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シースルー越し
しおりを挟む会社に到着し、バッグからスマホやシガレットケースなどをデスクに出しているときだった
スマホの通知ランプが点灯しているのに気が付いた
優からのメッセージだ
「なんで知ってるの?」と、ひとこと
…これはもう決定打か?
いやまだアンジャッシュの可能性もあるのではないか?
私は百海の待ち合わせについてを話しているが、優は別の女子との約束について話しているという可能性は…
そもそも「百海の相手」の条件が「自分の弟と近い」と私が感じただけであって、偶然そんな状況に居る人なんて死ぬほど存在するだろうし
私の脳が「そうだったら面白いな」と勝手にワクワクしているだけなのかもしれない
百海から続報があがるまで、これ以上首は突っ込まないでおこうと思った
ーーーーーーーーーー
そうして週末になり
朝も早くからお母様に指定された場所へと車で向かっていた
目的地はスタジオと言われていたのでそれっぽいビルを想像していたのだが…
それは都心の中にあって、緑に囲まれた「チャペル」だった
小さく表示されている看板の文字を確認すると間違いないようだった
また敷地の駐車スペースにはほかにも車が停まっていたので、とりあえず中に入って確認することにした
「あっ、理人さん!」
チャペルまでの小道を歩いていると、建物の中から声をかけられた
その女性は理人の顔を知っていたようだ
「あ…え~と、母のところの…」
理人もうっすらは知っているようだった
名前も出て来ないけれど
「そうです、お疲れ様です~」
その女性は、奥に行けばお母様が居るのでそこで指示を貰ってくれと言い、自分の仕事に戻っていった
敷地の奥にチャペル、手前に白い平屋のお家があり、先ほどの女性は白いお家から声をかけてくれた
言われるままチャペルへと進み、中へ入る
そこでは複数人の人が、装飾をするのに動いているようだった
「…え?撮影って、こういうこと…?」
私が想像していた撮影とは、カメラ屋さんが1人いて家族写真を撮る的な感覚でいたが…こんなに大掛かりな撮影なのかと震えた
「理人、慶さん、コッチ来て~」
お母様に呼ばれ、先ほどの白い家の方へ向かう
「じゃ、まず2人はそれぞれメイクさんとこ行ってもらって準備だね」
そう言われ、別々の部屋へと通された…
私のメイクをしてくださるお姉さんが
「今日はよろしくお願いします!」
と元気に声をかけてくれた
メイクさんは 岡村泉 さん、泉とお呼びくださいとのこと
素人の私はどうしていいのか分からず簡単な挨拶しか出来なかった
鏡越しに部屋の中を見渡すと、ドレスが黒・赤・白と3着トルソーに着せて置かれていた
「最初は黒からだそうなので、それでメイクしていきますね~」
と言う泉さん
「…えっ?あれ全部着るんですか?」
私はなにも聞かされていなかったので、泉さんに聞く
「そうですそうです、慶さん全部着て撮影出来るなんて羨ましいですよ~」
と…
なるほど、朝が早かった理由が今理解できた
黒のドレスはプリンセスラインで裾に向かってボリュームのある形だった
何種類もの生地やレースが使われ、質感の異なるブラックが重なった、見るからに贅沢なデザインの「高そう」なドレス(庶民代表の表現法)
私はされるがまま、お顔とヘアメイクをしてもらいドレスに着替える
さっき理人に声をかけてくれたお姉さんもやってきて、2人で私のお着替え介助とアクセサリーを付けてくれた
「じゃあ行きましょう!」
そう言われ、お姉さん2人もドレスの裾をすらないように持ってくれてチャペルへと移動した
動いている人の邪魔にならなそうな場所に座っている理人を見つけた
「理人さん、慶さん出来ましたよ~」
と泉さんが声をかけると、振り向いてこちらへ歩いてくる
理人も艶のあるブラックのセットアップに身を包んでいた
ロングの髪もゆるく巻かれていて、普段の本人とは違う感じに「プロの仕事」を見た
…なにやら視界に違和感を覚えたが理人がそばに来て理解した
前を開けたジャケットの間から見えるインナーがブラックのシースルーなのである…
これは「シースルー越しのアート」という、お母様のセンスに拍手を送りたい
「いやぁぁぁ!理人さんセクシー過ぎですよぉ~///」
泉さんが喜びの声をあげた
「…ほらモデルさん!準備が出来たらさっさと撮るわよ~」
少し離れた場所からお母様に呼ばれた
指定された立ち位置に移動すると、お姉さん方がドレスの裾や髪の毛先を最終チェックしてくれ、その場から離れて行った
すぐにカメラマンの方が来て挨拶をした
「慶さんのドレスが主役だから、理人は無になってて」
とカメラさんの横に立つお母様からの指示が出る…
「無になれ」ってスゴイ表現だな、と震えていると
「わかってるよ」
と返事をする理人
「無になれ」に対して「わかってる」と返すなんて、親子だなぁ~ってゆーか
私だけ何ひとつ理解していない感じがあるけど大丈夫なのだろうかと不安になりつつ、カメラさんに指示をもらいながらの撮影がスタートした…
カメラを直視しないで目線を外すとか、身体をどこに向ければいいのか手のポジションはどうするか、もう頭が真っ白になりながらただ写真を撮られるという初めての経験だった
「慶さんはドレスがあるから動かないでね」
と理人が気を使って、右に左に動いてくれて
「…はい、じゃあこれでラストです」
カメラさんのその言葉に、ああ終わるんだと泣きそうになったが
こ れ が あ と 2 着 分 も あ る の か と 絶 望 し た …
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