33 / 76
挑戦
しおりを挟む…エマちゃん達は素敵な夫妻だった
これから生まれてくるお子さんも家族みんなに愛されて育つのだろう
理人との生活もすっかり馴染んだとある日
私は仕事で有休を取っていた
実は、何週間も前に始まったこの計画が、いよいよ今日実行される…
向かうのは駅反対口の少々怪しいビルの1階に入っているショップだ
「…こんにちは~」
とドアを開けて中に入る
「あ、柏木さん、お待ちしておりました」
と中の人が迎えてくれた
ここは、人生初のタトゥースタジオだ
先にデザイン諸々の打ち合わせで一度足を運んでいる
そして私を迎えてくれたのが彫師の方、この店のオーナーさんだそうだ
「ではまず、デザインの確認からしていただいて…」
と、私の希望を踏まえたデザインを初めて見る
おお~、カッコイイ!と素直に感動した
「じゃあデザインと、スペルの間違いが無いか最終確認していただいたら施術に入ります」
そう私、今日タトゥー入れまぁ~す!
普段は洋服の中に隠れる位置に入れてもらう予定だ
その場所に転写シートにプリントしたデザインを転写する
「…少し一服しますか?」
そう、このオーナーさんも喫煙仲間だった
それが終わると、いよいよ針の出番である…
ーーー施術後、この後の注意点を聞いて終了となった
チクチクとされたのは1時間半くらいだっただろうか
ちびるかもしれないという覚悟を決めていったけど、ギリちびらないで済んだ…
針を1時間以上刺し続けるのだ、痛くないわけは無い!
人生で初の挑戦なのでタトゥースタジオなんて知らないから、必死で調べて3件ほどカウンセリングに行ってみた
その中でお願いしても後悔しないな、と思えたのがあのオーナーさんの対応だった
私は決めた位置に12㎝×12㎝程度のデザインを黒一色で入れてもらった
これでビキニなんかを着ては歩けなくなってしまったわけだが、上着でも羽織っちまえば堂々と歩けてしまう
なんだかそう考えると、社会の矛盾のようなものを感じる
見えなきゃ無いのと一緒ってことだもんね…本当はそこにあるのに
夕方まで外で時間を過ごし、普段通り買い物をして部屋に帰った
部屋に理人の姿はなく、タトゥーの事をなんと報告しようか少々緊張していたので気が抜けた
とりあえず着替えて夕飯の支度を始める
20:00になっても理人からの連絡は無し、少し迷ったが先にご飯を済ませた
彼の仕事やプライベートのこと、私が知らないことはまだまだあるわけで、お風呂に入りながら自分の頭を整理した
お風呂からあがると私のスマホが鳴っているのに気がつく、慌ててバスローブを着てスマホに到着すると理人だった
「……ごめーん、お風呂入ってた」
と出る
理人も慌てた様子で
「こっちこそごめん!時間かかると思ってなくて、先にメッセージでも入れておけば良かったんだけど……」
と、事前に聞かされていなかったお母様の知り合いと同席することになり、スマホを見る隙が無かったと言った
「とりあえずこれから帰るから!」
そう言って通話は切れた
まぁ出先で倒れてたりしてなければ私はなんの心配もない、あんなに慌てさせて可哀想だったな…
それから30分ほどで理人は帰ってきた
ベランダにいた私のところにすっ飛んできて
「ただいまぁ!」
と元気よく顔を見せた
「慶さん…あの、嫌だったら断ってくれていいんだけど…」
と、何やら慎重に話し始める
「なに?悪いお知らせなら心の準備させて?」
と身構える
「いや、悪…くは無いと思うんだけど…」
私はこの後とんでもない流れになることをまだ知らないのであった…
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
夫のつとめ
藤谷 郁
恋愛
北城希美は将来、父親の会社を継ぐ予定。スタイル抜群、超美人の女王様風と思いきや、かなりの大食い。好きな男のタイプは筋肉盛りのガチマッチョ。がっつり肉食系の彼女だが、理想とする『夫』は、年下で、地味で、ごくごく普通の男性。
29歳の春、その条件を満たす年下男にプロポーズすることにした。営業二課の幻影と呼ばれる、南村壮二26歳。
「あなた、私と結婚しなさい!」
しかし彼の返事は……
口説くつもりが振り回されて? 希美の結婚計画は、思わぬ方向へと進むのだった。
※エブリスタさまにも投稿
雨宮課長に甘えたい
コハラ
恋愛
仕事大好きアラサーOLの中島奈々子(30)は映画会社の宣伝部エースだった。しかし、ある日突然、上司から花形部署の宣伝部からの異動を言い渡され、ショックのあまり映画館で一人泣いていた。偶然居合わせた同じ会社の総務部の雨宮課長(37)が奈々子にハンカチを貸してくれて、その日から雨宮課長は奈々子にとって特別な存在になっていき……。
簡単には行かない奈々子と雨宮課長の恋の行方は――?
そして奈々子は再び宣伝部に戻れるのか?
※表紙イラストはミカスケ様のフリーイラストをお借りしました。
http://misoko.net/
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
それらすべてが愛になる
青砥アヲ
恋愛
(旧題:この恋だけは、想定外)
工藤清流(くどうせいる)は中学のときに両親を亡くして以来、叔母夫婦に引き取られて育った。
訳あって大学を休学した影響で就職活動が上手くいかず、お見合い結婚をするよう叔母夫婦から言い渡されてしまう。
そしてお見合い当日。
偶然再会したのは、以前海外旅行先で助けてもらった維城商事の御曹司、加賀城洸(かがしろたける)だった。
出世と女除けのためにとりあえずの結婚を望む洸は、就職の面倒をみる見返りにと強引に話を進めようとするも、清流は「絶対結婚はしない」と反発する。
試用期間6ヶ月を条件に、一つ屋根の下で暮らすことになった2人。
少しずつ距離が縮まっていくかに思えたが…?
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆他サイトにも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる