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服を汚した罰
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セミの音があたりに響き、夏の暑さを伝える頃。
わたしは、いわゆる“夏休み”という期間に入っている。
だが、今年の夏休みはいつもよりも期間が短い。
そのくせ、宿題は大量に出されたので、計画的に少しづつおわす日々が続いていた。
世間一般的に夏休みといえば、子供が喜ぶ行事の1つだと思う。
……ただ、わたしの場合、必然的に“この家”にいる時間が増えるので、とても憂鬱な気持ちだった。
…というのも、わたしの家には他の家にはない“ルール”がある。
家にいる時間が増えれば増えるだけ“お仕置き”を命じられる確率が上がるため、このルールがある以上、わたしの気持ちが落ち着くことはなかった。
しかも、それに加え今は“月末”だ。
昔から在宅ワークの母は普段から家にいることが多く、仕事が多忙なこの時期は機嫌が悪いことが多い。
正直、こういう時の母と関わりたくないが、姉が問題を起こすと、嫌でも関わることになる。
そして、今回もそんなわたしの一日を振り返ってみようと思う。
・
「まい。ママがご飯できたって。」
「わかった。」
本日分の宿題を終え、自分の部屋でスマホをいじっていたわたしへ、姉からのお呼びがかかる。
「今日はまいの大好きな“ハンバーグ”だってっ!早くこないと怒られちゃうよ?」
「う、うん。今いくよ。」
…ハンバーグ。
確かにもともとは大好きだったけど、“あの日”以来トラウマとなり、今では見るだけでも当時の記憶がよみがえってしまうようになった。
「じゃあ先にいってるね。」
そういうと姉は部屋から出ていく。
いつもよりも“楽しそう”な笑顔は、粗相を起こす前触れのような気がして、わたしの気持ちが沈んでいくのがわかった。
…早く行かなきゃ。
ここでモタモタしていても“お仕置き”を宣告される可能性があるので、急いで重い腰を上げた。
「2人とも、早く食べちゃいなさい。」
「はーいっ♫」
「はい。」
食卓に着くと、真っ黒いハンバーグがわたしを出迎えた。
…服につくと落ちなそうな色。
そんな色を見ていると、“あの日”の嫌な記憶が蘇ってくる。
「おいしーっ♫ママのハンバーグ大好きっ!」
わたしの気も知らず、姉は満面の笑みでハンバーグを頬張っている。
母も静かに食べ始め、わたしは恐る恐る箸を握った。
「はあ、最近忙しいわね…。」
「ママ…、お仕事忙しいの?」
普段は冷静な母が明らかにイライラしているのが見てわかる。
わたしは、そんな母を刺激しないよう早めに食べ、自分の部屋に戻ろうと思った。
『どうか、今日は平和に終りますように…。』
「あっ!?」
ベチャッ
心の中でそう思っていると隣から“何かを落とす音”がきこえる。
ま、まさか…。
嫌な予感がして恐る恐る音のした方を見ると、姉が涙目で自分の太ももを見つめている。
その太ももには案の定、黒いハンバーグが落下していた。
しかもよりにもよって白い短パンを履いていて、その白い部分がべっとりと黒い色に染まっている。
「お姉ちゃん、…また落としたの?」
苛立ちのこもった声が食卓に響きわたる。
声のした方を見ると、母が粗相をした姉のことを睨みつけている状態だった。
「マ、ママァ…ごめんなさい。」
「はぁ…。洗濯するから早く脱ぎなさい。」
「うん。」
姉は立ち上がり、急いで短パンを脱ぐ。
それを渡された母は、洗面所に向かっていった。
下半身パンツ姿の姉とわたしが、呆然と部屋に残される。
『ぜ、絶対お仕置きされる…。』
あの苛立ち具合からして、かなり厳しいお仕置きが想像できる。
しかも、それを受けるのは“わたし”だ。
わたしは睨みつけるように姉を見ると、大粒の涙を頰から垂らしている様子だった。
『お姉ちゃんのばかぁ…。』
