私、去年から祈ってる

微熱

　微熱になると、彼をもっと好きになる。
微熱になると、彼に好きと伝えたくなる。

　微熱になると、今以上の熱を恐れて、彼に会えなくなる日のことを想像する。
微熱になると、想いを伝えなかったこれまでを泣きたくなるほど後悔する。

　私の好きな人が、こういう時にそばにいてくれる存在だったらどんなに良いだろう。
「大丈夫？」とか「可哀想」と言ってくれる人が私の好きな人なら、どんなに幸せだろう。

　いつもと違う感覚の中で、彼が幻のように思えたなら。
どうか、幻ではないと分かる距離に、幻でも良いから彼を置いて。

　熱が下がれば、私は彼を好きなまま。
彼に好きと伝えたい気持ちだけが、熱と共に冷めてゆく。