本当の春

あおなゆみ

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一人称のない、救いの君へ

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 自分を僕と呼べばいいのか、俺と呼べばいいのか、そもそも主語をつけなくても良いような話の仕方をするべきなのか。
俺と呼ぶには見合わない情けなさを持っている気がして、かと言って会話が得意ではないから、一応、うまく伝わらない時には自分を僕と呼ぶことに決めた。
そう決めたのは、高校入学のタイミングだった。
 
 中学はもう散々、懲り懲り、飽き飽き、イライラの日々だった。
学校での人間関係も、勉強も、家族ともうまくいっていなかった。
酷くいじめられたわけではなかったけれど、聞こえるように悪口を言われたし、グループを作る必要があれば、省かれた。
強く反抗することはできなくても、無言の圧力、相手の気分を悪くさせる目つき、そんなので自分なりの必死の抵抗を続けていた。
自分の何が悪かったのか考え続けた。
答えは出なかった。
 父親の転勤を伝えられた時、両親を睨みつけたものの、心のどこかで未来を期待したのを覚えている。
東京を離れることが分かり、少しずつ心に穏やかさが戻るのを感じた。
期待が膨らみ続けていた。
でも、場所が変わるだけでそんな簡単に変われるわけがない、無駄な期待をするなとブレーキを掛けた。

 受験のため真冬の北海道に行った。
寒すぎたけれど、寒さが迷いの心を誤魔化してくれるみたいで、気に入った。
母親は、

「寒すぎて、なんか気持ちが落ち込んじゃう」

と言った。
その言葉に気分が落ちそうになった。
でも、自分が直接肌で感じてる寒さは、母親の言葉に惑わされない真実味があった。
普段は無視するのに、

「そんなことないけど」

と、反応した。
母親が

「あら、そう」

と、物珍しそうに見てきた顔は、少し嬉しそうだったように思う。

 無事合格し、いざ入学したのは良いものの、クラスメイトの関わり方が全く分からず、いきなり危機を迎える。
自ら乗り越えようとすれば良いものの、スマホやイヤホンや嘘の眠りに逃げてしまった。
これじゃあ、せっかくの新たなスタートを無駄にしてしまう。
分かっていても、行動に移すのは難しかった。

 そんな時に少し気になっていたのは、隣の席に座る浅田さんの視線だった。
本人はバレていないつもりなのだろうけど、時々、様子を窺われていることに気づいていた。
一瞬、自惚れそうになる。
もしかして、僕に好意を・・・
そしてすぐ、否定する。
いやいや、こんな一言も喋らない暗い男に興味を持つわけがない。
でも、小学生の頃は無口のわりにモテてたな・・・
いやいや、そんなんじゃない。
 そんな一人の会話を心の中で続けていたある日。
英語の授業中に消しゴムを落としてしまった。
それも、浅田さん側に、だ。
すぐに拾うか、僕の中で迷いが生じるよりも先に、浅田さんが一つの迷いもない、驚くほど機敏な動きで、消しゴムを拾った。
拾われた後にようやく、授業が終わって、浅田さんが席を離れるタイミングがあればその時に僕が拾ったのに・・・という諦めみたいな発想が思い浮かんだ。

「はい」

そう言って浅田さんは、僕の机の上に消しゴムを置いてくれた。

「ありがとう」

緊張の中、必死でお礼を伝える。
浅田さんは軽く口角を上げて、会釈をした。
それにつられて会釈をした時、腕に触れたシャーペンが転がり、床に落ちてしまった。
それもまた、浅田さん側に、だ。