直接いうことができず、心の中で文句を言っていると、苛立っている様子の母が戻ってきた。
「お姉ちゃん。着てる服を全て脱ぎなさい。」
「え、ママ…?」
「早くしなさい。」
「は、はいっ!」
姉は焦りながら上着に手を掛ける。
そのまま上着を脱いでシャツ、パンツの順に服を脱ぎ始めた。
まだ膨らんでいない胸、毛の生えていない性器が姿を表す。
「そのまま手を頭の上に組んで、お立たせの姿勢になりなさい。」
「うぅ…。」
「今日1日服は没収。恥ずかしい格好で過ごしなさい。それがお姉ちゃん“への”お仕置きよ。」
「はい…。」
珍しく、姉へお仕置きが命じられる。
そのまま姉は、涙を胸に垂らしながら俯いていた。
「さて、……まい、覚悟はできてるわね?」
ビクッ
「ひぃっ!?…わ、わたしもお仕置きなの?」
「“当たり前”でしょ?早く下に着ている服を全て脱ぎなさい。」
母に睨みつけられ、わたしの身体中に震えが走る。
予想はしていたが、わたしにもお仕置きが宣告されてしまった。
…しかも、姉がお仕置きを受けているということは、わたしへのお仕置きはそれより“かなり厳しい”内容になるだろう。
そんなことを思いながら、スカートを下ろし、パンツを足から引き抜いた。
以前よりも少し濃さが増した“あそこ”の毛が母と姉の前に晒され、頬が赤くなるのがわかる。
「じゃあ、お姉ちゃんと同じようにお立たせの姿勢になりなさい。」
言われた通りの姿勢になると、母はわたしの前でしゃがみ、少し日に焼けた太ももを優しく撫でる。
「今日は私、機嫌が悪いの。……いつもより厳しいお仕置きにするから覚悟しなさい。」
そういうと、撫でていた手を止め、太ももの真ん中らへんに親指と人差し指を置いた。
「ここら辺かしらね?」
「え?」
ギュゥゥゥ
「いい゛っ!?」
太ももが思いっきり抓られ、突き刺すような痛みが与えられる。
パッ
「はあ…はぁ。」
指を離された部分を見ると、青紫色に変色している様子だった。
母はその部分をまた優しく撫で始める。
「…痛い?」
「す、すっごく痛いっ!」
「そう。よかったわ。そのくらいじゃないとお仕置きにならないから。…じゃあ続きするわよ?」
再度2本の指を当てられ、痛みからわたしの身体が“ピクッと”反応する。
「…ちょ、ちょっと待って。」
「次は30秒ね。」
ギュゥゥゥ
「ああ゛ぁぁっ!!」
再び太ももに痛みが走り、わたしの身体から汗が流れ出す。
しかも、宣告通り今回はなかなか終わらず継続的に痛みが与えられる。
「動かないの。」
ギュッ!!
「ぎいっ!!」
捻るように抓っている指を回され、より激しい痛みが襲いかかる。
ギュゥゥゥ、ギュッ!!
「ああぁぁっ!あ゛っ!?」
通常の抓りと回される抓りを交互にされ、わたしの悲鳴が部屋中に響き渡る。
『もう、ゆるじてぇ…。』
わたしの願いは虚しく、母の指は抓り続けるのだった。
・
「いだい。いだいよぉ…。」
結局、その後“30秒を10回”され、指が疲れた母が小休止を言い渡す。
散々抓られた部分は内出血が起き痛々しく、今もわたしに継続的な痛みを与え続けていた。
だが、“さする許可”が出ていないため、わたしはお立たせの姿勢のまま、身体を震わせている。
「そろそろ、次のお仕置きを始めるわ。」
「お母さん。…それは。」
「これ?ハンバーグを作ったときのヘラ、いま洗ってきたのよ。…あんたへのお仕置きのためにね。」
「そ、それってまさか…。」
「手を頭の上に組んだまま、テーブルの上に膝立ちになりなさい。」
わたしの“嫌な予想”は多分当たっているだろう。
しぶしぶ言われた姿勢になると、母はわたしの横に立ち、先ほど抓られた部分へヘラを当てた。
「これから“ここ”を百叩きするわ。数はお姉ちゃんが数えなさい…間違えたら最初っからだからね。」
「はい、ママッ!?」
「じゃあ始めるわよ。」
わたしへの確認はせずに、母は手を振り上げる。
バヂンッ!
