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ヤンさんを連れてギルドの外へ

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 SSランク昇格に関してだけど、今回の俺に関しては、相応のランクでないと冒険者ギルドの信頼問題にかかわるという事で、ギルド支部はそれぞれ協力してくれるだろうという事。
 ヒュドラーやレムレースを倒した人物を、不足としてSSランクを承認しないとはならないだろうというのが、ヤンさんとベリエスさんの読みだとか。
 さらにSSSランクだけど、こちらは本当の意味での最高位ランクである事自体は、ギルドマスターなどには知らされるけど、条件などは特権と同じでわからないらしい。
 本部が隠しているというより、なれる人がいないだろうと考えられていないんじゃないか、というのがヤンさん達の考えだ。

 まぁなんにせよ、各地のギルド支部と連絡を取り合って協議したうえで、本部へ上げる事になるため、かなりの時間がかかるだろうとの事だ。
 しかも、一足飛びにSSランクにする事はできないだろうから、まずSランクに、そこから改めてSSランクにする協議などが始まるとかで、数日どころか数カ月で終わる話でもないらしい。
 ともかく、滞りなく進めば俺はSSランクになるかもしれない、とだけ考えてくれればいいとか。
 ランク昇格が決定した際になど、俺に何か伝える事がある際には滞在中の所にあるギルド支部などから、連絡が来るそうだ。

 俺はとりあえず、待っていればいいだけみたいだね。
 ランク昇格を急ぐわけでもないし、別に今のままでもいいからいつも通りに過ごしておけばいいかな。
 色々あり過ぎて、いつも通りがなんなのかよくわからなくなってきている気がするけど……。

「ではベリエスさん、ここしばらく大変な事が続きましたが、また」
「あぁ、俺もお前も、まだしばらく大変だしギルドマスターというのは、大変な事が続く役職でもあるがな。今度はこちらから会いに行くかもしれん」
「はは、ベリエスさんが会いにくるとなると、こちらの支部も大変になりそうですが……お待ちしておりますよ」

 ランクの話しも終わり、ヤンさんがヘルサルへ戻るためにベリエスさんと挨拶を交わす。
 氷が解ければセンテとヘルサルは、以前のように自由に行き来できるし距離も近い。
 お互い忙しいから、簡単にどちらかの街へというわけにもいかないかもしれないけど、会おうと思えば会えるからね。
 特に仰々しい挨拶という程でもなく、二人は軽く笑い合っているくらいだった。

「リク様も、お気を付けて」
「はい。まぁ俺はすぐにこちらに戻ってきますけど……お世話になりました」
「いえいえ、お世話になったのはこちらの方ですよ。リク様がおられなければ、今頃この街はありません。調査依頼から始まりましたが……おっとそうでした。調査依頼の方は達成したとしておりますので、報酬を受付で受け取ってください」

 そういえば、調査依頼を受けていたんだった。
 その影響でワイバーンを発見したり、ロジーナに誘き出されて隔離されたりもしたんだけど……魔物が減らないと言っていた、街の南に関してはほとんどモニカさん達に任せっきりだった。
 南の魔物を複数倒していたりワイバーンを発見して、二体だったかな? 倒していたから、街を包囲する魔物の数が少しくらいは少なくなって、いい影響もあったのかもしれないかな。
 とりあえず、報酬は頑張ってくれたモニカさん達の方に、多めに渡そう。

 そんな事を考えつつ、ベリエスさんが残る部屋を辞してヤンさんとやフィネさんを連れて、冒険者ギルドの受付へ。
 調査依頼の報酬が、思っていたより多かったのに少しだけ驚いたけど、ヤンさんからベリエスさんが色を付けたと教えられたのでありがたく頂戴する。
 まぁ、今回の事件に対する報酬等々は、シュットラウルさん達国からと冒険者ギルドから、別々に改めて払われるらしいけど……また使いきれないお金が増えた。
 冒険者ギルドに預けられるからいいけど。

 以来の達成報酬を受け取った際、パーティ登録しているからメンバーそれぞれに別けて渡されるんだけど、その中から俺の分をモニカさん達の方に少し追加しておく。
 さらにその時、ユノやエルサへのお小遣いとロジーナへはどうしようかとちょっと真剣に考えてしまった。
 まぁ、人間の体だから物を食べたりもするし、ユノと同じと考えればいいかなと、ロジーナへのお小遣いも追加。

「……はは」
「どうされましたか?」
「あぁいえ、なんでもないです」

 お小遣いを渡した時の事を想像して、思わず笑い声を漏らすとフィネさん不思議そうにされたので、首を振って誤魔化しておいた。
 ユノやエルサは、お小遣いをもらえば単純に喜ぶだろうけど……ロジーナは多分、「そんなものいらないわよ」なんて言ってそっぽを向きながらも、受け取るんだろうな。
 受け取りながら、「くれるって言うんなら、折角だからもらっておいてやるわ」とも付け加えられたら完璧だ。
 そんな風にロジーナが聞いたら怒りそうな想像をしつつ、建物を出ると、マックスさんが待ってくれていた。

「お待たせしました、マックスさん。トレジウスさんは?」

 塀にもたれかかっているマックスさんに声を掛けながら、周囲を見回すとさっきまでいたトレジウスさんを始め、冒険者さん達が誰もいなくなっていた。

「おう。トレジウス達は、俺の説得で意気揚々と街に散らばって行ったぞ。冒険者の依頼でもないのに、復興の手伝いをするらしい。感心だな」
「はぁ……またマックスさんが、口八丁で乗せたのでしょう。昔からよくあった事です」

 溜め息を吐くヤンさんだは、現役冒険者だった頃はマックスさんと同じパーティだったみたいだから、似たような事がこれまでもあったからだろう。

「まぁそう言うなヤン。あいつらは、そうする事で未来の自分のために動いているんだ」

 そう言って、ヤンさんの肩に手を回しながら笑うマックスさん。
 トレジウスさん達に何を吹き込んだのか気になって聞いてみると、俺のクランへの口利きを他の冒険者さん達にも広げたらしい。
 活躍すれば、それだけ印象良くできると思った冒険者さん達は、競うように街の復興を手伝いに行ったんだとか。
 いや……復興の貢献度で加入の可否を判断するわけじゃないんだけど……まぁ、マックスさんが人となりを見てくれれば、少しは考える手間が省けるし、悪い事じゃないんだけどね。

 ちなみに、復興に関する依頼はベリエスさんが今日明日中に、依頼として出す予定だったとか。
 その前に、ただ働きさせられる冒険者さん達はご愁傷様だけど、まぁ街の人達が助かるからあまり気にしない方がいいか。

「氷を解かす作業の主導は、侯爵軍と王軍が担いますが、その後の氷が解けて出られる範囲が広がった後での整備や哨戒などは、冒険者も参加するようになっているんです」
「成る程。まぁ今は魔物もいませんけど、どこから近付いて来るかわかりませんからね」

 一部、氷を解かす作業の手伝いもあったりもするみたいだけど、出す依頼としては解かした後の周囲の探索など、魔物が近付いて来ていないかの確認も、冒険者依頼とするつもりだったようだ。
 兵士さん達は氷の対処、冒険者は魔物への警戒と余裕があれば整備などって事だろう。
 街道とかは、全部片付いてからの事業だからまだ先の話だね――。


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