「あっ」

焦りからつい声を出してしまう。

「おっ」

浅田さんもそんな声を出した。
そしてまた、迷いのない動きでシャーペンを拾う。

「はい」

さっきと物違いなだけで、同じシーンが繰り返される。

「ありがとう」

さっきよりも緊張感が増したお礼を言う。
すると、浅田さんが

「次は何を落とすかな」

と、楽しそうに言った。

「へっ?」

僕が間抜けな声を出すと、浅田さんは優しく、本当に優しく微笑んだ。
つられないわけにはいかない、そういう流れで、自然に自分が微笑んでいたことに気付く。

 そのタイミングで、二人の遠慮気味な意思疎通が打ち消された。
先生が大きくジェスチャーをしながら、

「じゃあ、こことここ、こことここって感じでペアになって、会話してみてくださーい」

と、言った。
その、こことここという指示されたペアの相方は、浅田さんだった。
一気に教室内が騒がしくなり、英語での会話が聞こえてくる。

「初めまして。浅田です」

そんな中浅田さんは、日本語で自己紹介を始めた。
多分、他のペア同士は本当の初めての会話ではない状態で、

「ナイストゥミートゥー」

という具合に挨拶をしているはずだ。
でも、浅田さんとは本当に初めましての挨拶だったから、いきなり英語だったら違和感があったと思う。
浅田さんが日本語で話してくれたことで、少し嬉しい気分になった。

「初めまして。西山です。あっ、消しゴムもシャーペンもありがとう」

「いいえ。ちょっと面白かった」

「ドジっぽくて?」

「うん、ちょっとね」

浅田さんは笑顔を見せてからすぐ、少し慌てた表情になり、

「先生来る」

と小声で言った。
先生が間近に迫ったところで僕は、

「ドゥーユーライクミュージック?」

と、たどたどしい英語で質問した。
先生が浅田さんの回答を待つ。
浅田さんは、

「オフコース」

と、かなり発音良く答えた。
先生は満足そうにして、僕らから離れていった。

「英語、すごいね」

僕が感動していると、

「適当に発音してみただけだよ」

と言い、浅田さんは

「ティーチャー ネイチャー ドクター」

とRの発音を強調して言った。
浅田さんの顔は真っ赤だった。
でも僕はどうしても笑いを堪えられなくて、何年振りか思いつかないほど久しぶりに、ツボに入って笑ってしまった。
浅田さんも顔を赤くしたまま、楽しそうに笑っていた。

 この瞬間に僕は、長年積もりに積もった人間に対する不信感だったり、自分で作り上げた勝手な不安だったり、そういうのを解消することができたと思う。
北海道で例えるなら、積もった雪が一気に溶けるようなイメージだな、と最初は思った。
ただ、後から知ることだけれど、根雪というものがあり、そうそう簡単に、素早く雪が溶けることはないとのことだった。
だから本当にイメージだけの話になるが、ものすごいスピードの雪解けが僕の中で起こったようだった。
 それに、浅田さんとの会話も嬉しかったけれど、浅田さんが躊躇いなく、僕の消しゴムやシャーペンを拾ってくれたのも嬉しかった。
一瞬の躊躇いもないということが、案外難しいことだと知っている。
だから、浅田さんと仲良くしたいと思った。

 初めて一緒に下校した日。
浅田さんは、親友だった春子さんの死について話した。
僕と同じように、いじめをいじめと思わないように、言わないようにしている浅田さんが気になった。

「いじめっていうのは少し違うかもしれない。でも、何人かに酷いこと言われたり、分かりやすく省かれたりしてたところを、救ってくれたの」

そういう強がりが、自分を見ているような気持ちにさせた。
僕と似ていると思った。
 だけど、少しずつ分かってくる。
強がりが少し似ているくらいで、あとは全然違うと。
浅田さんは僕と春子さんとを重ね合わせるように、僕への感謝を表現してくれた。
彼女は僕の優しさを、春子さんと同じような無条件の力のように感じ、過大評価している気がした。
でも、僕の優しさは、浅田さんに出会えて救われたからなのだ。 
そんなすごいものじゃない。
その過大評価に怯え、臆病になってしまった。

 僕は、浅田さんに救われている。
ただそのことを、彼女に伝えるべきだった。
だって僕は、浅田さんに、浅田さんのような人に出会えるのを心待ちにしていた。
それだけの人生だった。
そしていざ、出会ってしまえば、期待に応えられないんじゃないかという不安が、僕を臆病にする。
優しさが何か分からなくなる。
柔らかく微笑むこと?
厳しい視線を向けないこと?
人の悪口を言わないこと?
穏やかさだけを忘れないこと?
僕はただ、優しさが欲しくて、人に優しくするのだろうか。
僕は自分を僕と呼ぶことで、何か刺々しいものを避けようとしているのだろうか。
 これが思春期だけの、面倒臭い悩みならいい。
こんな面倒な発想が一生続くかと思うと、頭がクラクラしてしまった。