「いっだいっ!」
「ひ、ひとつっ!」
一瞬の激しい痛みの後に、“ジクジク”とするような痛みが残り続ける。
叩かれた場所を見ると、ヘラの形の腫れがくっきりと浮かび上がっていた。
バッヂィィンッ!!
「ぎゃぁぁあっ!?」
「ふたつっ!」
バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!
「いだいっ!いだいっ!いっだぁぁぁいっ!!」
「み、みっつ。よっつ。いつつっ!」
先程よりも強く振り下ろされたヘラが、わたしの太ももを弾く。
しかも、ずっと“同じ場所”を叩かれて続けるので、その一点に痛みが集中し、震えるほどのジクジク感が増していった。
「おがあさん、お願いじますっ!太もも以外を叩いて下さいっ!!」
あまりの痛みから母へ懇願するが、返答はない。
バッヂィィンッ!!
「んぎゃぁぁぁっ!!」
「む、むっつ!」
その代わり答えが“太ももへ”叩きつけられる。
わたしは希望を失い、再度振り上げられるヘラを見つめることしかできなかった。
・
…その後、結局“同じ場所”を叩かれ続け、ついに90回目へと差し掛かる。
永遠とも思える時間にようやく終わりが見えた頃だった。
バヂンッ!バッヂィンッ!!
「んぎっ!ああ゛っ!!」
「90、91っ!」
バヂッ!バヂッ!バッヂィィンッ!!
「あ゛んっ!い゛っ!んん゛っ!!」
「93、94、95っ!」
ピタッ
『えっ!?』
その瞬間、母の手が止まり、わたしもその違和感に気付いた。
「お姉ちゃん。次は“92”だったでしょ?」
「ご、ごめんなさいっ!?」
「はぁ…。じゃあさっき言った通り、“最初から”やり直しね。」
「そ、そんなぁっ!?お母さんっ!もう太もも無理だよぉっ!?」
あまりの展開となり、わたしはさすがに母へ抗議する。
「無理じゃないの。“やる”のよ?…ほら、誰が姿勢崩していいって言ったの?」
わたしは無意識のうちに太ももを庇い、姉を睨みつける。
「お姉ちゃんのバカッ!!なんで数を間違えるのっ!?」
「う、うえーん。まい、ごめんなさいぃっ!?」
目があった姉はお立たせの姿勢のまま泣き出してしまう。
「まい、いい加減にしなさいよぉ…。」
「えっ?、いぎぃっっ!?」
太ももを庇っている手を左手で外され、母は空いている右手でその“庇っていた部分”をつねり出した。
「お仕置きに反抗するだけじゃなくお姉ちゃんを罵倒し、あげく泣かせるなんて、…いい度胸ね。」
「ご、ごめんなざぁぃぃっ!?」
「そんなに厳しくしてほしいなら、“太もも
抓り”からやり直してあげる。“1分間”を10回に変更よ。」
「い゛っだいぃっ、そんなぁっ!?」
「その後の太もも叩きは“300叩き”だからね。…いろんな道具を使ってあげるからしっかり反省しなさい。」
「も、もういやぁぁっ!!」
ギュゥゥゥ
・
その後、宣告通りお仕置きは続き、太ももへの痛みが降り注ぐ。
しかも、太もも叩きでは、姉が何回も数を間違えるため、その度にやり直しをされていた。
さすがに母も終わりがないと思ったのかお仕置きを中断し、一旦お許しがでる。
…だが、明日からの1週間、“毎日”お尻百叩きを命じられてしまったため、わたしの気分は憂鬱だった。
なお、姉も“とばっちり”で1週間、家にいる時間は服の没収を命じられていた。
……そのことに、何故だか少しだけ胸の内が“スッと”したのは、内緒の話だ。
「完」
わたしは、いわゆる“夏休み”という期間に入っている。
だが、今年の夏休みはいつもよりも期間が短い。
そのくせ、宿題は大量に出されたので、計画的に少しづつおわす日々が続いていた。
