“やさしい”お仕置き

ロアケーキ

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冬休みの“できごと”(あやか目線)

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私の名前は峯岸あやか。

昔は違う名字だったけど、“今のお母さま”になってからこの名前に変わった。

あやかは昔、“お母さん”から酷い扱いを受けていて、特に何もしていないのに殴られたり、蹴られたりしていた。

口を開いたらいつもあやかのことを怒鳴るし、お母さんとの記憶はほとんどいいものがない。

むしろ毎日が怖くて、怯えて生活していたくらいだ。

…でも、そんな日々に突然終わりが訪れる。

……お母さんが仕事中に倒れて、そのまま“あの世”に行ってしまったからだ。

そして、あやかは遠い親戚の“今のお母さま”の下に預けられることになる。

お母さまはお母さんと違ってとても“やさし”かった。

あやかのことをきつく怒鳴らないし、殴ったり蹴ったりもしない。

…それにお仕置きを受けている間は“お話”もしてもらえるから。

あやかはそんな“やさしい”お母さまが大好きで、毎日が楽しい。

……でも、あやかが“悪いこと”をするとちょっと怖いけど。

・・・

「よし、今日の分の宿題終わりっとっ!」

冬休みが始まり、3日が経過する頃。
あやかは家で宿題をしている。

…といっても、今年はあまり多く出されていなく、すぐに終わらせることができた。

「じゃあ次は、お掃除お掃除っ~♫」

必然的に家にいることが多いあやかは、この家の家事全般を任されている。

これは、あやかからお母さまにお願いしたことだ。

昔の“記憶”から、家で何もしないのはソワソワするし、何よりお母さまと“お話”する時間が増えるから、喜んですることが出来る。

慣れた手つきで掃除機を掛け、フローリングの床は雑巾掛けをした。

そしてお母さまの部屋やキッチン、あやかの部屋を掃除すると、最後に玄関も掃除を始める。

靴の棚に垂れ下がっている“靴べら”は、特に念入りに綺麗にしておいた。

「また“お仕置き”の時によろしくねっ♫」

あやかは子犬を撫でるような手つきで靴べらを拭くと、元あった場所に戻す。

出来るだけ綺麗にしておいた方が、いっぱい“お話”できるような気がするため、いつもこうしている。

…たまに痛すぎて、話きれない時があるけど。



掃除が終わったあやかはキッチンに行くと、夜ご飯の支度を始める。

今日はお母さまの大好きなシチューを作ることにした。

無表情だけど「美味しい。」と言ってくれるお母さまのことを思い浮かべ、笑顔でジャガイモを切っていく。

…昔のお母さんは料理が少しでも不味いと、あやかに“そのお料理”を投げつけてくるから怖かった。

でもお母さまはそんなことしないし、美味しくない時はきちんと「口に合わない。」って言ってくれるから、好みに合うお料理がわかりやすい。

グツグツ

「…うん。これならお母さまの好みに合うはず。」

少し濃いめの味付けにすると、お母さまが一瞬笑顔になる時がある。

今日もそんな笑顔を見るため、あやかは微調整したシチューの火を止めた。



「後は、何しようかな…。」

一通りの家事が終わり、中をキョロキョロと眺めると、部屋の隅の小さなテーブルの上にクマのぬいぐるみがポツンと置かれているのを見つける。

これはお母さまが大切にしているもので、「そこは掃除しなくていい。」と以前に言われていた。

『でも、埃かぶってるし…。きっと綺麗にした方がお母さまも喜んでくれるよね?』

あやかの考えがまとまると、まずはぬいぐるみの埃を取るため、小型の掃除機のスイッチを入れて、ぬいぐるみの耳の部分に近づける。

ブチッ ブーンッ!!

