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さいこ

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5階

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    「もし慶さんの荷物移動するなら車出すからね」

そう嬉しそうに理人は言った

    うーん…本当になぁ…
男同士、女同士の兄弟ならまだしも、やっぱ異性となると不便もあるだろうしなぁ…

    さっき理人に言われたことが最も過ぎて、私の見当違いな見積もりが白紙に戻ってしまった
    ベランダでぼんやり考えても、どうするのが1番いいのか答えはなかなか見つからない

    「慶さん、上見に行く?」

…上?
理人の部屋の上の階、このビルの最上階のことだろうか

    「ほら、俺の謎に包まれた仕事について見られる所だよ」

そんな言い方をされては見に行くしかなくなる


    理人の部屋の前のエレベーター
いつもは地下駐車場から4階の往復にしか使わないが、それを初めて「5F」に上がる

    5階、エレベーターを降りるとすぐ
ガラス張りのオフィスのような部屋が見えた

    「ここは不動産用のオフィスだよ」

と言いながら鍵を開ける理人

    「…不動産?」

    「そう、じいちゃんのやってた仕事、今は俺が継いでるの」


 …あ~なんか、こういう事務所的な空間を見てしまうと実際に仕事として存在しているのだと実感が湧いてしまう
 壁に並んでいる書棚には鍵が付いており、大事な書類やファイルが管理されているのが見て分かる

   応接用のソファーに座ると、理人が向かいに座り

    「本日はどういったご相談でしょうか… ?」

と言った 

    「まぁ、実際は管理会社が間に入ってくれてるから、ここには昔馴染みの地主がお喋りに来るくらいだけどね」

と、席を立った

    「ちなみに、マスターの大家さんも俺ねw」

    マスターの?
頭では理解しようとするものの、理人というキャラと上手く繋がらないでいた
    
    ただ、この理人の部屋が入っているビルは、おそらく家賃が発生しているものでは無く、理人の持ち物なのだろうということが分かった


 「次は…俺の編集部屋も案内します」

    …あ、そうだ、不動産の話は今初めて聞いたけど
理人はずっと動画編集してます!って言ってたよね

 オフィスの鍵を閉めると
その先のもうひとつのドアを開ける

「はいどうぞ…ここは見たらうんざりされちゃうかも…」 

そう言って私を中に通してくれた

 4階の理人の部屋と似たような造りの居住用の空間に見える
    それにしても廊下ひっろ!と広い玄関からまっすぐ伸びる廊下の先を見る

 廊下を抜けると、理人の部屋同様に広い部屋に出た

    「えぇ?…なにこれ?」

 広いリビングのような空間に、幅の広いデスクがいくつも並び、その上下にPCやモニターがぞろぞろと並べられていた
    そのほかの機材は私が見てもなにに使う物だか分からない

 デスク周りには大きな本棚が並んで、これもきっと仕事に使うための資料やなんかなのだろう、分からないけど…
 壁には大きいカレンダーがかかっていて仕事のスケジュールらしきものが記入されていた

 「へぇ~!すごい、ここでお仕事するんだ」

    はじめて編集の作業場を見て感動した、自分の知らない世界を見るのは楽しい

    「5日くらいなら普通に籠ってるよw」
そんなに…よく集中力もつね…
 
 まぁ本当に仕事が好きなんだろうなぁ
私は自分のやりたいことは見つけられなかったのになぁ

 「奥に慶さんの好きなスペースあるけど…」

と案内されると、ここにもベランダがあった
灰皿あったかな…と理人は探しに行ってくれた
 
 すっかり私の喫煙ペースを気にしてくれている、ありがたいが、私が煙草を持ってきていなかった


 理人の部屋のベランダよりも倍くらい広いベランダだった
    こちらにもテーブルとチェアーが用意してあったので座った

    理人が私に、自分の仕事を開示してくれた意味を考える







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