世間一般的に夏休みといえば、子供が喜ぶ行事の1つだと思う。
……ただ、わたしの場合、必然的に“この家”にいる時間が増えるので、とても憂鬱な気持ちだった。
…というのも、わたしの家には他の家にはない“ルール”がある。
家にいる時間が増えれば増えるだけ“お仕置き”を命じられる確率が上がるため、このルールがある以上、わたしの気持ちが落ち着くことはなかった。
しかも、それに加え今は“月末”だ。
昔から在宅ワークの母は普段から家にいることが多く、仕事が多忙なこの時期は機嫌が悪いことが多い。
正直、こういう時の母と関わりたくないが、姉が問題を起こすと、嫌でも関わることになる。
そして、今回もそんなわたしの一日を振り返ってみようと思う。
・
「まい。ママがご飯できたって。」
「わかった。」
本日分の宿題を終え、自分の部屋でスマホをいじっていたわたしへ、姉からのお呼びがかかる。
「今日はまいの大好きな“ハンバーグ”だってっ!早くこないと怒られちゃうよ?」
「う、うん。今いくよ。」
…ハンバーグ。
確かにもともとは大好きだったけど、“あの日”以来トラウマとなり、今では見るだけでも当時の記憶がよみがえってしまうようになった。
「じゃあ先にいってるね。」
そういうと姉は部屋から出ていく。
いつもよりも“楽しそう”な笑顔は、粗相を起こす前触れのような気がして、わたしの気持ちが沈んでいくのがわかった。
…早く行かなきゃ。
ここでモタモタしていても“お仕置き”を宣告される可能性があるので、急いで重い腰を上げた。
「2人とも、早く食べちゃいなさい。」
「はーいっ♫」
「はい。」
食卓に着くと、真っ黒いハンバーグがわたしを出迎えた。
…服につくと落ちなそうな色。
そんな色を見ていると、“あの日”の嫌な記憶が蘇ってくる。
「おいしーっ♫ママのハンバーグ大好きっ!」
わたしの気も知らず、姉は満面の笑みでハンバーグを頬張っている。
母も静かに食べ始め、わたしは恐る恐る箸を握った。
「はあ、最近忙しいわね…。」
「ママ…、お仕事忙しいの?」
普段は冷静な母が明らかにイライラしているのが見てわかる。
わたしは、そんな母を刺激しないよう早めに食べ、自分の部屋に戻ろうと思った。
『どうか、今日は平和に終りますように…。』
「あっ!?」
ベチャッ
心の中でそう思っていると隣から“何かを落とす音”がきこえる。
ま、まさか…。
嫌な予感がして恐る恐る音のした方を見ると、姉が涙目で自分の太ももを見つめている。
その太ももには案の定、黒いハンバーグが落下していた。
しかもよりにもよって白い短パンを履いていて、その白い部分がべっとりと黒い色に染まっている。
「お姉ちゃん、…また落としたの?」
苛立ちのこもった声が食卓に響きわたる。
声のした方を見ると、母が粗相をした姉のことを睨みつけている状態だった。
「マ、ママァ…ごめんなさい。」
「はぁ…。洗濯するから早く脱ぎなさい。」
「うん。」
姉は立ち上がり、急いで短パンを脱ぐ。
それを渡された母は、洗面所に向かっていった。
下半身パンツ姿の姉とわたしが、呆然と部屋に残される。
『ぜ、絶対お仕置きされる…。』
あの苛立ち具合からして、かなり厳しいお仕置きが想像できる。
しかも、それを受けるのは“わたし”だ。
わたしは睨みつけるように姉を見ると、大粒の涙を頰から垂らしている様子だった。
『お姉ちゃんのばかぁ…。』
直接いうことができず、心の中で文句を言っていると、苛立っている様子の母が戻ってきた。
「お姉ちゃん。着てる服を全て脱ぎなさい。」
「え、ママ…?」
「早くしなさい。」
「は、はいっ!」
姉は焦りながら上着に手を掛ける。