「あっ!?」

その瞬間、ぬいぐるみの耳がちぎれ、掃除機に詰まってしまう。

「と、止まって止まってぇっ!?」

慌ててあやかは掃除機のスイッチを切ると、耳がポトッと床に落ちた。

ぬいぐるみを見ると耳が片方無くなり、とても痛々しい光景になっている。

「ど、どうしよ、…どうしようっ!?」

手に持ったぬいぐるみと耳を呆然と見つめながら、あやかの考えは上手くまとまらずにいた。

『きっと正直に言ったらきつい“お仕置き”されちゃう。…接着剤でくっつけちゃえば。』

あやかはそこまで考えると頭を振り、その考えを捨てる。

『そんなことしてバレたら、お母さまに嫌われちゃうかもしれない…。そしたらあやかは捨てられて、また前みたいな“怖い”生活に……。』

あやかは涙目になりながらぬいぐるみを戻すと、その横にちょこんと耳を置いた。

そして玄関に向かうと正座をし、お母さまが帰ってくるのを待つことにする。

『ちゃんと謝らなきゃ。…たぶん、すごく怒られるけど。』

前に“悪いこと”をしたあやかのことを叱るお母さまを思い出し、その身体が震え出す。

先程までの楽しい雰囲気が嘘のように、玄関には静かさが広がっていた。



カツッ、カツッ

『お、お母さまのヒールの音だ…。』

あれからかなり時間が経った頃、マンションの廊下に鳴り響く“聴き慣れた靴音”が、あやかに緊張を促した。

ピッ ガチャッ

カードをかざしてドアが開けられると、スーツ姿のお母さまが疲れた顔で入ってくる。

「お、おかえりなさい、…お母さま。」

「あ、あやか?びっくりした…。そんなところで何してるの?」

お母さまは怪訝そうな顔であやかを覗き、そのままヒールを脱ぎだした。

「お、お母さまその、……謝らなきゃいけないことが…。」

「…なに?何かやらかしたの?」

その瞬間、お母さまはあやかを見下ろし睨みつける。

お母さまから向けられる“怒り”があやかに伝わり、ピクッと身体が強張った。

「じ、じつは…。その…お母さまが大事にしていたぬいぐるみを壊しちゃいました。…ごめんなさいっ!!」

あやかはそのまま地面に頭をつけ、土下座と呼ばれる姿勢となった。

「ぬいぐるみ…。まさかっ!?」

お母さまはそういうと急いでリビングに向かう。

あやかは恐る恐るその後に続くと、ぬいぐるみと耳を持ったお母さまが棒立ちになっていた。
…その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。

「あ、あやか、…あんた。」

「ご、ごめんなさいっ!掃除しようと思ったら壊しちゃいましたっ!…本当にごめんなさいっ!!」

「掃除って…、このぬいぐるみは掃除しなくていいって言ったはずでしょっ!」

「ひっ…。」

珍しくお母さまは声を荒げる。
…やっぱり、ものすごく怒らせてしまったみたいだ。

「ごめんなさい…。綺麗にしたらお母さまに喜んでもらえると思って……。」

あやかが気をつけの姿勢で謝ると、そのままシーンとした時間が続いた。

「…はぁ、もういいわ。あやか、“お仕置き”よ。」

「はいっお母さまっ!」

10秒ほどが経った頃、お母さまが口を開いた。

その展開を予想していたあやかは、いつものようにスカートに手を掛け下ろし、パンツも下ろして綺麗に畳んだ。

「じ、準備できましたっ!“お母さん”、悪いあやかにお仕置きお願いしますっ!」

「…だめよ、今日は着てる服全部脱ぎなさい。」

「は、はいっ!ごめんなさいっ!今脱ぎますっ!!」

あやかは急いで上に来てる服を脱いで綺麗に畳んだ。
いつもは下だけで許されるのに、今回は上まで脱がなきゃいけないなんて…。

肌に直接当たる空気が冷たく、室内でも寒さを感じた。

「今日は徹底的に厳しくするからね、まずは…。」

「いっ!」

お母さんはあやかの右耳を掴むと、そのまま引っ張り窓の方に連れて行く。

そして窓を開けると、そのままあやかを外へ放り出した。

「きゃあっ!」

「しばらくそこで反省してなさい。」

そういうとお母さんは窓を閉め、鍵までかけてしまう。

冬になり、辺りが凍ったベランダは、裸のあやかを冷たく包んでいく。

「さ、さむい、…さむいぃぃ。」

その一言一言で息が白くなり、目の前が涙で滲んでいく。

「お母さん、ごめんなさいぃ…。」

あやかが“悪いこと”をした時のお仕置きは、お話をしてもらえないことが多い。

久しぶりの“辛さ”に身体が震えると、そのまま抱くようにしてしゃがみ込んだ。

裸足の足元が1番辛く、直接足が当たっている部分はもはや“痛く”感じている。

身体の震えは収まらず、だんだんと意識も薄くなっていった。

「お母さん、ごめんなさい、ごめんなさい…。」



「あやか、入っていいわよ。」

「…はい。」

それからしばらく寒さにさらされた頃、ようやくお母さんからのお許しが出る。

あやかがゆっくりと中に入ると、テーブルの上には先程綺麗にした“靴べら”が置いてあった。

「…お母さん、あれでお尻ペンペン?」

「そうよ。…でもそれだけじゃないわ。」

「…え?」

そういうと、お母さんはあやかの手を握り、靴べらを持って移動する。
…連れて行かれた先はお風呂場だった。

「…ペンペンの前にお風呂入るの?」

「いいえ。ペンペンしながら入るのよ。」

「え…、きゃっ!?」

あやかの考えがまとまるより早く、お母さんはあやかをお風呂場に押し込める。

「そのままお風呂の淵に手を置いて、お尻を突き出しなさい。」

「…うん。」

あやかが言われた通りの姿勢になると、お母さんはシャワーを持ち“青いほうの蛇口”を捻った。

バシャーッ

「きゃぁぁぁっ!?」

お尻に冷たいお水が当てられ、あやかは跳ね上がってしまう。

「動かないのっ!」

「ご、ごめんなさいぃっ!!」

目から温かい涙を溢れ出しながら、あやかは姿勢を戻す。

バジャーッ

「ひいぃぃっ!?」

今度は背中からふくろはぎまで満遍なくお水をかけられ、あやかの身体は震え上がった。

「じゃあペンペンを始めるわ。…今日はお話は無しだからね。」

「は、はい。ペンペンお願いします…。」

お話が無しと言われてしまい、あやかの気持ちは落ち込んでしまう。

今日は頑張って作ったシチューのこと褒めて欲しかったのに…。

ビッヂィィンッ!!

