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役目の確認と報酬の受け取り
しおりを挟む「では、リクさんは他の皆さんと共に、森に入った冒険者が危険な事をしていないか、魔物にやられていないかなどを確認する役目をお願いします」
「わかりました」
「はい」
アマリーラさん達の事を考えつつ、到着した冒険者ギルドでヤンさんとの話。
魔物を倒すのではなく、森に入って様子を見る役目を買って出ると、ヤンさんとエレノールさんからは大変喜ばれた。
いくら言っても、無茶をする冒険者というのはいるもので、信頼できる人が見て回ってくれると冒険者さん達の怪我をする確率や生存率などが、かなり変わるかららしい。
魔物と戦うのが目的で森に入るんだから、冒険者さん達も危険は承知の上だろうけど、それでも危険が少ないに越した事はないからね。
広場を作ったり、荒野になるような戦いのような無茶をする冒険者さんはいないと思うけど。
あと、俺達が見守る役目とはいっても、移動中などで魔物と遭遇したら当然と討伐もする。
「それから、リク様。機能の森での魔物討伐報酬ですけど……」
「あ、はい……」
エレノールさんから、討伐した魔物の報酬に関して話してもらう。
兵士さん達が回収してくれた魔物は、ちゃんと冒険者ギルドに届けてくれたようで、それは間違いなく報酬として支払われるとの事。
回収のために動いてくれた兵士さん達にも、分け前を届ける事をエレノールさんにお願い。
俺だけじゃ持って帰れなかったし、お願いした以上それに対する報酬はあってしかるべきだからね。
ただ、レムレースやラミアウネの一部は報酬に関して辞退させてもらった。
魔物を討伐したら報酬が支払われる、そしてそれに依頼も絡んでいたら以来の達成報酬がもらえる。
さらに、魔物の素材を持ってくればそれを売る事で報酬を得られる……というのが冒険者の収入になるわけだ。
けど、レムレースと粉塵爆発のせいで残らなかったラミアウネなど、回収できなかった魔物の討伐報酬は俺の報告から支払われる事になるわけで。
本来は討伐証明の部位を持ち帰る、それができない場合は本人達以外の証言などが必要なんだけど、レムレースはその限りじゃないからね。
ラミアウネに至っては、どれだけの数を倒したかも俺自身わかっていないし。
だから、冒険者ギルドやヤンさん達からの信頼として、俺の報告だけで報酬をと言われたんだけど、規約を守る意味で固辞したわけだ。
ちょっともったいない気もするけど、信頼されているからと言って俺だけ特別扱いはしなくてもいいし、規約は守られるべきだからね。
もし例外を多く作れば、それだけ他の人達から何か言われてしまう可能性を増やす事になりかねないし。
ヤンさん達は、気にし過ぎとは言ってくれたけども。
「では、こちらにサインを」
「はい……っと。できました」
「確かに。こちら控えになります」
「ありがとうございます」
一抱えもありそうな革袋と、そこに詰まった金貨や銀貨に銅貨、それから書類を受け取る。
書類は、報酬の受け渡しをしたという証明書だ。
ヤンさん達の署名が入っているものに、俺がサインして完了。
報酬は基本的に受け取る本人が欲しがらなければ、証明書なんて必要ないんだけど、今回に限らず報酬が一定以上の場合にトラブルを避けるために発行される。
これまで何度か受け取ったし、もう慣れたものだけど。
いつもならモニカさん達も含めた冒険者ギルドに登録している、パーティ単位での報酬となるんだけど、昨日は俺一人だったからね。
形としては、俺個人に対する冒険者ギルドからの指名依頼と、魔物の討伐報酬となる。
「それじゃ、これは……よしっと。一旦預けます」
「はい、確かに受け取りました」
お金の入った革袋から、少しだけ中身を取り出して残りを袋ごとエレノールさんに預ける。
もふもふ製作のための資金……ではなく、単純に持ち歩くには多過ぎるため冒険者ギルドに預けるためだね。
こちらも、証明書と一緒に残高の記された書類も受け取って、手続きを終える。
……使い切れないよな気すらする額が記されていたのは、見ないようにしよう。
「あと……これで、昨日よりも丈夫な剣を用立てられますか?」
「承りました。が、リク様であれば、融通しますが……」
「いえ、買ったという方が気兼ねなく使えるので」
袋から取り出しておいたお金のうち、金貨数枚をエレノールさんに渡し、剣を頼む。
昨日受け取った剣は、もう既にボロボロになっているので替えを頼んだわけだ。
まぁ、まだ使えなくもないので腰に下げているけど。
昨日のように、突然レムレースのような魔物と戦う可能性は……かなり低いはずだけど、一応白い剣も持ってきている。
今日は適当な剣ではなく、丈夫な剣という指定をしてどうなるかではあるけど、とりあえず一本だけにしておこう。
昨日と違って、今日はひたすら魔物を探して討伐というわけじゃないからね。
モニカさんもいるし、ある程度丈夫な剣であれば問題ないだろう。
「ではリク様、モニカさん。よろしくお願い致します」
「はい」
「えぇ」
今日はソフィー達も森に入るから、忘れがちな俺達のパーティ、ニーズヘッグで指名依頼を受けるため、そちらの手続きを済ませてエレノールさんとヤンさんに送り出された。
……考えてみれば、個人的にだったり姉さんを含めた国からの頼みだったりで、あまりニーズヘッグとして活動していないなぁ。
忘れそうになるのも仕方ないけど、クランができたらもうちょっと使う事になるとは思う。
ともあれ、依頼を受ける形にしてモニカさんと冒険者ギルドを出た。
エレノールさんに頼んだ剣は、昨日と同じく情報収集を兼ねて門で受け取る事になっている。
昨日の今日で新しい情報というのもあまりないだろうけど、念のためって事だそうだ。
「この後は、獅子亭で父さん達と会うのよね?」
「うん。朝食は食べて来たけど、お昼は持って行かないとね。お腹が減ったからって、日も高いうちに戻るわけにもいかないから」
昨日のうちにマックスさんには頼んでおいたけど、今日も森で食べるお昼……お弁当を受け取る予定だ。
急遽モニカさんも行動を共にする事になったから、モニカさんが食べる分も必要だけど、その辺りは先に獅子亭に向かったアマリーラさんやフィリーナ達に伝達を頼んでいるから大丈夫だ。
そうして、モニカさんと話しながらゆっくりと獅子亭へと向かう。
森に入る冒険者さん達はまず、門に集まって出発する予定らしいし、ソフィー達ももう言っているだろうけど、時間に余裕はあるからね。
「ずっと張り詰めていたから、ヘルサルの変わらない街並みには安心するわね」
俺は昨日も来ていたし、それ以前にもヴェンツェルさんが到着した時なども来たけど、モニカさんはかなり久し振りだからね。
目を細めて人が行き交い、これまでと変わらないヘルサルの様子を懐かしんでいるんだろう。
約二か月近く、センテで魔物と戦い続けてその後は解氷作業をしていたから。
久しぶりに見たヘルサルが、これまでと特に変わらず人も多く、活気があるのは慣れ親しんだモニカさんとしては嬉しいってのもあるかもね――。
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