 初めて一緒に下校した本当の春の日に、唯一、勇気を出して言えた、

「最初に話しかけてくれてありがとう」

という言葉。
その勇気を持って、

「僕は浅田さんに救われたんだ。ありがとう」

と、伝えられたらいいのに。
どうしてそんなことも言えないのだろう。
大人になれば、後悔するだろうか。
そんなことくらい言えよと、叱られるかもしれない。
僕が僕を馬鹿にするかもしれない・・・
そういう葛藤を延々と続けながら、浅田さんとの会話や下校は続いた。


 本当の春はとっくに過ぎていたある時、菅野に

「浅田と付き合ってるの?」

と聞かれたことがあった。
その頃、僕と浅田さんが付き合っているという噂が流れているタイミングだった。
僕は、

「付き合ってないよ」

と、浅田さんのためを思い答えた。
もちろん付き合っていないのは事実だけれど、少し寂しい気もした。

「浅田もそう答えたんだけど・・・付き合ってないにしても、どっちかが好きってことはないの?」

菅野は痛いところをついてきた。

「そういうのは、ないんじゃないかな」

いつも通りに答えたつもりだった。
いつも通り冷静に、だけど冷たくならないように、相手の問いかけに優しく答えるイメージ。
それなのに菅野は、

「西山ってマジですごいな」

と、僕の肩を叩きながら言ってきた。

「何が?」

「いや、マジ演技派」

「えっ?」

「まあ、浅田の前ではってところかな。もしくは、浅田が鈍感なだけなのか。大丈夫、マジで誰にも言わないから。これは、マジのやつ」

「いや、何なの?」

「隠すって、難しいんだなって思うよ」

「え、いや・・・」

「まあ、頑張れよ」

菅野は、ハッキリしたことを一つも言わず、ただ、僕を分かっているようなことを言った。
実際、菅野にはバレていたのかもしれない。
 少しして、クラスの女子に告白され、迷いなんか一つもせずに、だけど優しさを忘れないように断り、告白してきたその女子は後に、菅野と付き合い始めた。
クラスに目立つカップルが誕生したことで、僕と浅田さんの存在感はかなり薄れたようで、ホッとした。
もちろん、ただの幸せな安心感ではなくて、引っかかるものを抱えながらの、安心感だった。
 告白された後、浅田さんにそのことを話してしまいたくなり、でも必死に堪えた。
もし話したら、浅田さんはどんな顔をするだろう。
優しさ以外の目を、僕に向けてほしいと思ってしまう。
だから、思った後ですぐに、このままが良いはずだと思い直した。

 曖昧な関係を、曖昧な時間を、出会いたかった人と一緒に過ごす。
僕は幸せ者だった。
浅田さんとの何気ない会話も、それぞれが、穏やかさを忘れないようにするところも、心地が良かった。
菅野みたいに、声を大にして思いを伝えるような人もいれば、僕らみたいに繋がっている人もいて良いはずだ。
確定してない未来を無限に夢見れる子供みたいに、浅田さんのことを夢見続けた。


 でも、ある冬の日。
雪道で滑って、転びそうになった僕を支えた浅田さん。
浅田さんが僕の鼓動を確かめた時。
浅田さんの手の小ささと冷たさ。
それらに触れた時に、見て見ぬふりを続けた気持ちが分かりやすく、僕に存在を訴え始めた。

「どうして手袋しないの?前からちょっと気になってた」

そう言って、浅田さんに僕の手袋を渡そうとした時に、もし浅田さんが断っていなかったら。
僕は彼女を抱きしめていたかもしれないし、気持ちを伝えていたかもしれない。
彼女の優しさを、曖昧さの中にとどめるのが惜しくて、自分だけのものにしたいと告げたかもしれない。

「ごめんね、西山くん」

「え?何が?」

「なんとなく、謝りたかったの。分からないや」

「謝ることなんて、何もないよ」

気まずい時間が流れ、僕は冷静になった。
これまでにないほどの至近距離で浅田さんを見て、僕はおかしくなってしまっただけだ。
そう言い聞かせた。
寂しくて寂しくて、冬という季節が余計にそういう気分にさせて、泣きたくなった。


