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後日談:2 ガールズトーク
しおりを挟む利奈も元気に1か月検診などを迎え、母子ともに健康に過ごせていた
今は午前中の短時間だけ利奈も散歩に連れ出している
長時間のおでかけが出来るようになったら…
などと色々考えるのは楽しいが、現実には持ち歩く荷物が多くて大変だという調べも付いているので複雑であった
利奈は音楽を流していればご機嫌に聴いていることが多い
最近は「うぅー!」「あーぁー!」と元気にお喋りをする…尊い…
そしていつの間にか寝たり起きたり、お腹が減ったら泣いて教えてくれる
そんな感じであまりぐずらない・長泣きしないという点で、私の子育てはもしかしてめちゃくちゃ楽なのではないかと最近気が付いた
「ただいまぁ~」
理人が仕事部屋から帰って来た
「あ、おかえり!」
私はキッチンから声をかけた
リビングのキッチン寄りに敷いたマットの上で横になっている利奈を覗いて
「…寝ちゃってるか」
と言う理人、確かに今は静かだ
ついさっきまでアースの「FANTASY」を聴きながら、大きな声を出してノリノリだったから疲れたのかな?と、私も様子を見に近づいた
スヤスヤと寝息を立ててぐっすりだ…
大きな声を出す→疲れる→爆睡、という純粋なサイクルを想像して可笑しくなった
「さっきすごいハッスルしてたんだからww」
と理人にも利奈の様子を教えてあげた
「慶、こういうの幸せだね!」
一緒に利奈を覗き込んでいた理人がそう言う
その理人が本当に可愛い顔をしていたので、幸せついでにキスをする
利奈を挟んで親子3人こうした穏やかな日常がとても心地いい
そういえば今日、百海が遊びに行くとメッセージをくれたのだ
「明日来てもらってもいい?」
と理人にも確認するが
「全然いいよ、俺は上行ってるからごゆっくり~」
とのこと
…そうか、私はこのところ私個人の付き合いというものをスッカリおろそかにしていたんだ
てっきり理人も交えてでいいものだと考えてしまっていたけれど、百海は私に用があるのかもしれないと理人の言葉を聞いてハッとした
「女子は色々とあるんでしょ?ガールズトークに野郎なんか居ないほうがいいんだから」
最近は俺が独り占めしちゃってるから、ゆっくりギャルの話聞いてあげな?と気を使ってくれた
「代わりに今日はめちゃくちゃチャージさせて…!」
と利奈が寝ているのを確認した理人は、私をベッドへ連れて行く
検診のときに医師からの「GO!」をいただいてから、しばらく封印していたセックスを再開した
なので今私たちは、朝だろうが昼だろうが利奈が寝た隙をお互いに狙っている節がある←
「…ん、えっち」
これが、第一子を迎えたバカップルの現実であった…
ーーー翌日
午後に百海がやってきた
「あぁ~!利奈ちゃん!んん~っ!!」
まずは利奈を吸う百海…
確かに赤ちゃん特有の匂いってあるもんなぁ~
「…はぁ~キまるぅ~!」
違法ドラッグと同じ扱いをするな
私は百海が持ってきてくれたドライケーキと紅茶を出した
利奈を抱っこして離さない百海、私はフリーになって助かります
「会社はどう?事務の補充とかあった?」
私は会社の面々を思い出し懐かしくなった
「まぁ新人さん入りましたよ…即戦力の人だったから教えることも少なかったけど」
話を聞けば、新人さんはもちろん百海(22)より年上の方で、かなりお堅い女性なのだとか
それで百海は距離感を掴めずにいるようだった
まぁ百海なら心配しなくても上手くやるに決まっている
「…じゃなくて!いいんですよ、職場のことは…」
いや、職場を懐かしむ私の気持ちも汲んでよ
しかし百海には別に話したいことがある様子だった
「あのですねぇ?…お宅の弟さんのことなんですけどぉ~」
はぁ、優がなにかしでかしたのでしょうか…
「ちょっと、あたしのネイル見て!」
利奈をソファーに寝かせると、百海が私に両手を見せる
相変わらず綺麗に長さ出しをしたロングネイルであった
白とピンクのベースカラーの上に、キラキラビジュー、シルバーパーツなどが盛り盛りの、まぁいつもの感じといったネイル
「…うん、いつ見てもカワイイねぇ」
掃除や手洗いの洗濯などには適さない百海のおネイル
風呂とかトイレの日常生活に支障は無いのだろうかと心配になる
「これ、優くんがやってくれたネイルです!」
「…ええ?!」
「そろそろ4週間ほど経つけど、スカルプも浮いてないし完璧だよ!」
「へぇー…」
なるほど、優の仕事を見せに来てくれた、ってこと??
優はといえば、百海と一緒に「送別会」をしたとき以来まともに話していなかった
産後の入院期間に百海と一緒に顔を出したものの、特に話はせずに帰ってしまったし
「優くん今、新店で店長頑張ってるよ~」
とのこと
ヘアサロンは指名が入ればカットに行き、それ以外はネイルサロン優先で仕事をこなしているらしい
私も子育て奮闘中だが、優も自分のフィールドで頑張っているんだな…
「それで、あたしも今はその…優くんちに泊まりに行ったりしてて…」
泊まりに…それって、そういう意味ぃ??
「あ、じゃあ晴れてカレカノってことね?」
「チガイマス…」
…へ?
どうやら優は「こう」と決めたら融通が利かないようで
百海の近所に引っ越しが完了してからというもの、さらに足しげく百海が通うようになったにも関わらず、全く手を出さない優
この調子ではまだ待たされる…と思った百海が迫った結果、サクッとセックスには持ち込んだとのこと(おい優それは違うだろ)
ただ関係的にはそうなったものの、ちゃんとするから待ってと言われているらしい…
「ん~、じゃあまだ百海が彼女だと公言しないってこと?」
「ソウデスヨ…どうなってんの?」
ちょっとそれは複雑だね
でも家には出入りして胃袋を掴んでるし、実際セックスはしてるし、「彼女にするなら百海がいい」っていうのも聞いてるしで…
優自身の気持ちの整理が付けば、このまま彼女という肩書にスライドするだけのように思われた
「まぁ、話を聞く限りこのままイケそうな感じではある…」
私は素直な感想を述べた
「そっかなぁ…?」
確かに女としては複雑な立ち位置だが、それは優も同じように見える
ちゃんと男としてももちゃんに胸を張れる自分になれたら…と
優にそういう自信が芽生えるまで、百海にはもう少し付き合ってあげて欲しい
「…別れたい、とかは無いよね?」
「ぜんっぜん無いです!ラブだから!困ってんの!」
「じゃあ、もうちょっとだけ待ってあげてくださいよ~」
優は自分ルールに頑固になっているみたいだけど、百海にすでに一部崩されている所を見ると時間の問題だろう
ただ、無事に収まるまでは百海の愚痴には付き合おうと思うのであった
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