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弟
しおりを挟む柏木 優 23歳、美容師
彼は高校を出ると決め打ちで美容の専門学校へ入った
理由は、自分の髪の毛のスタイリングが上手くなりたい、だった
まぁ頭の悪い理由だったため両親からも「大学だけは出ろ!」などと言われていた
それでも優が曲げないので最終的に
「途中で投げないこと」を約束する形で両親を納得させた
そんな周囲の心配をよそに優はめちゃめちゃ熱心に学び
チャチャ―っと資格もパスして美容室に就職して行ったのだった
優に会うのは年に1回、私が正月で実家に帰省するとき
それ以外は私が家に戻ることが無いので会わない
その優が相談って…
少しすると「もうそろ着く」というメッセージが来たので
出口と待ち合わせ場所を送り、喫煙所で待った
「…久しぶり~!」
優は髪の毛がピンクになっていた、まぁ可愛いけど
日曜はエマちゃんの店が休みなので、適当なカフェに入った
…それで、どうした?と用件を聞く
彼は美容師として美容室で働いているが、最近ネイルに興味があるのだそうだ
そんな話を人にしていたら、「美容室」と隣接する「ネイルサロン」の2店舗を経営している美容師さんが
「じゃあうちで勉強すれば?人欲しいし…」
と、運良く仕事もしながらネイルの現場が見られる環境に恵まれたのだと
このチャンスを活かしネイリストの資格取得までを目指そうと心を決めたようだ
「それでさぁ、ここら辺でいい物件ないかな?って思って…」
「…え?家出ちゃうの?」
つか、ワタシ不動産屋じゃないし…
現在の空き状況なんか知るかよ
そんなことより実家で家賃もかからなかったから生活出来てるんじゃないの?
さらにこれから学ぼうっていう身で急に家賃の負担とか大丈夫なの?
と、そこが一番気になった…
「出せるのは3万くらいだけど…」
そんな予算の部屋なんて、よっぽど辺鄙な場所になるのでは?
「仕事と教わるのとで、これからは移動時間を極限に削らないと多分無理だと思うから…」
なるほどなぁ…
彼は何を犠牲にしても「やる」と決めたんだ
「ねぇ…じゃあ私の部屋、一緒に住めば?」
そうだ、その手があるじゃないか
だってあんた寝に帰るだけでしょ?と伝える
「…え?それは、狭くない?」
と生意気を言ってくれる…
そもそも3万で部屋なんかないよ!
つべこべ言わずにまずは部屋を見ろ!!
ということで私の部屋に連行することになった
駅前からお喋りをしながら2人並んで歩いた
すぐに部屋に到着してしまった
3階の奥ね、と説明して部屋に入る…
「私、奥の寝室使うから、あんたリビング使いなよ」
そう言って15畳のリビングを案内する
「えっ、広っ!ベッド置けるじゃん」
へっ、だから言ったでしょ?大丈夫なんだよ君ぃ~
「…どうしよ?家賃入れればいい?」
その心意気や良し!
でも仕事の幅を広げようとしている子から家賃の徴収は出来ないわ
しばらくはどれだけかかるか様子を見て考えるね、と返した
「あ、それから物はあんまり置かないように」
と注意する
「大丈夫、ここ見てそれは察した!」
…優のおつむでも分かったんだね、えらい
という流れで、優がここに同居することになった
どうせ家に居る時間なんて短いだろうから、ご飯くらいは作っておいてやるか…
「じゃあ色々決まったら連絡入れんねぇ~」
と、優は元気に帰っていった
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