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モニカさんが何かを発見

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「よし、これなら! せっ!」
「花粉を撒いている時は、無防備なの……ねっ!」
「っ! ウィンドブラスト!」

 強い風にさらされながら、今しがた花粉を吐き出したラミアウネに斬りかかる。
 モニカさんの方も、花粉を撒いている別のラミアウネへと槍を突き出した。
 さらに、カイツさんの声と共に再びボフンッ! という空気が爆発するような音と突風。
 斬りかかったラミアウネを両断してから見てみると、残っていたラミアウネが全て、俺達に向かって花粉を撒いていたようだ。

 カイツさんのおかげで、俺達に花粉が降り注ぐような事はなく、そして地面に落ちてチビラウネが発生もしない。
 数が少ないのもあるけど、やっぱり誰かと協力して戦うのは色々任せられて楽だなぁ。
 モニカさんも、俺の背中を守るように動いてくれるし、もちろん俺もモニカさんの背中を守るように戦っている。

「これで、最後っ!」

 大きく声をあげながら、ラミアウネをモニカさんが正面から槍の魔法で蛇の体を斬り裂き、止めに花の顔の中心辺りを突き刺した。
 見る限り、他のラミアウネはもういなさそうだけど……念のため。

「カイツさん!」
「……近づいてくる魔物入るようですが、この辺りにはもうラミアウネはいないようです」

 いつでも魔法を放てる体制のカイツさんに呼びかけて確認してもらうと、モニカさんの倒したラミアウネが最後で間違いないようだ。
 集まるために、こちらに来ているのはいるとしても、とりあえずは討伐完了ってとこだろう。

「そうですか……ふぅ。お疲れ様、モニカさん」
「えぇ、リクさんも」

 息を吐き、武器を下ろして構えを解き、モニカさんを顔を見合わせて笑い合う。
 一人で戦う事が多かったから、こういうのってなんかいいな。

「カイツさん、探索範囲を広げて他にも魔物がこちらに来ていないか、探ってくれますか?」
「了解しました」

 まだ魔物が来ているようなので、剣は収めずそのままにしておき、カイツさんに頼んで調べてもらう。
 次に来る……おそらくラミアウネと思われる魔物を倒したら、すぐに移動するべきかを考えるためだ。
 断続的に魔物が来るのであれば、ここで待ち受けるのもいいかと考えたのもある。
 ……また、魔物を倒す事が優先させている考えになっているから、ある程度で見切りをつけて冒険者の方に行くつもりではあるけどね。

「……はっきりとはわかりませんが、こちらに向かっていると思しき魔物の気配が数か所にあるようです。数や種類まではわかりませんが……多くはないと木々が教えてくれているので」
「おそらく、さっきまでと同じようにラミアウネが一体ずつ……いても二体とかそれくらいでしょうね。ふむ……」

 数か所って事は、離れた場所によって時間差……ラミアウネが狙っているかはわからないけど、ともかくここに集まろうとしているのは間違いないようだ。
 少ない数が断続的にという事なら、すぐ近くに来ているのを倒して冒険者さん達の所へ行けばいいだろうか?
 と考えていたところで、ラミアウネの討伐証明部位を採取していたモニカさんが、こちらを振り返った。

「リクさん……これを見て!」
「どうし……これって……」
「ふむ……?」

 モニカさんに近づいて、示された場所を見る。
 カイツさんもこちらに来て覗き込んだ。
 そこには、絶命したラミアウネがいる……だけでなく、その地面にラミアウネと同じ大きさの花が咲いていた。

 花の形や色合いなども同じで、唯一の違いは、無数の穴の中で何かがギョロギョロと蠢いてはいないことくらいか。
 どちらにしても、あまり気持ちい物じゃないけど……穴が無数にある時点で、集合体恐怖症の人には直視は難しいだろうし。

「地面から生えて……いるのかしら?」
「そう見えるね」
「とりあえず、抜いてみましょう……っと。うるさいですね」

 おもむろにカイツさんがラミアウネの顔、というか花の根元を掴み、引き抜いた。
 その瞬間、周囲にとてもじゃないけど人のものとは思えない音が響き渡る。
 似たような性質として、マンドラーゴという魔物が同じく引き抜いたら、大きな悲鳴を上げるけど……あれよりは耳が痛くならない程度の音だったかな?
 どちらにせよ、カイツさんが顔をしかめて言っている通り、うるさい事には変わりないけど。

 疑問に思ったことに対して、躊躇なく手を出せるのはカイツさんが研究者だからだろうか?
 探求心旺盛というか、知りたいと思った事に対しては突き進む感じだなぁ。

「植物の魔物って、皆同じような感じなのかな? ラミアウネとマンドラーゴくらいかもしれないけど」
「そんな事より、カイツさんの引き抜いたそれ……」
「えぇ、間違いなくラミアウネでしょうね。いえ、ラミアウネになろうとしている……でしょうか?」

 カイツさんが引き抜いた、ラミアウネのものと思われる花。
 その根元というか下部分には、細長い蛇のような物が土から抜け、ぶら下がっていた。
 近くにあるラミアウネの死骸と見比べると、ほぼ同じものだというのがわかる。
 長さも太さも未熟なのか、短く細いけど。

「ラミアウネの生態はよくわかっていませんが、おそらくこうして地面から生える……発生するものなのかもしれません。とりあえず、燃やしておきましょう」

 無感情と言うのが相応しい表情で、カイツさんが引き抜いたラミアウネのなりかけを、地面に放り出す。
 いくら探求心が旺盛のカイツさんだとはいえ、ラミアウネに対しては深い興味は湧かなかったようだ。
 まぁ、ここで詳細を研究したいと言い出されても困るから、良かった。

「そ、そうですね。えっと……大丈夫かしら?」

 地面に落ちたラミアウネのなりかけを見つつ、俺を窺うモニカさん。
 多分、ラミアウネとの戦闘前に粉塵爆発の事を話したから、警戒しているんだろう。

「大丈夫、撒かれた花粉は全部カイツさんが巻き上げてくれたから。多少は落ちてきているけど、これくらいじゃ爆発なんて起きないと思うよ」
「そ、そう。なら良かったわ……」

 巻き上げられた花粉は、魔法で発生した風が収まってから、空から少しだけ振って来ているけど、かなり少ない。
 わかりづらいけど、数日使わなかった部屋に入った時、舞い散る埃より少ないくらいだ。
 この程度で粉塵爆発するなら、そこらで日常的に爆発を起こしてもおかしくないし、大丈夫だとモニカさんに手を振って答えた。
 というか、日常的に爆発って自分で考えながらちょっと面白い、実際にそんな日常は絶対に嫌だけど。

「ラミアウネが発生しているという事は、もしかしたらここはラミアウネたちの拠点というか、棲み処みたいな場所なのかもしれませんね」

 モニカさんが、ラミアウネのなりかけに対し少し遠慮気味に「フレイム!」と口に出して、火の魔法を使い燃やすのを聞きながら、周囲を見渡し、カイツさんに話しかける。

「そうですね……他の場所とどのように違うのかはわかりませんが、ラミアウネにとって棲みやすい環境だったのかもしれません」
「というか、ラミアウネってチビラウネが大きくなったらあぁなると持っていたんですけど……」


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