

「…どうすればいいの?」

「膝の上に腹ばいになって。」

「それって…。」

「あら?もうわかったの?…本当に話が早くて助かるわ。」

お仕置きの内容が“なに”か、気づいてしまったわたしへ、お嬢様は笑顔を向ける。
そしてわたしは言われたとおり、膝の上に腹ばいになる。

「さぁて、悪いお尻を私に見せてね♫」

「…えっ!?ちょっとっ!?」

気がつくとわたしのズボンとパンツは、足首あたりまで降ろされていた。
恥ずかしさからお尻を隠そうと、手を伸ばすが、“グイッと”捻られ、背中の方に持ってこられた。

「こらっ、ダメでしょ?隠しちゃ。」

「だってぇ……。」

「ちゃんと反省できないなら“お仕置き”増やすよ?」

「うぅ……。」

同性の前とはいっても、お尻を出すこと自体が恥ずかしい。
“スースー”とする下半身が、わたしの羞恥心をひどく煽ってくるようだった。

「ちゃんと反省するから、せめて、パンツは履かせて。」

「だーめ。直接叩かないと意味がないでしょ。……それとも、どうしても“嫌”なの?」

「う…。」

「……どうするの?」

ここでわたしが嫌といえば、お仕置きは免れるだろう。
ただ、それはここでの仕事を“失う”という意味にもなる。

「…お、お仕置きを受けます。」

「違うでしょ。お仕置きを受ける時は、“お仕置きをお願いします”っていうのよ。」

「…はい、お仕置きをお願いします。」

「ん…。いい子。」

ここでも頭を撫でられる。
…ただ、今回は別の感情が勝り、すでに頰は真っ赤になっている。

「じゃあ、始めるわよ。“今日は”初めてだから、10発ね。」

「…はい。」

わたしは、手を“ぎゅっと”握り、衝撃がくるのを待った。
…だが、お嬢様は焦らしているのか、なかなか叩いてくれなかった。

パァンッ!

「ひぃっ!」

「1つ。」

完全に油断していたところに、平手が振り下ろされた。
当たったところがモミジの形のように、“じんじん”する痛みが発せられる。

バシッ!

「たぁいっ!」

「2つ。」

今度は真ん中より上の方に平手が当たる。
相変わらず鈍い痛みが、面積を広げわたしに襲いかかってくる。

バヂンッ!

「いったいっ!」

「3つ。」

右尻の下側、お尻と太ももの境目に振り下ろされる。
皮の薄い部分への衝撃は、最初の2発より、はるかに痛いものとなった。

「ちょっとまってっ!痛すぎるよっ!」

「お仕置きなんだから、痛くて当たり前でしょ?」

「いや…でも、…。」

「……やめる?」

「…………続きをお願いします…。」

“なでなで”
お尻を撫でられ、わたしの羞恥心がピークを迎えようとしている。
撫でられていた手は離れ、「はぁー」っと手に息を吹きかける音がした。

バヂンッ!バヂンッ!バヂンッ!バヂンッ!

「んっ!あぁっ!たいっ!きゃあっ!」

「4つ。5つ。6つ。7つ。」

帰ってきた平手は4発。わたしのお尻に跡を残す。
ここでついに、目から“暖かい雫”が流れ出てきた。
一度流れた雫は、勢いが止まらず、洪水となって押し寄せてくる。

「残り3回は本気で叩くから。覚悟してね?」

「…うぅ…。」

バッヂン!!

「いだいっ!!」

「8つ。」

これまでよりも明らかに強い一撃が、“無防備”なお尻を襲う。
もう痛くない部分がわからないほど、お尻全体から“鈍い痛み”が発せられていた。

バッヂィンッ!!

「いだぁぁっ!!」

「9つ。」

“ジクジク”と刺さるような痛みがお尻の真ん中を埋め尽くす。
『早く終わってっ!!』この思考が頭を埋め尽くすころに、また、「はぁー」っと息を吹きかける音が、頭の中にこだました。

バッヂィィンッ!!!

「だいぃぃぃっ!!」

「10。」

最後の1発が振り下ろされる、
お尻から手が離れると、当たった部分が、手形の範囲で“ズキズキ”と痛み出した。

「ひっぐ……グスッ…。」

「はい、おしまい♫」

ようやく掴まれていた手が離され、自由となる。
真っ先に手を当てると、お尻全体から“熱”が発せられている状態だった。
それと同時に、“ジクジク”とした痛みが一気に襲いかかってくる。

「いっ!?」

「いきなり触っちゃダメよっ。
今タオルを持ってくるからちょっと待ってて。」

わたしをお膝から下ろすと、部屋を出ていった。
帰ってくるころには、大きめの洗面器が手に握られていた。

「ちょっと染みるけど、我慢してね。」

「んっ!?」

洗面器の中に浸していたタオルを絞ると、わたしのお尻に乗せる。
突然の感覚に、つい声を上げてしまう。

「痛くしないで…。」

「もうお仕置きじゃないから、痛くしないわよ。」

その後、お尻に塗り薬も塗られ、心地よい気分に浸っていた。
お嬢様はわたしの身体を抱き上げると、ほっぺにキスをする。

「お母様への提示報告で“このこと”は言わないで欲しいの。」

わたしの耳元で、恐々とささやかれる。
その可憐な様子に、少し、意地悪をしたくなってくる。

「えー、どうしようかな…。」

「お願いっ!ふうか。」

「…じゃあ、一つ条件があるの。」

「な、なに?」

「…しばらく、このままの姿勢でいさせて。」

「…いいわよ。」

お嬢様は笑顔で応じてくれた。
了承を得たわたしは、お嬢様の胸に顔をうずめた。
柔軟剤の香りと暖かい体温が安心感を与えてくれる。



しばらくすると、わたしは電話で“秘書さん”に提示報告を終え、帰宅の準備をする。

お嬢様は寂しそうにしていたが、明日も会えると説得し、なんとか笑顔になってくれた。

夏の夕暮れが夜を告げるころ、マンションを出たわたしに、生ぬるい風が迎えてくれる。

『いろいろあったけど、続けられそうな気がする。』
そう思ったわたしは、明るい街灯の下、胸が高鳴なりながら、夜道を踏みしめた。
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