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さいこ

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男子の生態

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    「…このハンバーグ美味しい!」

そう言って食べてくれる理人が可愛い

    ただ、本当は口に合わないのに気を使わせているのでは無いか?という思いも正直拭いきれない


    「お母様の作るもので、好きな料理はなに?」

単純に理人の好みを探ろうと思った

    「ん~、パンケーキ?」

    「パンケーキ…?ずいぶん可愛いじゃん」

    「ほらうちの母ちゃん仕事人間だったからさぁ、ご飯を作りに来てくれる人が居たのよ…」

    なんでも家政婦さんが家事をしてくれていたようでご飯の支度はお母様の担当では無かったとのこと
    それでも休みの日には、お母様がパンケーキだけは焼いてくれたそうだ
   
    「そんでそこに生クリームとかフルーツとかさ、好きなもの乗っけて食べるの」

    …お母様のことが大好きなんだなぁとほっこりした


~♪~~~♪♪…

    その時、どこかで音が鳴り出した

  「あっ!俺だぁ…」

理人がキッチンの椅子の上に置いてあったスマホを取りに行く

    「慶さんごめん、これから打ち合わせがあるんだった」

という理人
    時計を見ると20:45、打ち合わせは21:00からだろうか

    「…うん、間に合うの?」

    「マスターのとこだから余裕!」

…なるほどね、それでいつもマスターの店で打ち合わせをしていたのか、近いから…

    「早く終わらせてくるね~」

そう言って理人は「打ち合わせ兼飲み」に出て行った


    私は夕飯の後片付けをして、理人の分は冷蔵庫に閉まった
    買い物してきたものを色々と出し、先にお風呂に入ってベランダでのんびりした

    人の家に1人で居るという不思議な空気を感じながら、家主の帰りを待つ
    私は読みかけの漫画の続きを読み始めた…


   「…慶さん、帰ったよ~」

近くで声が聞こえて、目を開けた

    ベッドで横になって漫画を読んでいたら寝ちゃってたみたいだ
    横向きでくの字になっている私の背中に、理人が身体をくっつけてぎゅっと抱き締めた

    「…おやすみ」

    理人の声と、お風呂上がりでホカホカの体温に包まれて私もまた目を閉じた





―――――――――――





    …翌日

    「昨日は慶さんが寝ちゃってたからぁ…」

という理人に押し切られ、また朝からセックス…


    シャワーを済ませ遅い朝ごはんの支度をした

    ブロックにカットされたベーコンを炒め、スクランブルエッグと、冷凍のハッシュドポテトとブロッコリーをチンして添えただけの簡単なもの

    理人はお得意のラテを入れてくれた
  
    「そういえば明日、ゆうが引っ越して来るんだったわ…」

うっかり休みになって油断していたけど、明日は土曜日、優の荷物を積んだトラックが午前中には来る予定だった

    「…優って、誰よ?!」

理人が良からぬ疑いの目を向けてくる
    血の繋がった弟です…と、ことの成り行きを説明した

    「…で、ここら辺に越してくるの?」

    「いや、私んちに同居」

    「…はぁ?!」

    めちゃくちゃ嫌そうな顔をしている…
でも優にはちゃんとしたご飯くらいは食べさせたい、それに優の出費を抑えるには一緒の方が都合がいい


    「でもその…いいの?一緒に生活なんてして…」

なにやら珍しく含みのある言い方をする理人…

   「なにがよ?まずいことある??」
 
私は堂々と言い切った

    「男子はさぁ、朝から勃っちゃったりするし…夜姉ちゃんが寝てる横でその…抜いたりとかは…やりづらいってゆーか、ねぇ?…若いうちはそういうの、あるからさぁ…」

    言いづらそうに話す理人の言葉は衝撃だったが
…まぁ考えたら確かにそうだ


    私は家賃の負担が無く、作ったのもを食べさせられるという点にしか目が行っていなかったが
    健康な男子の生活をちゃんと考えればソレを制限させるようでは少し可哀想だと思った

    
    「…どうしよう…」

自分の配慮の無さに呆然とした
あんなに可愛い弟でも、男という生き物なのだ


    「慶さんがうちに住めば解決じゃない?」

あぁ!理人頭いいね!!
てゆーか誘導されてる…?

    だとしても、この件は1度ちゃんと考えてみようと思った

    
    



    
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