私、去年から祈ってる

初恋くん、初恋さん

　初恋くん。
あなたは私の初恋くん。
私はあなたの隣で生きている。
偶然を装い、運命を信じ抜く、健気な少女。
初恋くんは私のこと、どう思ってる？
初恋くんは初恋のこと、知ってる？
それなら、私の気持ちも、なんとなく分かってくれる？


　初恋さん。
君は僕の初恋さん。
僕は君の後ろで生きている。
真面目を装い、真面目に真面目を演じる、純粋な少年。
初恋さんは僕のこと、どう思ってる？
初恋さんは初恋のこと、知ってる？
それなら、僕の気持ちも、なんとなく分かってくれる？


　初恋くん。
あなたは隣を見てくれない。
真っ直ぐ前だけを見る少年。
私は見飽きない横顔に見飽きてしまいそう。
初恋くんは私のこと、どうも思ってない。
初恋くんは、初恋のこと、知ってるんだね。
それなら、この切ない気持ちも、なんとなく分かってくれる？


　初恋さん。
君は後ろを見てくれない。
こっそり隣だけを見る少女。
僕は見飽きない後ろ姿に見飽きてしまいそう。
初恋さんは僕のこと、どうも思ってない。
初恋さんは、初恋のこと、知ってるんだね。
それなら、この切ない気持ちも、なんとなく分かってくれる？


　初恋くん・・・
こっちを見て、笑ってほしかった。
初恋くんは名前を変えずに私の初恋くん。
横顔の初恋くん。


　初恋さん・・・
振り返って、微笑んでほしかった。
初恋さんは名前を変えずに僕の初恋さん。
後ろ姿の初恋さん。