「あ゛ぁぁぁっ!?」

そんなことを考えていると、お尻の真ん中に鋭い痛みが走る。
そして、その後はジグジグとした鈍い痛みに変わっていく。

いつもしてもらえるお仕置きよりも遥かに痛い感覚が、あやかに襲いかかってきた。

「あ…、あぁ。」

ビッヂィィンッ!!

「ぎゃぁぁぁっ!?」

“同じ場所”を叩かれ、あまりの痛みからあやかの腰が少し下がってしまう。

身体は震えが止まらず、もはや寒さと痛さのどちらで震えているかわからなかった。

「ちゃんとっ!お尻っ!突き出しなさいっ!!」

ビッヂィィンッ!!ビッヂィィンッ!!ビッヂィィンッ!!

「いっだぁぁぁいっ!!ごめんなざぁぁいぃっ!!」

お尻と太ももの間に3回分貰い、あやかは無理矢理姿勢を戻す。

「まったくっ!反省してるのかしらっ!」

ビッヂィィンッ!!ビッヂィィンッ!!

「反省じてまずっ!!おがあさんっ、ごめんなざあぃぃっ!!」

「あのぬいぐるみはっ!わたしにとって大切ならものなのにっ!!」

ピタッ

その瞬間お母さんの手が止まる。

恐る恐る隣を見ると、流れる涙を服で拭っている姿が目に入った。

「お、お母さん…?」

「それなのに…。それなのにっ!このお尻はっ!!」

ビッヂィィンッ!!!

「いぎゃぁぁぁっ!?」

「今日だけはっ!絶対にっ!許さないからねっ!!」

ビッヂィィンッ!!ビッヂィィンッ!!ビッヂィィンッ!!!

「あ゛ぁぁっ!?ほんどぉにごめんなざいぃっ!!」



それから、しばらく“ペンペン”が続いた後、ようやくお母さんの手が止まった。

あやかはそれと同時にお尻に手を当てると、手にはうっすらと“血”が付く。

その後にお母さんは「お風呂に入る」といい、あやかも一緒に入ることになった。

…。

「ほら、次はここ“つねる”よ。」

「うん。…我慢する。」

もちろん、ただ入るだけでなく“お仕置き”も継続されている。

今お母さんは湯船に浸かり、片手であやかの太ももを掴んでいる。
あやかはその前に立ち、再び風呂の淵に手を置いてお母さんにお尻を向けている状態だった。

ギュッ

「い゛っ!?」

お尻の特に痛い真ん中の場所をつねられ、痛みからポタッポタッとお風呂の床に涙がこぼれる。

もうかれこれ30回はつねられ続け、あやかのお尻は満遍なく痛みが覆っていた。

「ほら、もう一回ここよ。」

「うぅ…。…お願いします。」

ギュッ

「んっ!?」

すでにジグジグする部分をつねられ、あやかは歯を食いしばる。

ギュゥゥゥ

「い゛いぃぃっ!」

10秒ほどつねられ続け、そしてパッと離された。

「はあ…はぁ…。」

「……もういいわ。許してあげる。」

「……お、“お母さま”、…お仕置き、ありがとうございました。」

涙目で振り返ると、お母さまはあやかのお尻を優しく撫でている。

「ほら、“風邪引く”から早く湯船入んなさい。」

「…うん。やさしい“お母さま”、大好きっ。…いっ!?」

あやかが湯船に浸かると、これまでお尻に与えられた痛みが“熱さ”となって押し寄せてくる。

「いだいぃぃ…。……え?」

ビリビリとしみる痛みを放つお尻に手を当てていると、お母さまから抱きしめられた。
その状況にあやかはきょとんとする。

…“抱きしめられた”のなんて、いつ以来だろう。

「……今日は、少しやりすぎたわ。」

「……ううん。…お母さまの大事なものを壊しちゃったあやかが悪いの。ほんとうにごめんなさい。」

「もう怒ってないから大丈夫よ。…特別に今日は寝るまで話しましょう?」

「えっ!いいのっ!?やさしいお母さま、大好きっ!!」



それからあやかとお母さまはお風呂から上がった後もたくさん“お話”をした。

頑張って作ったシチューも褒めてもらい、あやかにとって“幸せ”な時間となる。

お尻は真っ赤になったけど、それ以上に“あったかく”なれた感じがした。

「それじゃあお母さま、また“明日”ね。」

…。

……後日、テーブルの上には“不器用”に縫われたぬいぐるみが座っていた。


「完」
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