温度

さいこ

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    シャワーを浴びてベランダに出た    


    さっきはもう動けないと思ったけど、しばらく経つと煙草が吸いたくてスタスタとベランダに向かった

   世間は仕事をしている時間帯だというのに
 はぁ…なにやってんだか…

   「はい、慶さんの好きなラテ~」
   
と理人が珈琲を入れてくれた

   「…ありがと」

理人は喫煙者でもないのに、私がベランダに出るといつも一緒にいる


   「…連休になったんだから、その間ここに居てよ」

あれ?
こんな会話しなかったっけ…?


    「彼氏と別れたなら今はフリーなんでしょ?」

そう…言われれば、そうねぇ…

    「別に問題ないよね…?」

問題は特に…ないねぇ……


    「…俺はちゃんと慶さんの彼氏になりたい」

…まぁ
なんとなく、そうなんだろうとは思ってました

    でも希望を出されたからって、はいそうですかで人生のパートナーなんて決められない

    「私は理人のこと、まだ知らないから」

突然呼び出しても来たり、今日みたいな突発イベントでも一緒に居たり、だいたい仕事してるのなんて見たこと無いし…


    「じゃあやっぱ、しばらく俺に密着してどんな生活してるのか見ないとね!」

…嬉しそうに言うことなのか

   「ね!必要になるもの買い出しに行こっ」

    遠足の準備みたいに楽しそうにしている理人だが、連休中私をここに置くことは決定事項なのね…

    それでも、この底抜けにポジティブな理人の生態を観察できるのは面白そうだと思った



    デパートや駅ビルを回り、こんなに買い物することあるか?ってくらいの買い物をした

    「…そろそろ持てなくなるよ…」

理人が限界のようだ
    2人であれも必要これも必要と、すぐに荷物がいっぱいになってしまったので部屋に戻ることにした

     私もここでやっと煙草休憩が取れた


    それから近くのスーパーに行き、夕飯の買い物をして部屋に帰った


    「もしかして慶さん、ご飯作れるの?」

理人よ…女性にそれは言わない方がいいぞ…
    
    私は自分が食べるものしか作らないから完全に家庭料理だけども…
    それでも毎日食べるだけなら困らない

    買い物の時に理人の食べられないものは確認したけど、あんまり無さそうで安心した


    「じゃあ支度するからあっち行ってて」

キッチンに居ても暇だろうから追い出したのに、そばに居て見学する理人

    それにしても本当にキッチンが使われていないのが見てわかる、どこも汚れていなかった…
    

・トマトソースの煮込みハンバーグ
・野菜沢山のコンソメスープ
・セロリの浅漬け

盛り付けをしようとして初めて、理人の家に食器が少ないことを知った…ある物でなんとか間に合ったが


    「はいテーブルに運んで~」

お手伝いもさせて、2人で夕飯にする

    「待って、これこれぇ~」

とワインを出してくる理人
私にはお酒が必要なことを覚えてくれたようだ


    「乾杯」

    



    
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