そのまま上着を脱いでシャツ、パンツの順に服を脱ぎ始めた。
まだ膨らんでいない胸、毛の生えていない性器が姿を表す。
「そのまま手を頭の上に組んで、お立たせの姿勢になりなさい。」
「うぅ…。」
「今日1日服は没収。恥ずかしい格好で過ごしなさい。それがお姉ちゃん“への”お仕置きよ。」
「はい…。」
珍しく、姉へお仕置きが命じられる。
そのまま姉は、涙を胸に垂らしながら俯いていた。
「さて、……まい、覚悟はできてるわね?」
ビクッ
「ひぃっ!?…わ、わたしもお仕置きなの?」
「“当たり前”でしょ?早く下に着ている服を全て脱ぎなさい。」
母に睨みつけられ、わたしの身体中に震えが走る。
予想はしていたが、わたしにもお仕置きが宣告されてしまった。
…しかも、姉がお仕置きを受けているということは、わたしへのお仕置きはそれより“かなり厳しい”内容になるだろう。
そんなことを思いながら、スカートを下ろし、パンツを足から引き抜いた。
以前よりも少し濃さが増した“あそこ”の毛が母と姉の前に晒され、頬が赤くなるのがわかる。
「じゃあ、お姉ちゃんと同じようにお立たせの姿勢になりなさい。」
言われた通りの姿勢になると、母はわたしの前でしゃがみ、少し日に焼けた太ももを優しく撫でる。
「今日は私、機嫌が悪いの。……いつもより厳しいお仕置きにするから覚悟しなさい。」
そういうと、撫でていた手を止め、太ももの真ん中らへんに親指と人差し指を置いた。
「ここら辺かしらね?」
「え?」
ギュゥゥゥ
「いい゛っ!?」
太ももが思いっきり抓られ、突き刺すような痛みが与えられる。
パッ
「はあ…はぁ。」
指を離された部分を見ると、青紫色に変色している様子だった。
母はその部分をまた優しく撫で始める。
「…痛い?」
「す、すっごく痛いっ!」
「そう。よかったわ。そのくらいじゃないとお仕置きにならないから。…じゃあ続きするわよ?」
再度2本の指を当てられ、痛みからわたしの身体が“ピクッと”反応する。
「…ちょ、ちょっと待って。」
「次は30秒ね。」
ギュゥゥゥ
「ああ゛ぁぁっ!!」
再び太ももに痛みが走り、わたしの身体から汗が流れ出す。
しかも、宣告通り今回はなかなか終わらず継続的に痛みが与えられる。
「動かないの。」
ギュッ!!
「ぎいっ!!」
捻るように抓っている指を回され、より激しい痛みが襲いかかる。
ギュゥゥゥ、ギュッ!!
「ああぁぁっ!あ゛っ!?」
通常の抓りと回される抓りを交互にされ、わたしの悲鳴が部屋中に響き渡る。
『もう、ゆるじてぇ…。』
わたしの願いは虚しく、母の指は抓り続けるのだった。
・
「いだい。いだいよぉ…。」
結局、その後“30秒を10回”され、指が疲れた母が小休止を言い渡す。
散々抓られた部分は内出血が起き痛々しく、今もわたしに継続的な痛みを与え続けていた。
だが、“さする許可”が出ていないため、わたしはお立たせの姿勢のまま、身体を震わせている。
「そろそろ、次のお仕置きを始めるわ。」
「お母さん。…それは。」
「これ?ハンバーグを作ったときのヘラ、いま洗ってきたのよ。…あんたへのお仕置きのためにね。」
「そ、それってまさか…。」
「手を頭の上に組んだまま、テーブルの上に膝立ちになりなさい。」
わたしの“嫌な予想”は多分当たっているだろう。
しぶしぶ言われた姿勢になると、母はわたしの横に立ち、先ほど抓られた部分へヘラを当てた。
「これから“ここ”を百叩きするわ。数はお姉ちゃんが数えなさい…間違えたら最初っからだからね。」
「はい、ママッ!?」
「じゃあ始めるわよ。」
わたしへの確認はせずに、母は手を振り上げる。
バヂンッ!
「いっだいっ!」
「ひ、ひとつっ!」
一瞬の激しい痛みの後に、“ジクジク”とするような痛みが残り続ける。
叩かれた場所を見ると、ヘラの形の腫れがくっきりと浮かび上がっていた。
バッヂィィンッ!!
「ぎゃぁぁあっ!?」
「ふたつっ!」
バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!バッヂィィンッ!!
「いだいっ!いだいっ!いっだぁぁぁいっ!!」
「み、みっつ。よっつ。いつつっ!」
先程よりも強く振り下ろされたヘラが、わたしの太ももを弾く。
しかも、ずっと“同じ場所”を叩かれて続けるので、その一点に痛みが集中し、震えるほどのジクジク感が増していった。
「おがあさん、お願いじますっ!太もも以外を叩いて下さいっ!!」
あまりの痛みから母へ懇願するが、返答はない。
バッヂィィンッ!!
「んぎゃぁぁぁっ!!」
「む、むっつ!」
その代わり答えが“太ももへ”叩きつけられる。
わたしは希望を失い、再度振り上げられるヘラを見つめることしかできなかった。
・
…その後、結局“同じ場所”を叩かれ続け、ついに90回目へと差し掛かる。
永遠とも思える時間にようやく終わりが見えた頃だった。
バヂンッ!バッヂィンッ!!
「んぎっ!ああ゛っ!!」
「90、91っ!」
バヂッ!バヂッ!バッヂィィンッ!!
「あ゛んっ!い゛っ!んん゛っ!!」
「93、94、95っ!」
ピタッ
『えっ!?』
その瞬間、母の手が止まり、わたしもその違和感に気付いた。
「お姉ちゃん。次は“92”だったでしょ?」
「ご、ごめんなさいっ!?」
「はぁ…。じゃあさっき言った通り、“最初から”やり直しね。」
「そ、そんなぁっ!?お母さんっ!もう太もも無理だよぉっ!?」
あまりの展開となり、わたしはさすがに母へ抗議する。
「無理じゃないの。“やる”のよ?…ほら、誰が姿勢崩していいって言ったの?」
わたしは無意識のうちに太ももを庇い、姉を睨みつける。
「お姉ちゃんのバカッ!!なんで数を間違えるのっ!?」
「う、うえーん。まい、ごめんなさいぃっ!?」
目があった姉はお立たせの姿勢のまま泣き出してしまう。
「まい、いい加減にしなさいよぉ…。」
「えっ?、いぎぃっっ!?」
太ももを庇っている手を左手で外され、母は空いている右手でその“庇っていた部分”をつねり出した。
「お仕置きに反抗するだけじゃなくお姉ちゃんを罵倒し、あげく泣かせるなんて、…いい度胸ね。」
「ご、ごめんなざぁぃぃっ!?」
「そんなに厳しくしてほしいなら、“太もも
抓り”からやり直してあげる。“1分間”を10回に変更よ。」
「い゛っだいぃっ、そんなぁっ!?」
「その後の太もも叩きは“300叩き”だからね。…いろんな道具を使ってあげるからしっかり反省しなさい。」
「も、もういやぁぁっ!!」
ギュゥゥゥ
・
その後、宣告通りお仕置きは続き、太ももへの痛みが降り注ぐ。
しかも、太もも叩きでは、姉が何回も数を間違えるため、その度にやり直しをされていた。
さすがに母も終わりがないと思ったのかお仕置きを中断し、一旦お許しがでる。
…だが、明日からの1週間、“毎日”お尻百叩きを命じられてしまったため、わたしの気分は憂鬱だった。
なお、姉も“とばっちり”で1週間、家にいる時間は服の没収を命じられていた。
……そのことに、何故だか少しだけ胸の内が“スッと”したのは、内緒の話だ。
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