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懸念
しおりを挟む「…理人、帰ろう」
昨日は私から理人に、今の自分の気持ちを伝えた
理人が想像以上に感極まっちゃって…
まぁ喜んでくれるだろうなとは思っていたけど
そして睡眠不足で身体も痛い、これはちょっと盛り上がり過ぎた結果なので致し方なし…
「慶さん忘れもの大丈夫?」
「うん」
こうして2人で「あの日のモヤモヤ」にバイバイして家に帰った
部屋に着くなり、寝室に走り部屋着に着替える私
ドレスはあとで買い物のついでにクリーニングに持っていこう
私の定位置、ベランダに向かう
ちょっとすると理人がラテを入れて来てくれた
「慶さん…」
…ん?なんかスッキリしない顔をしている理人
「どうした?」
「俺…タトゥーだらけだけど大丈夫かなぁ?」
はいはい、それはうちの家族に向けての心配、ってことかしら?
「最初はビックリされるだろうけど大丈夫でしょ」
もう首とか手首とか、服から出ちゃってるしねw
おそらく「ハーフだから」とか言えばうちの両親は納得しそうな気がする
そもそも理人は会社員でも無いし、自分で生活できているわけだから
グズグズ言われる理由が無いでしょ…と思うけど
なにか嫌な思いでもしたことがあるのかな?
私はなんとなく、タトゥーによる生活上の不便について調べてみた
…しかし入れるのは本当に痛そうだけど理人のアートはどれも綺麗だけどなぁ
せっかくの芸術なのに、日本ではいい顔をされないという側面がある
確かにひと昔前は、やんちゃしている人が堂々と隠しもしないでタトゥーを見せている、といったイメージがあったが…
最近では黒髪の草食系もしくはサブカル系、陰キャの子でもタトゥーが入っている
そう気にし過ぎることは無いんじゃないか、と思う
他人事だからそう簡単に思えるのかな…?
ーーーーーーーーーー
理人は午後、仕事部屋に向かい作業をしている
私は買い物に出て作業が終わった理人に温かいご飯を出す
自分で「3時間」とか「4時間」とか必ず宣言して行くけど、きっちり時間通り戻ってくるのって凄いよなぁ…
今までもそうやって自分で管理してやっていたのだなぁと改めて思う
夕飯を済ませると
「今日マスターのとこ行かない?」
と理人が言い出した
全然行きます!すぐそこだし
オープンの19:00を待って店に向かった
「いらっしゃいませ」
2人でカウンターに座った
マスターはいつものように何も聞かずお酒の用意を始める
カクテルグラスに入った美しい琥珀色のお酒が2つ出された
「キャロルでございます」
「じゃあ、乾杯!」
マスターの出してくれるものはどれも素敵でときめく味がする…不思議だ
「マスター紹介するね…」
と理人が話す
「俺の彼女の、慶さんです!」
あ…、それを報告に…??
「あらあら、それは素敵なお知らせで嬉しいです」
マスターの笑顔のほうが素敵だけども
「…でもあの理人さんがねぇ、へぇ~」
とマスターは首を傾げている
そんなに不思議?と尋ねると
「理人さん、こんなだからおモテになるんですよ…」
でもあまりにも浮いた噂が無かったので、女性に興味が無いんじゃないかとマスターは思ったそうだ
「…違ったんですねぇw」
と嬉しそうな顔をしていた
「あ、そういえばマスターは理人と友達だって聞いて…」
私は思い出した、理人が確か言っていた
「そうなんです、気の合う友人でして…」
いや…このマスターが?理人と??
「だから、これから休日は3人でデートになりますねぇ…?」
と真顔で言うマスター
「…邪魔ぁ!!!」
理人がでかい声で抗議した
…案外仲良しそうだった
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〈本作の楽しみ方〉
本作は読む喫茶店です。順に読んでもいいし、興味を持ったタイトルや季節から読んでもオッケーです。
知らない人、知らない設定が出てきて不安になるかもしれませんが、喫茶店の常連さんのようなものなので、雰囲気を楽しんでください(一応説明↓)。
〈あらすじ〉
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