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秘密
しおりを挟む理人のお母様が服飾のお仕事で海外出張がある、というのは聞いていた
今日は仕事をしていた理人に、お母様から「日本に戻ったから迎えに来い」との連絡が入りお迎えに行ったようだった
その後は車に乗せたお母様が「行くところがある」というので足に使われていたと
その目的地へ到着すると、お出迎えに知り合いの方が待っていて、どうぞどうぞと言われるまま、そこからしばらく話に付き合わされたということだった
話を聞いていると、その方が
「せっかく真理子さんが戻ったんですからやりましょうよ…」
と、仕事仲間を集めてパーティーしましょうという流れになった
お母様は派手なイベントが嫌いじゃないようなのですぐに「やろう!」となったみたいだ…
「でね、母ちゃんがそれに慶さんと2人で来いって…」
うん2人でね、いいじゃないパーティーでしょ?
「なにか問題でもあるの?」
理人はあまり乗り気に見えなかった
「慶さん…あのね、モデルとかデザイナーとか業界の胡散臭いヤツが大集合する会なんだよ…」
…妖怪大戦争、ってこと?
うっかりただの人間が紛れ込んだら散々な目に会うかもしれない…ってこと??
逆に見てみたいけどなぁ~(無知)
「…理人が行きたくないなら私もそれでいいよ」
私は別でお母様に挨拶する機会を設けてもらおう
「それがね…母ちゃんは俺たちに服を作るって…言っててね…」
いや!それ!!それは先に言ってよ!!!
私達のためにそんな大事な物を用意してくれるんだったら、それはなにがなんでも参加するしかないでしょーよ!
「…やっぱそうなるよねぇ…」
…え?そんなに嫌?
「私、お母様の申し出は断れないよ…」
「うん…じゃあ今度採寸に行かないとだね」
あ…採寸はお母様が?
これは意外と早く挨拶できる機会が巡ってくるのかもしれない
ーーーーーーーーーー
理人はそれから元気が無かった
パーティー嫌いなのかな?それともほかに気がかりがあるのか
どこかションボリとしてお風呂に行ったけど
私はお母様の話を聞いたからか、少々バイブスアゲめでベランダでワインを楽しんでいた
それにしてもオーダーのお洋服かぁ…私、人生初だなぁ!
やっぱ女子はそういうの楽しいもんなぁ~
「慶さん一緒に寝よ…」
ションボ理人が現れた…w
なぜこんなにダダ下がっているんだこの子は
私は歯磨きをして寝室に向かった
理人の右隣に横になり、腕枕で寝ようと身体の左側を下にした時だった
「いっっっ………!!!」
激痛が走った
「え?慶さん?!」
そうだ…
理人が色々言うからスッカリ忘れてたけど…今日、左の肋骨は痛いんだった
「…どこが痛いの?!」
ションボリしたり心配したり今日の理人は忙しそうだから…私の秘密はまだ黙っておこうかな…
「ごめん、ちょっと頭が痛い」
「えぇ~!風邪かなぁ…あったかくしなきゃ」
理人はせっせと私の肩口まで布団をかけた
なんか、嘘までついて隠し事をしていることに申し訳なさを感じる
「…ひどくなったら怖いから」
と、自分も布団に入る理人…
「慶さんが布団から出ないように見てなきゃ」
可愛いことを言う理人の瞼にキスをして「おやすみ」を言った
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