24 / 76
5階
しおりを挟む「もし慶さんの荷物移動するなら車出すからね」
そう嬉しそうに理人は言った
うーん…本当になぁ…
男同士、女同士の兄弟ならまだしも、やっぱ異性となると不便もあるだろうしなぁ…
さっき理人に言われたことが最も過ぎて、私の見当違いな見積もりが白紙に戻ってしまった
ベランダでぼんやり考えても、どうするのが1番いいのか答えはなかなか見つからない
「慶さん、上見に行く?」
…上?
理人の部屋の上の階、このビルの最上階のことだろうか
「ほら、俺の謎に包まれた仕事について見られる所だよ」
そんな言い方をされては見に行くしかなくなる
理人の部屋の前のエレベーター
いつもは地下駐車場から4階の往復にしか使わないが、それを初めて「5F」に上がる
5階、エレベーターを降りるとすぐ
ガラス張りのオフィスのような部屋が見えた
「ここは不動産用のオフィスだよ」
と言いながら鍵を開ける理人
「…不動産?」
「そう、じいちゃんのやってた仕事、今は俺が継いでるの」
…あ~なんか、こういう事務所的な空間を見てしまうと実際に仕事として存在しているのだと実感が湧いてしまう
壁に並んでいる書棚には鍵が付いており、大事な書類やファイルが管理されているのが見て分かる
応接用のソファーに座ると、理人が向かいに座り
「本日はどういったご相談でしょうか… ?」
と言った
「まぁ、実際は管理会社が間に入ってくれてるから、ここには昔馴染みの地主がお喋りに来るくらいだけどね」
と、席を立った
「ちなみに、マスターの大家さんも俺ねw」
マスターの?
頭では理解しようとするものの、理人というキャラと上手く繋がらないでいた
ただ、この理人の部屋が入っているビルは、おそらく家賃が発生しているものでは無く、理人の持ち物なのだろうということが分かった
「次は…俺の編集部屋も案内します」
…あ、そうだ、不動産の話は今初めて聞いたけど
理人はずっと動画編集してます!って言ってたよね
オフィスの鍵を閉めると
その先のもうひとつのドアを開ける
「はいどうぞ…ここは見たらうんざりされちゃうかも…」
そう言って私を中に通してくれた
4階の理人の部屋と似たような造りの居住用の空間に見える
それにしても廊下ひっろ!と広い玄関からまっすぐ伸びる廊下の先を見る
廊下を抜けると、理人の部屋同様に広い部屋に出た
「えぇ?…なにこれ?」
広いリビングのような空間に、幅の広いデスクがいくつも並び、その上下にPCやモニターがぞろぞろと並べられていた
そのほかの機材は私が見てもなにに使う物だか分からない
デスク周りには大きな本棚が並んで、これもきっと仕事に使うための資料やなんかなのだろう、分からないけど…
壁には大きいカレンダーがかかっていて仕事のスケジュールらしきものが記入されていた
「へぇ~!すごい、ここでお仕事するんだ」
はじめて編集の作業場を見て感動した、自分の知らない世界を見るのは楽しい
「5日くらいなら普通に籠ってるよw」
そんなに…よく集中力もつね…
まぁ本当に仕事が好きなんだろうなぁ
私は自分のやりたいことは見つけられなかったのになぁ
「奥に慶さんの好きなスペースあるけど…」
と案内されると、ここにもベランダがあった
灰皿あったかな…と理人は探しに行ってくれた
すっかり私の喫煙ペースを気にしてくれている、ありがたいが、私が煙草を持ってきていなかった
理人の部屋のベランダよりも倍くらい広いベランダだった
こちらにもテーブルとチェアーが用意してあったので座った
理人が私に、自分の仕事を開示してくれた意味を考える
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる