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さいこ

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清算

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 シャワーを浴びてスッキリした
お気に入りの映画を観ようとウイスキーを用意する

 映像が綺麗なその映画は、何度も観たくなる「芸術」だと思っている
好きな画家の絵を眺めるのと同じだ
 お酒を飲みながら楽しむ大人の趣味

 ベランダに出ようと、席を立つついでにスマホを見ると通知のランプが点滅していた
どうせショップからのお知らせか理人だろうと放置した

 
 そのまま映画も観終わり、なんとなくスマホをチェックする

 「…へ?」

 通知の主はショップからのお知らせでも理人でもなく、内山からの着信だった
 

 あらまぁ…珍しいこともあるもんだ、と
時刻は0:00を回っていたが折り返した
 
 プルルルル…プルルルル…プッ…

 「…はい」

内山はすぐに出た

 いったい何の用だったかと聞くと

 「いや、休みだしなにしてるのかな?って…」

という曖昧な意味のない連絡だった


 「私ね、好きな人が出来た」

…嘘である、でも言うなら今だと思った
 内山は言葉を探していたのか、少しの間のあと「そうか」と言った

 「だからこれで綺麗に終わりにしてさぁ…」

あなたも自由になってね、と別れの挨拶をした

 
 内山も「わかった、じゃあ…」と
それしか言うことが無さそうだったので通話を切った

 まぁこんなもんでしょうよ、お互い「なんだろうなぁ」と思いながら続けていた関係だったもの…   

  
 思わぬところで清算出来て良かった
先の無いところにいつまでも縛られていては時間の無駄だ、20代が終わってしまう(切実)

 …内山も、次はちゃんと付き合える女性が見つかるといいなぁ
なんて、自分のことは棚に上げ親心のようなものが生まれた

 
 今日はよく眠れそうだ…
私はスマホをサイドテーブルに置いてベッドに入った

 電気を消したとき

 ブー、ブー、ブー、ブー…

と、また着信を知らせるバイブが響いた


 「…誰よ!」

と名前を確認すると「優」と表示されていて慌てて出る


 「…もしもし?」

 「あっ、姉ちゃん?寝てた…?」

ゆうは私の弟だ 


 …起きてたよ、どうした?と用件を聞く

 「ちょっと相談したいことがあってさ~」とのこと
 
なに?言いなよ、と急かすと「会って話したい」と言い出した

 あ…なんか、こういうの知ってるかもしれない…

 
 おいしい投資の話とか、人に商品を紹介して売っていけばみんながガッポガッポですよ、とかその手のヤツじゃない…?
 
 「明日は休みでしょ?時間ある?」

これは私のスケジュールを分かっている言い方だ
まぁでも久しぶりに優の顔を見るのも悪くない

 「…何時頃?」

と、もったいぶって聞く

 優は午後、到着するころにまた連絡を入れると言って通話を終えた


 …しかし私に相談てなんだろう
もしかして両親にトラブルでもあったのか、優本人がトラブルに巻き込まれているのかと

 さっきまで良く眠れそうだと思っていたのに一気に不安になった






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