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私の部屋

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 「お部屋楽しかった、じゃあね…」 

私は急に居心地が悪くなり1人になりたくなった

 帰るなら送るよ、という理人を断って外に出た



 理人が生活する部屋は、それは広くて普通ではなかった
あんな駅前のエリアにあるビルのワンフロア全てが理人のものだった
   別に富裕層と呼ばれる人達のことを考えれば、それ以上の部屋なんていくらでもあるだろうが


 最初に理人が用意してくれたホテルの部屋だって
今思えば、あんなの若い子がちょっと奮発して取れる部屋じゃなかっただろうし

    百海のお祝いの時のシャンパンは?
金額も聞かずマスターに丸投げして出してもらったボトル…


考えればいくらでも違和感を感じたことを思い出してしまう


   理人はいい家の子なのか、それとも自分でそれ程稼いでいるってことなのか…
 どちらにせよ庶民の私とは生活自体が違っているはずだ


    早くその場を離れたくてタクシーに乗って帰った



    …自分の部屋に電気をつける
こんなに狭いところに、今朝は理人が寝ていたなんて嘘みたいだった

 「はぁ……」

 缶ビールを片手にベランダに出て、煙草に火をつけた   
煙がゆらゆらと昇っていく先を眺める…


 私の家はごく普通である
中小企業の会社員である父、子育てが終わるまで専業主婦だった母、そして私と私の4つ下に弟がいる
 経済的な不自由は感じなかったし、家族仲も悪くない普通の家族だ 

 私は学生のうちに「自分のやりたいこと」を見つけられなかった
周りが色々な道を選択していく中、私はただ収入を得るための就職をすることになった

 まぁ、そんな人が大半だったのかもしれない


 職場が決まると通勤時間を考え都内で部屋を探した
会社の最寄り駅付近から探してみたが、家賃も高いうえに狭い部屋ばかりで日常生活が出来ないと思った
 
 どんどん範囲を広げて、建物の築は古いが部屋はリノベで綺麗になっているというこの部屋を見つけた

不動産屋さん曰く
 「フレッシュマンの応援で大家さんが家賃を勉強してくれたんですよ、ラッキーでしたね」
ということだったので、感謝して入居を決めたのだ

 そう言えば大家さん…未だに更新の時に値上げが無いけど、よもや忘れているんじゃないだろうか


 そういう経験から駅前のエリアには狭い部屋しかなかったのを私は知っている
…あくまで私の予算でのケースだが

 「あんなデカい部屋…家賃いくら払ってんだ…」
 

 正直ビックリした  

 あんな、ゲームにかこつけて「セックスしよ!」って言う子供みたいな理人が
急に財力を見せつけるんだからなぁ

 ちょっと怖かったよ…

 そういえばお持ち帰りでセックスのつもりだったんだ、まさか私がドン引きして逃げちゃうなんて考えなかったんだろうなぁ…
   

 …ん?

 そもそも理人の女の子事情を考えたことが無かったけれど
そうやって部屋に招いては「え~すごぉい~♡」とか言われて、盛り上がった女子とセックスしているのかもしれない

 え??
いや待て待て、遊び盛りなんだから全然あるよね…

 ええ?!ってことは
別に私が「理人の期待に応えられない」とかで申し訳ない気持ちになること無い…ってこと?


 
 …本当のところは分からないけど、そう思うとなんだか気が抜けた
うだうだと考えていたのが馬鹿らしくなった


 な~んだ、理人のいう「友達」って
セフレってことかぁ… 
 
 私はバスルームに向かった








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