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カラオケで“100点”を取れなかった罰

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「のん、カラオケ行くよ」

学校から帰宅したわたしへ、ママからの第一声は“それ”だった。

「…はぁい」

…でも、わたしはちっとも嬉しくない。

……だって、ママは“お歌”に関しては、とても厳しいから。

わたしは自分の部屋に入り、すぐに出掛ける準備を始める。

最後に姿見の前に立ち、ペロンとスカートとパンツを下げ、自分の“お尻”を確認した。

…“今は”白いお尻。

『どうか、帰ってきた時もこの“白さ”でありますように…』

願いを込めながらお尻をしまい、そのまま部屋を後にした。



カラオケに着くと、早速ママが一曲歌う。

…お隣で歌を聴きながら、その上手さがひしひしと伝わってくる。

そして、当たり前のように100点を取り、マイクをわたしへ押しつけた。

「…100点取れなかったら、わかってるな?」

「…はい」

わたしはマイクを受け取ると、恐る恐る自分の曲を入れる。

部屋中に流れ出すリズミカルな音楽は、今のわたしには不釣り合いな気がした。

歌う最中、ママは常にわたしを睨みつけながら、時折舌打ちが聞こえてくる。

涙目になりながらも何とか歌い切ると、採点を待った。

…結果は81点。

「っち」

「ごめんなさいっ!次は100点取りますっ!」

わたしは頭の上に手を当てながら、必死にママへ謝る。

「……もう一回歌ってみな」

「はいっ!ありがとうございますっ!!」

わたしは急いで次の曲を入れると、すぐに部屋中に音楽が響き渡った。

……結果は73点。

「ご、ごめんなさいっ!!次は絶対…」

「…もういいっ!」

ママはそう言うと席を立ち、わたしの耳を引っ張り無理やり立たせた。
そして力ずくでスカートを脱がせ、部屋の隅に投げ捨てる。

パンツは膝まで脱がせると、ママは席に戻った。

「…早くこっちに来い」

パンッ パンッ

先ほどまでわたしが持っていた“マイク”を手に当てながら、きつく睨みつける。

「は、はい…」

震える身体でママのお膝へ“四つん這い”になると、グッと頭を押さえつけられた。
首が折れるかもと思うほどの力が、わたしの顔とソファとの距離を近づける。

スッとマイクを振り上げたのか、キーンとする音が部屋中に響き渡った。

「なんで100点取れないんだよっ!」

バヂンッ!

「いっだいっ!」

マイクの棒の部分が右側のお尻に当たり、鋭い痛みが身体中に流れる。
グッと頭を押さえつけられているため、わたし叫びはソファの皮に反響した。

「そんなんで歌手になれると思ってるのかっ!」

バヂンッ!バヂンッ!バッヂィィン!!

「いだぁぁいっ!ごめんなざぁぁいっ!?」

左右のお尻を交互にぶたれ、わたしの目からは大粒の涙が溢れ出した。
ソファの皮に涙が溜まり、すぐに水溜りが出来上がる。

お尻を庇いたい手はソファの上で我慢させ、ママの怒りが収まるのを待った。

「だからオーディションで何回も落ちるんだよっ!!」

バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!

「うぎゃぁぁあっ!?」

より強い痛みが、お尻と太ももの間の肌が薄い部分へ叩き込まれた。

ママから押しつけられた“歌手”という夢は、いつもわたしのことを身体的・精神的に追い詰め、傷つけていく。

「次は100点取るがらぁっ!?」

「もう聞きあきたっ!」

バヂン!バヂンッ!

「い゛いぃっ!?」

「ラストオーダーまで、尻叩きっ!!」

バッヂィィンッ!!

「う、うわぁぁぁぁんっ!!」



……今日は“3時間分”の受付をしていた光景が、頭の中で何度も再生された。



パチッ

…カラオケが終わり帰宅して、自分の部屋の明かりを付ける。

綺麗な姿見には、髪がボサボサで、服が汗で体に張り付き、顔を真っ赤に腫らした“女の子”が立っていた。

女の子は無言でスカートとパンツを下げ、自分の“お尻”を確認する。

……そこには“濃い青紫色”で染め上げられた、痛々しいお尻が映っていた。


「完」
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