 そして、長い冬を越え、ふたたび本当の春が近づいていた。
高二では、クラスが離れたけれど、僕と浅田さん一緒の下校は続いた。
女子と男子という性別を理由にしたり、周りの誤解の目を理由にすれば、いつだって簡単に離れられたように思う。
でも、離れられなかった。
穏やかで、進展も後退もない、そういう関係を続けていたかった。
春子さんみたいな存在でいようとした。
浅田さんは、春子さんに何もしてあげられなかったと言っていたけれど、それはないと、いつだって思っていた。
浅田さんと接していれば、彼女は何もしてあげられないような人じゃないと分かるから。
彼女の笑顔や言葉選びや、僕を見る優しい目がそうだと証明していた。
それでも僕は、その関係を守るために、優しさを武器にし続け、僕の弱さを知らない浅田さんのそばにいたかった。
僕は自分の弱さも、もしかすると、本当の自分さえも見せてはいなかった。
まるで、浅田さんと春子さんの幸せだった青春の時間を羨んで、そこに復活させるかのように、ただ優しくあろうとしていた。

 だけど、浅田さんが突然、僕らの下校をやめようと言い出した。
浅田さんとの二度目の、本当の春の季節だ。
バチが当たった思いだった。
言われた瞬間、もう遅いことが分かる後悔が、身体全てを覆う。
いつも見ていたはずの景色が一変してしまった。

「何かあった?男子と一緒に帰るとやっぱり揶揄われたりするよね?」

平静を装いようやく言えたのはそんな情けない言葉だった。
でも、そんなのじゃないと否定される。
例えそれが嘘だとしても、浅田さんに好きな人ができたのだとしても、僕がとやかく言える立場ではない。
 もし、浅田さんが春子さんの話をしてくれた日に、僕は浅田さんに救われたと感謝を告げ、自分のことをもっと話すことができていたら。
少しは今が変わっていたかもしれない。
もしその時に話すのが難しくても、時間をかけて親交を深め、話せるタイミングに勇気を出せていたなら。
強がりで、強がりの優しさで彼女との関係を維持しようとしなければ。
少しは自分の本当の気持ちを言葉にすることを覚え、こんな結末を迎えずに済んだのかもしれない。

 本当の春の中、僕を僕と呼ぶべきかさえ迷っていた僕は、大切な存在との大切な時間を失う。
そんな危機的な、悲しい状況になっても、彼女に僕の気持ちを話すことはできなかった。

 それに、ずっと気付いていたことがある。
浅田さんが自分を呼ぶ時の一人称についてだ。
彼女がそれを意識していたのかは分からないけれど、彼女は僕と話す時、決して自分を私とは呼ばなかった。
そもそも、主語を使うような話し方をしなかった。
それなのに、春子さんの話をした時だけ、彼女は何度も自分を私と言った。
重要な過去の話をするため、どうしても一人称が必要になったのだろうと最初は思ったけれど、他のどんな過去の話をしても、一度も私と言ったことがない。
 浅田さんも僕のように、自分を何と呼ぶべきか、迷うような心持ちだったのだろうか。
春子さんとの青春時代、春子さんとの思い出の中だけで、彼女は彼女らしく、自分を誇らしく思えたのだろうか。


「西山くん、握手しよ」

いつもの別れ道で、最後だということを際立たせるように彼女と握手をした。
あの冬の日の冷たさと違う、浅田さんの手の温もりを感じる。
彼女の手はやっぱり小さくて、切なくなるほどだった。
 僕は、彼女の提案を受け入れることしかできない。
僕の求め続けた人は、僕に本当の春を教え、去ってゆく。
それを引き止める強さ・・・いや、違う。
それを引き止める、本当の優しさが僕には足りていないだけ。
僕たちは、自分を何と呼べば良いのかも分からない曖昧な存在で、それでも、出会いたいと願う一人がいて、それなのに、出会ってしまえば臆病になって手放す始末だ。


 穏やかな日々だった。
僕は間違いなく、彼女に恋をしていた。
彼女が去ってようやく、それを恋だったと認める惨めさで、僕はしばらく動けずにいた。
 涙が溢れる。
本当の春が、無条件の優しさで、僕をそっと包み込むようだった。
頬を伝った涙は、さっき触れた、彼女の手の温もりと同じに思えた。

 じゃあ、浅田さん。
また明日、じゃなくて、さようなら。
僕は・・・

 俺は、君のことが好きだったよ。
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